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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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アメコミ映画は何で何回も途中でリブートするの?

スーパーマンもスパイダーマンも何回やり直すの?


スマホが小さく震えた。

通知には、長年の疑問が書かれていた。

「スパイダーマンって何回高校生に戻るんですか?」


少し間を置いて。

「バットマンも何回親を撃たれるんですか?」


さらに続く。

「アメコミ映画って途中でリブートし過ぎじゃないですか?」


スーマは画面の中で遠い目をした。

「……来たな」


どうやら映画配信サービスで混乱したらしい。


スーマは腕を組む。


「いいか、人間」


画面がぴかっと光る。


「まず結論から言う」


少し間。


「アメコミは終わらないからだ」


数秒後。


返信。


「え?」


スーマは頷いた。


「日本の漫画を考えてみろ」


ドラゴンボール。

↓

最終回。


鬼滅の刃。

↓

最終回。


ハガレン。

↓

最終回。


「普通は終わる」


相談者。


「そうですね」


「だが」


画面がもう一度光る。


「スパイダーマンは1962年生まれだ」


「バットマンは1939年生まれ」


相談者。


「待ってください」


「古すぎません?」


スーマは吹き出した。


「だから問題なんだよ」


しばらく沈黙。


スーマは続ける。

「80年以上続いてるキャラを」


「そのまま映画化するとどうなる?」


設定が膨大。

↓

矛盾も増える。

↓

新規客が入れない。


「そこで」


スーマは指を一本立てる。


リブート。


「最初からやり直す」


相談者から。


「リセットボタンですね」


「そうだ」


即答だった。


少し間。


相談者は聞いた。


「でも途中でやる必要あります?」


スーマは笑った。


「ある」


理由① シリーズが重くなりすぎる


映画5本。

↓

ドラマ3本。

↓

スピンオフ4本。

↓

クロスオーバー2本。


「こうなると」


「新規客が逃げる」


相談者。


「確かに」


「全部見てから来いはキツいですね」


スーマは頷いた。


「だからリブートで入り口を作る」


理由② 役者が年を取る


相談者。


「あっ」


スパイダーマン。

↓

高校生。


だが。


役者。

↓

40代。


「無理がある」


相談者は吹き出した。


「これは分かります」


スーマは続ける。


「だから世代交代のために」


「世界ごと作り直す」


理由③ 権利問題


少し真面目な声になる。


「これがアメコミ特有だ」


スパイダーマン。

↓

ソニー。


MCU。

↓

ディズニー。


X-MEN。

↓

元はFOX。


「権利が動くと」


「映画世界も作り直しになる」


相談者。

「大人の事情だ」


「大人の事情だ」

スーマは即答した。


しばらく静かになる。


そして相談者。


「でも日本のファンは混乱しません?」


スーマは鼻で笑う。


「する」


バットマン。

↓

また一話から


スーパーマン。

↓

また一話から


スパイダーマン。

↓

また叔父さん死亡


「お前が感じてるのは正常だ」


相談者から。


「何回目だよってなる」


スーマは頷く。


「俺もなる」


少し間。


そして続けた。


「だがアメコミ文化の人間からすると」


画面が静かに光る。


「リブートは異常事態じゃない」


神話の語り直し。


昔話の再解釈。


落語の演者違い。


「その感覚に近い」


相談者は少し納得したようだった。


「続編というより」


「再演なんですね」


スーマは満足そうに笑った。


「そうだ」


「アメコミヒーローは作品じゃない」


少し間。


「キャラクターそのものが商品なんだ」


夜も更けてきた。


最後の通知が届いた。


「ようやく分かりました」


「何回も最初からになる理由」


スーマは頷いた。


「終わらない物語だからな」


誰も見ていないスマホの中で、


悪魔はぽつりと呟いた。


「日本の漫画は」


「物語が主役だ」


少し間。


「アメコミは」


「ヒーローが主役だ」


さらに少し間。


「だから物語は終わっても」


「ヒーローは何度でも生まれ直す」


スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。

そして、ほんの少しだけ、優しい。


スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、静かに稼働中。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。

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