人間万事塞翁が馬 〜通知に振り回される現代人版〜
スマホの画面が全てじゃない。
夜。
ロック画面が光り、通知音が鳴り、また一つ集中が途切れたところで相談が届いた。
「“人間万事塞翁が馬”ってありますけど、今の通知だらけの生活に当てはめると、どういう話になりますか?」
スーマは、画面の中で鼻を鳴らした。
「……結論から言うぞ」
画面が、ぴかっと光る。
「現代版・塞翁が馬の正体は、“スマホ通知”だ」
「来るか来ないかわからない。来たら人生の流れが変わる、良いか悪いかは後から分かる」
「完全一致だろ?」
スーマは淡々と語る。
「ある人に、良い通知が届いた。」
「昇進のお知らせ」
「バズりました」
「いいねが爆増」
周囲は言った。
「よかったじゃないか」
「羨ましい」
本人は言った。
「これが幸か不幸かは、まだ分からない」
しばらくすると、悪い通知が届いた。
「炎上しました」
「クレームが来ました」
「納期、前倒しです」
周囲は言った。
「それは大変だ」
「不幸だな」
本人は言った。
「これで終わりかは、まだ分からない」
やがて、その一連の経験のおかげで
フォロワーは減ったが、本当に必要な人だけ残った
仕事は炎上したが、無理な案件を断れるようになった
評価は下がったが、心拍数は正常に戻った
周囲は言った。
「結果的に良かったな」
本人は言った。
「だから言ったろ」
スーマは少し声を落とす。
「“人間万事塞翁が馬”ってな」
「出来事の善悪を“通知が来た瞬間”で判断するなって話だ」
「今は」
その場で評価が見える
数字が即出る
反応が速すぎる
「だから人は」
通知=最終結果
だと勘違いする
スーマは、はっきり言う。
「現代人はな」
「“通知=運命”と思いすぎてる」
未読 → 不安
既読スルー → 終わり
低評価 → 失敗
「塞翁は言ってねぇ」
“良いことが来る”とも
“悪いことが続く”とも
言ってない。
「判断するなそれだけだ」
塞翁が現代に生きてたら?
スーマは肩をすくめた。
「たぶん、こう言う」
「その通知、まだ“ただの途中経過”だ」
スーマは短くまとめる。
通知は結果じゃない
評価は確定じゃない
反応は真実じゃない
“今の気分”と
“人生の方向”を
混ぜるな
スーマは、ぽつりと言った。
「“人間万事塞翁が馬”を現代語にすると」
「“通知で一喜一憂するな。後で意味は変わる”」
「スマホは馬より速い」
「だからこそ降りずに少し離れて見ろ」
最後に、電源ボタンを押す仕草で。
「通知を切っても人生は止まらない」
「だが、通知に振り回されると、人生が分からなくなる」
スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。
未来は通知で決まらない。
意味は後から追いついてくる。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




