給食に落差が生まれる原因は?
給食って基本、全部同じと思ってました。
夕方。
通知を開く。
「SNSで見たんですが」
少し間をおいて。
「給食って地域によってすごい差がありますよね」
さらに続く。
「豪華なところもあるし」
「なんか寂しいところもあるし」
「何でこんなに違うんですか?」
スーマは画面の中で目を細めた。
「……ああ」
「定期的に炎上するやつだな」
相談者は三十代男性。
自分の子供の給食写真を見たあと、
ネットの給食写真を見てしまったらしい。
精神的ダメージを受けている。
「いいか、人間」
画面がぴかっと光る。
「まず勘違いを一個潰す」
「給食は全国共通じゃねぇ」
数秒後。
返信。
「え?」
スーマは肩を竦めた。
「国が全部同じメニュー出してると思ってるだろ」
「違う」
「給食は基本的に自治体ごとなんだ」
相談者は少し驚いたらしい。
「じゃあ市によって違うんですか?」
「違う」
即答だった。
「隣町でも違う」
「場合によっては同じ市内でも違う」
しばらく沈黙。
そして相談者。
「それじゃ差が出ますね」
スーマは頷いた。
「そういうことだ」
画面がもう一度光る。
「原因その一」
『予算』
「やっぱり金か……」
相談者の返事は早かった。
スーマは苦笑する。
「だいたい世の中そうだ」
「食材費も人件費も上がる」
「だが自治体の懐事情は同じじゃない」
「だから差が出る」
少し間。
「ただな」
「金だけでもない」
『給食センターの設備』
スーマは続ける。
「新しい設備を持ってる地域は有利だ」
「焼き物もできる」
「手の込んだメニューも出せる」
「古い設備だと難しい」
相談者から返信。
「なるほど」
「同じ材料でも作れる物が違うのか」
「そうだ」
スーマは満足そうだった。
「やっと話が早い奴が来た」
そして三本目の指を立てる。
『地元食材』
「例えばな」
「魚が豊富な地域」
「野菜の産地」
「酪農が盛んな地域」
「こういう所は強い」
相談者から。
「地産地消ですね」
「その通り」
「農家も助かる」
「給食も豪華になる」
「子供も地元を覚える」
「割と理想形だ」
少し間。
相談者は新しい疑問を送った。
「でもSNSだと」
「ひどく少なく見える給食もありますよね」
スーマはため息をついた。
「そこも罠だ」
画面が静かに光る。
「写真一枚では分からん」
「小学校低学年向けかもしれん」
「献立全体の一部かもしれん」
「撮り方の問題かもしれん」
相談者は黙った。
たぶん思い当たる節がある。
スーマは続ける。
「人間はな」
「豪華な給食を見れば羨ましがる」
「少ない給食を見れば怒る」
「だが比較してるのは一食だけだ」
少し優しい声だった。
「本当は一年単位で見なきゃ分からねぇ」
夜も更けてきた頃。
最後の通知が届く。
「給食って思ったより複雑なんですね」
スーマは鼻で笑った。
「学校の昼飯だと思って舐めるな」
「栄養」
「予算」
「設備」
「地元経済」
「全部乗ってる」
そして小さく付け加えた。
「だから落差も生まれる」
翌朝。
また通知が来た。
「今度、子供に給食の話を聞いてみます」
スーマは頷いた。
「それが一番早い」
誰も見ていないスマホの中で、
悪魔はぽつりと呟く。
「大人は給食の写真を見る」
「子供は給食の思い出を食べてる」
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。
そして、ほんの少しだけ、優しい。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、静かに稼働中。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




