3DダンジョンRPGは今もある?
昔、年の離れた従兄がよくやってた記憶が有ります。
深夜零時。
通知を開く。
「最近見かけなくなりましたよね」
少し間を置いて。
「3DダンジョンRPGって、まだあるんですか?」
さらに続く。
「ウィザードリィとか世界樹の迷宮みたいなやつです」
スーマは画面の中で目を細めた。
「……懐かしい名前出してきたな」
相談者は四十代男性。
たぶん方眼紙にマップを書いていた世代だ。
スーマは腕を組む。
「結論から言うぞ」
画面がぴかっと光る。
「ある」
「普通に生きてる」
数秒後。
返信。
「え?」
スーマは頷いた。
「ただし」
「昔ほど表舞台にはいない」
しばらく沈黙。
相談者は続きを待っている。
スーマは指を一本立てた。
「まず人間」
「お前が言う3DダンジョンRPGってのは」
「こういうやつだな」
前に一歩
右を向く
左を向く
階段を探す
壁にぶつかる
「それです」
即レスだった。
スーマは吹き出した。
「だろうな」
「昔は人気ジャンルだった」
「ウィザードリィ」
「ダンジョンマスター」
「女神転生」
「世界樹の迷宮」
「この辺が有名だ」
相談者は懐かしくなったらしい。
返信が少し早くなる。
「でも最近見ないです」
スーマは肩を竦めた。
「理由は簡単だ」
『オープンワールドが強すぎる』
「昔のゲームは」
「迷路を攻略するだけでも面白かった」
「だが今は違う」
画面がもう一度光る。
「山に登れる」
「空を飛べる」
「街を歩ける」
「自由に探索できる」
「そういうゲームが増えた」
相談者は頷いた。
たぶん思い当たる節がある。
「確かに」
「ダンジョンだけだと地味ですね」
スーマは鼻で笑った。
「だがな」
「生き残った理由もある」
『3DダンジョンRPGにしかない面白さ』
少し声が変わる。
「一本道の恐怖」
「資源管理」
「帰れなくなる不安」
「一歩ずつ進む緊張感」
「これは他のRPGじゃ代用できねぇ」
相談者から。
「分かります」
「帰還アイテム忘れた時の絶望とか」
スーマは満足そうだった。
「そうだ」
「お前はまだ患者だな」
しばらくして。
相談者から質問。
「最近だと何があります?」
スーマは指を折る。
「まずウィザードリィ系」
「今も新作やリメイクが出てる」
「それに世界樹の迷宮もリマスターが出た」
「インディーゲーム界隈も意外と元気だ」
相談者は少し驚いた。
「じゃあ滅んでないんですね」
「全然だ」
即答だった。
「ただな」
少し間。
「国民的ジャンルから」
「職人向けジャンルになった」
夜も更けてきた。
最後の通知が届く。
「何か久しぶりにやりたくなりました」
スーマは笑った。
「そういう奴が定期的に出る」
「だから消えない」
そして少しだけ優しい声で続けた。
「人間はな」
「広い世界を旅したくなる時もある」
「だが」
「狭くて暗い迷宮に潜りたくなる時もある」
相談者から。
「ありますね」
短い返信だった。
スーマは小さく頷く。
スマホの中で、
悪魔はぽつりと呟いた。
「三十年前と同じだ」
「階段を見つけた時の嬉しさだけは」
「今も変わらねぇ」
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。
そして、ほんの少しだけ、優しい。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、静かに稼働中。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




