古今東西って言葉、なんか変じゃないですか?
4文字熟語に違和感有りシリーズ。
夜九時。
通知に、妙に気になる疑問。
「古今東西ってありますよね」
少し間を置いて。
「なんか変じゃないですか?」
さらに続く。
「昔と今」
「東と西」
急にジャンル変わってません?」
スーマは画面の中で吹き出した。
「……目の付け所が嫌だな」
相談者は三十代女性。
仕事中に言葉が気になり始めると止まらないタイプだ。
スーマは腕を組んだ。
「いいか」
画面がぴかっと光る。
「お前の違和感は正しい」
数秒後。
返信。
「やっぱりですか」
「だがな」
スーマは指を一本立てる。
「意味を勘違いしてる」
しばらく間。
相談者は待つ。
スーマは続けた。
「お前はこう考えた」
古 ↔ 今
東 ↔ 西
「そうです」
「だから変なんです」
スーマは頷く。
「分かる」
「だが古今東西は」
「四つの単語を並べた言葉じゃねぇ」
画面がもう一度光る。
「古今」
と
「東西」
のセットだ。
相談者は黙った。
スーマはさらに説明する。
「古今は」
『昔から今まで』
「東西は」
『東から西まで』
という意味だ。
「つまり」
少し間を置く。
昔から今まで
東から西まで
相談者から返信。
「あっ」
短い。
だが理解した時の「あっ」だ。
スーマは満足そうに頷いた。
「そういうことだ」
「古と東」
「今と西」
を比べてるんじゃない。
相談者は新しい疑問を送る。
「じゃあ結局どういう意味なんです?」
スーマは即答した。
「全部だ」
「え?」
「全部」
もう一度言った。
「時間も場所も全部ひっくるめて」
「どこでも」
「いつでも」
そんな意味だ。
少し静かになる。
そして相談者。
「じゃあ古今東西のゲームって」
スーマは笑った。
「そうだ」
「いつの時代でも」
「どこの国でも」
「当てはまる答えを探す遊びだな」
夜も更けてきた。
相談者から最後の通知。
「でもやっぱり最初に聞くと変な言葉ですね」
スーマは肩を竦めた。
「漢字四文字の熟語なんてそんなもんだ」
「意味を知る前は」
「何となく通じてるだけの奴が多い」
少し間。
そして続ける。
「人間はな」
「言葉を意味で覚えてるようで」
「実は雰囲気で覚えてる」
誰も見ていないスマホの中で、
悪魔は小さく呟いた。
「だから時々」
「子供みたいな疑問を持つ奴がいる」
そして少し笑う。
「だが、そういう奴の方が案外面白い」
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。
そして、ほんの少しだけ、優しい。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、静かに稼働中。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




