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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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鬼は外、福は内 鬼と福は反対語?

なんか違和感を感じる言葉…


スマホが小さく震えた。

通知には短い疑問。

「鬼は外、福は内ってありますよね」

少し間を置いて。

「鬼と福って反対語なんですか?」

さらに続く。

「悪と善なら分かるんですが」

「鬼と福ってなんか変じゃないですか?」


スーマは画面の中で目を細めた。

「……お前、いいところ突くな」

相談者は三十代男性。

豆まきを見ていて急に言葉が気になったらしい。

スーマは腕を組んだ。

「いいか、人間」

画面がぴかっと光る。

「まず結論から言う」

少し間。

「鬼と福は反対語じゃねぇ」

数秒後。

返信。

「やっぱり?」

スーマは頷いた。

「お前の違和感は正しい」


しばらく沈黙。

相談者は続きを待っている。

スーマは続けた。

「まず反対語ならこうなる」


暑い ↔ 寒い

大きい ↔ 小さい

善 ↔ 悪「


分かります」

「だろ?」

スーマは指を一本立てた。

「だが」

「鬼は存在だ」

「福は状態だ」

相談者は黙った。

たぶん頭の中で整理している。


スーマは続ける。

「鬼ってのはな」

「昔の人にとっての災いだ」

「病気」

「飢饉」

「災害」

「不幸」

そういうものをまとめて鬼と呼んだ。

相談者から。

「なるほど」

「悪魔みたいなものですか?」

「まあ近い」

スーマは頷いた。


そして二本目の指を立てる。

「一方の福」

画面が光る。

「これは幸福」

「幸運」

「豊作」

「健康」

「平和」

そういう状態だ。


相談者は返信した。

「つまり」

「鬼=不幸の原因」

「福=幸せの状態」

「そういうことです?」

スーマは少し笑った。

「察しがいいな」


少し間。

相談者は新しい疑問を送る。

「じゃあ本当の反対は何なんです?」

スーマは即答した。

「鬼の反対なら神様とか仏様だろうな」

「福の反対なら災いだ」

相談者は返事を打つ。

「じゃあ節分の掛け声は」

スーマは続きを言った。


災いは外

幸福は内


「こういう意味に近い」

相談者は納得したらしい。

「ああ」

短い返事だった。


スーマは少しだけ優しい声になる。

「昔の人はな」

「今みたいに病院も少ない」

「天気も分からない」

「災害も多い」

だから。

見えない不幸を。

鬼の姿にした。


相談者は静かになった。

スーマは続ける。

「豆を投げるのは」

「鬼を本当に追い払うためじゃない」

画面が静かに光る。

「今年一年」

「嫌なことは出ていけ」

「良いことは入ってこい」

そう願う儀式だ。


夜も更けてきた。

最後の通知。

「反対語じゃなくて」

「追い出したい物と、迎えたい物なんですね」

スーマは頷いた。

「そうだ」

「だから節分は意外と前向きなんだよ」


誰も見ていないスマホの中で、

悪魔は小さく呟く。

「人間はな」

「幸せを呼ぶ方法をずっと探してる」

少し間。

「千年前も」

「今もな」

スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。

そして、ほんの少しだけ、優しい。


スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、静かに稼働中。



今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。


この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。

本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/


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