コナンと言えば、名探偵、未来少年、それともシュワちゃん?
私はシュワちゃんのコナン、動画で見ました!
夜十時。
スマホが震えた。
通知には短い質問。
「コナンと言えば何を思い浮かべますか?」
少しして続きが来る。
「名探偵コナン?」
「未来少年コナン?」
「それともシュワちゃんの映画?」
スーマは画面の中で吹き出した。
「……世代が見える質問だな」
相談者は四十代。
たぶんネットで何か見ていて気になったのだろう。
スーマは腕を組んだ。
「よし」
「今日は珍しく正解が三つある」
画面がぴかっと光る。
「まず今の日本」
「これが圧倒的だ」
「名探偵コナン」
相談者から即レス。
「ですよね」
スーマは頷く。
「子供にコナンと言ってみろ」
「九割くらいは江戸川コナンだ」
「眼鏡」
「蝶ネクタイ」
「犯人」
「これだ」
少し間。
「二十年以上連載してるからな」
「もはや作品というより生活習慣だ」
相談者は納得したらしい。
だが次の通知が来る。
「じゃあ未来少年コナンは?」
スーマは少しだけ表情を変えた。
「こいつは別枠だ」
未来少年コナン。
「宮崎駿が初めて本格的に監督したテレビアニメ」
「アニメ好きの連中が“コナン”と言われて思い出す方だな」
相談者から返事。
「名探偵より先なんですよね?」
「当然だ」
スーマは鼻で笑う。
「未来少年コナンが1978年」
「名探偵コナンは1994年連載開始だ」
「年齢差がでかい」
少し静かになる。
そして。
「じゃあシュワちゃんは?」
スーマは珍しく苦笑した。
「ここに来ると急にマニアだな」
コナン・ザ・グレート。
「アーノルド・シュワルツェネッガーが若い頃に出演した剣と魔法の映画だ」
「海外だと結構有名だぞ」
相談者から返事。
「日本だとあまり聞かないです」
「そりゃそうだ」
即答だった。
「日本人がコナンと聞くと」
「だいたい探偵が強すぎる」
スーマは肩をすくめる。
「シュワちゃんの方のコナンは」
「筋肉で解決する」
「名探偵コナンは」
「推理で解決する」
「未来少年コナンは」
「だいたい身体能力で解決する」
相談者から。
「最後おかしくないですか」
スーマは笑う。
「見れば分かる」
「未来少年コナンの身体能力は大体おかしい」
しばらくして。
相談者から最後の返信。
「結局スーマはどれですか?」
画面の中の悪魔は少し考えた。
珍しく長く。
そして答える。
「世代で違う」
「子供なら名探偵」
「アニメ好きなら未来少年」
「洋画好きならシュワちゃん」
少し間。
「ただな」
画面が静かに光る。
「どれが正解って話じゃない」
「同じ名前を聞いて別の物を思い浮かべる」
「それが世代ってやつだ」
翌朝。
短い通知が届く。
「父に聞いたら未来少年でした」
「息子は名探偵でした」
スーマは小さく笑う。
「だろうな」
誰も見ていないスマホの中で、
悪魔はぽつりと呟いた。
「名前は同じでも」
「人によって見えてる景色は違う」
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌だ。
そして、ほんの少しだけ、優しい。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、静かに稼働中。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




