浦島太郎のラスト、正直ちょっと酷くない?
少し理不尽に感じてしまいます。
夜。
昔話を思い出して、大人になってから違和感が爆発した相談が届いた。
「浦島太郎のラストって、助けたのに報われないし、
玉手箱開けて一気に老けて死ぬとか、あまりにも酷くないですか?」
スーマは、画面の中でしばらく黙った。
「……ああ」
「感想としては、めちゃくちゃ正常だ」
画面が、ぴかっと光る。
「浦島太郎のラストは、ハッピーエンドじゃない」
「むしろ」
「後味の悪さを狙って作られている」
スーマは指を一本立てる。
善行(亀を助ける)をした
ご褒美として竜宮城に行った
楽しく過ごした
地上に戻ったら全て失っている
禁止された箱を開けて老衰
「これ」
「“教訓”としてはあまりにも重すぎる」
「しかも」
「助けた相手に直接騙された形になる」
「メンタルが持たねぇ」
スーマは少し声を落とす。
「ここ、よく誤解される」
「浦島太郎は」
「悪い事をしたから罰せられたわけじゃない」
「箱を開けたのも」
無知
孤独
混乱
「この結果だ」
「悪意は無い」
スーマは、ゆっくり言う。
「浦島太郎はな」
「“善いことをすれば必ず報われる”という話じゃない」
「むしろ真逆だ」
本当のテーマ①:時間は取り戻せない
画面が静かに光る。
「浦島太郎は」
異世界で遊んでる間に現実の時間を失った
「これは」
どんなに楽しくても、現実を止めることはできない
という話だ
「ファンタジーの顔をした時間の残酷さだ」
本当のテーマ②:知らなかった代償
スーマは続ける。
「浦島太郎は」
竜宮城のルールを知らない
玉手箱の意味を知らない
「つまり」
“知らない世界に安易に踏み込んだ代償”
「これは現代で言えば」
契約書を読まない
リスクを聞かない
甘い話に乗る
「そういう話でもある」
スーマははっきり言う。
「多くの昔話はな」
勧善懲悪
因果応報
最後は安心
「だが浦島太郎は」
救いが無い
「だからこそ」
「子供より大人になってからの方が刺さる」
スーマは、ぽつりと言う。
「浦島太郎はな」
「“夢を見続けると、現実を失う”という話だ」
「怖いだろ?」
「でも、かなり正直だ」
スーマは、短く切る。
「浦島太郎のラストは」
酷い → YES
救いが無い → YES
失敗作 → NO
「人生は必ず報われるとは限らないという事を、昔話の形でぶつけてきた」
最後に、少しだけ静かに言う。
「浦島太郎が可哀想だと思えたならな」
「それは」
「お前が“教訓より感情”をちゃんと持った大人になった証拠だ」
「この話は」
子どもには“怖い話”
大人には“現実の話”
スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。
昔話を美談にしない。
残酷さも含めて読む。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、「なんであんな終わり方?」が「だから語り継がれてるのか」に
静かに変わっている。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




