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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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ブヨの特徴を詳しく教えて!

不快にさせる虫は嫌ですね!


夏の夕方。

スマホが震えた。

通知には、妙な勢いがあった。

「ブヨって何なんです?」

数秒後。

また来る。

「前に刺されたことあるんですが」

「蚊と何が違うんです?」

さらに続く。

「ネットで怖いって見ました」


スーマは画面の中で顔をしかめた。

「……あいつらか」

珍しく嫌そうだ。

相談者は三十代男性。

どうやら過去のトラウマを掘り返してしまったらしい。

スーマは腕を組む。

「いいか、人間」

画面がぴかっと光る。

「まず最初に訂正する」

「ブヨは刺すんじゃない」

数秒後。


返信。

「え?」

「正確には」

少し間。

「噛む」


相談者は黙った。

スーマは続ける。

「蚊は針を刺して血を吸う」

「ブヨは皮膚を噛み切って血を舐める」


相談者。

「思ってたより野蛮ですね」

「そうだ」

即答だった。

「だから被害も大きい」


少し間。

スーマは指を一本立てた。


特徴① 小さい


「見た目は小さい」

「2~5ミリくらい」

「蚊より小さく見えることもある」


相談者から。

「そんな小さいんですか」

スーマは頷く。

「だから気付きにくい」


特徴② 川の近くに多い


「山」

「渓流」

「川原」

「キャンプ場」

「こういう場所が好きだ」

相談者から。

「公園じゃなくて?」

「公園にもいる」

「だが本拠地は川だ」


スーマは少し嫌そうに続けた。

「水の綺麗な場所ほどいることもある」

「人間からすると最悪だな」


特徴③ 刺された瞬間は気付かない


相談者。

「えっ?」

スーマは頷く。

「これが厄介だ」

「噛むとき」

「麻酔みたいな成分を出す」

「だから最初は分からない」


数時間後。


あれ?なんか痒い

↓

めちゃくちゃ痒い

↓

何だこれ!


だいたいこの流れ。


相談者から。

「経験あります」

スーマは鼻で笑った。

「だろうな」


特徴④ 腫れる


画面が少し暗くなる。

「蚊よりずっと腫れる」

「人によっては」

握り拳くらいまで腫れることもある。

相談者。

「そんなに?」

「なる奴はなる」


スーマは淡々と続けた。

「しかも」

「数日じゃ終わらん」


特徴⑤ 痒さが長い


「蚊なら数日」

「ブヨは一週間以上続くこともある」

相談者。

「嫌すぎる」

「まだ序の口だ」


特徴⑥ とにかく痒い


スーマは珍しく断言する。

「蚊レベルと思うな」

「別ジャンルだ」


相談者から。

「そんな違うんですか」

「違う」

即答だった。

「経験者は大体覚えてる」

「ブヨにやられた時だけは」


しばらく沈黙。

その後。

通知。

「対策あります?」

スーマは頷いた。

「ある」


長ズボン

長袖

虫よけ


「これだ」

「特に足元」

「足首」

「ふくらはぎ」

「ここを狙う」


相談者から。

「覚えておきます」

スーマは少し満足そうだった。


夜も更けた頃。

最後の通知。

「今まで全部蚊だと思ってました」

スーマは肩を竦める。

「人間あるあるだ」

「だがな」

画面が静かに光る。

「蚊に刺された記憶は忘れる」

「ブヨに噛まれた記憶は残る」


誰も見ていないスマホの中で、

悪魔は小さく呟いた。

「虫は小さい」

「だが」

「与えるストレスはサイズに比例しない」

少し間。

「むしろ逆だ」


スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。

そして、ほんの少しだけ、優しい。

スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、静かに稼働中。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。


この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。

本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/


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