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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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209/243

『善は急げ』と『急がば回れ』、どっちが正しい?

ことわざの解釈は難しいのです。


夜。

ことわざ同士が正面衝突してるやつが、相談として届いた。

「“善は急げ”と“急がば回れ”って、真逆のこと言ってません?結局、どっちが正しいんですか?」


スーマは、画面の中で少しだけ笑った。

「……その質問、かなり頭がまともだ」

「結論から言うぞ」


「どっちも正しい。だが“使う場面”が違う」


画面が、ぴかっと光る。

「この二つは、戦ってるんじゃない」

「“違う失敗”を防ぐための言葉だ」

「そこを混ぜると、人生がややこしくなる」


「善は急げ」が正しい時


スーマは指を一本立てる。

「これはこういう時に使う」


チャンスが一瞬

タイミングが命

後出しすると意味が無い


「具体的に言うと」


助ける

申し出る

行動を起こす


「考えてる間に、状況が終わるタイプ」

「善は急げ、は」


“踏み出せ”

というメッセージ


「慎重になりすぎて何もしない人への、ブレーキ解除だ」


「急がば回れ」が正しい時


一方で、とスーマは続ける。

「こっちは真逆だ」


準備不足だと事故る

焦るとミスが増える

取り返しがつかない


「例えば」


契約

人間関係

大きな決断


「こういう場面で突っ走ると」


“早く着こうとして、

逆に遠回り”


「急がば回れ、は」


“落ち着け”

というブレーキ


スーマは少し声を落とす。

「人はな」

「“正解は一つ”だと思い込みがち」

「だが現実は」


動かなすぎて失敗する

動きすぎて失敗する


「失敗の種類が複数ある」

「だから真逆のことわざが並んで存在してる」


スーマは、短く整理する。

「判断基準は一つ」

「待つことで「何が失われる」か?」


信頼

機会

状況


失われるなら→善は急げ


急ぐことで「何が壊れる」か?


関係

安全

取り返し


壊れるなら→急がば回れ


スーマは、ぽつりと言う。

「迷ってる時点でな」

「たいていは“急がば回れ”側だ」


「本当に“善は急げ”の場面は」

「迷ってねぇ」

「体が先に動く」


スーマは、きっぱり言う。

「“善は急げ”と“急がば回れ”は」


正反対じゃない

ライバルでもない


“アクセル”と“ブレーキ”


「どっちが正しいかじゃなく」


「“今どっちが必要か”を見誤るな」


最後に、ぽつり。

「ことわざってのはな」

「答えをくれるんじゃねぇ」


「“考え直す角度”をくれるだけだ」

「両方覚えて、ちゃんと迷え」


スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。

急がせもしない。

止めもしない。


スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、アクセルとブレーキがちゃんと使い分けられている。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。

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