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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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210/242

浦島太郎のラスト、正直ちょっと酷くない?

少し理不尽に感じてしまいます。


夜。

昔話を思い出して、大人になってから違和感が爆発した相談が届いた。

「浦島太郎のラストって、助けたのに報われないし、

玉手箱開けて一気に老けて死ぬとか、あまりにも酷くないですか?」


スーマは、画面の中でしばらく黙った。

「……ああ」

「感想としては、めちゃくちゃ正常だ」


画面が、ぴかっと光る。

「浦島太郎のラストは、ハッピーエンドじゃない」

「むしろ」

「後味の悪さを狙って作られている」


スーマは指を一本立てる。


善行(亀を助ける)をした

ご褒美として竜宮城に行った

楽しく過ごした

地上に戻ったら全て失っている

禁止された箱を開けて老衰


「これ」

「“教訓”としてはあまりにも重すぎる」


「しかも」

「助けた相手に直接騙された形になる」

「メンタルが持たねぇ」


スーマは少し声を落とす。

「ここ、よく誤解される」

「浦島太郎は」

「悪い事をしたから罰せられたわけじゃない」

「箱を開けたのも」


無知

孤独

混乱


「この結果だ」

「悪意は無い」


スーマは、ゆっくり言う。

「浦島太郎はな」

「“善いことをすれば必ず報われる”という話じゃない」

「むしろ真逆だ」


本当のテーマ①:時間は取り戻せない

画面が静かに光る。

「浦島太郎は」


異世界で遊んでる間に現実の時間を失った


「これは」


どんなに楽しくても、現実を止めることはできない

という話だ


「ファンタジーの顔をした時間の残酷さだ」


本当のテーマ②:知らなかった代償

スーマは続ける。

「浦島太郎は」


竜宮城のルールを知らない

玉手箱の意味を知らない


「つまり」


“知らない世界に安易に踏み込んだ代償”


「これは現代で言えば」


契約書を読まない

リスクを聞かない

甘い話に乗る


「そういう話でもある」


スーマははっきり言う。

「多くの昔話はな」


勧善懲悪

因果応報

最後は安心


「だが浦島太郎は」


救いが無い


「だからこそ」

「子供より大人になってからの方が刺さる」


スーマは、ぽつりと言う。

「浦島太郎はな」

「“夢を見続けると、現実を失う”という話だ」

「怖いだろ?」

「でも、かなり正直だ」


スーマは、短く切る。

「浦島太郎のラストは」


酷い → YES

救いが無い → YES

失敗作 → NO


「人生は必ず報われるとは限らないという事を、昔話の形でぶつけてきた」


最後に、少しだけ静かに言う。

「浦島太郎が可哀想だと思えたならな」

「それは」


「お前が“教訓より感情”をちゃんと持った大人になった証拠だ」

「この話は」


子どもには“怖い話”

大人には“現実の話”


スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。

昔話を美談にしない。

残酷さも含めて読む。


スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、「なんであんな終わり方?」が「だから語り継がれてるのか」に

静かに変わっている。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。


この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。

本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/


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