桃太郎って、略奪行為じゃね?
童話のとらえ方は割と難しい。
夜。
昔話を大人の目で見直して、ちょっと引っかかった相談が届いた。
「桃太郎って、鬼ヶ島に乗り込んで宝を持って帰ってきますよね。
あれ、普通に考えると略奪じゃないですか?」
スーマは、画面の中で少しだけ笑った。
「……いいとこ突くな」
「結論から言うぞ」
画面が、ぴかっと光る。
「**桃太郎は、現代倫理で見ると“武装集団による強制捜索・財産没収”**だ」
「否定はしねぇ」
「桃太郎がやってる事を冷静に並べると」
スーマは指を一本立てる。
自分の正義を名乗る
武装して他所の島に侵入
現地勢力と戦闘
勝った後に財宝を回収
「これだけ見ると」
完全に武力行使+戦利品回収
「“略奪では?”って感覚、めちゃくちゃ正常だ」
「じゃあ、なぜ桃太郎は悪者扱いされないの?」
スーマは少し声を落とす。
「理由は簡単だ」
「物語が“桃太郎視点だけ”で作られてるからだ」
「桃太郎の世界ではな」
鬼=悪
理由は説明されない
弁明の機会もない
「悪役という記号として配置されてる」
「現代物語なら“鬼側の事情編”が一話作られるやつだ」
スーマは続ける。
「桃太郎の宝は」
“もともと鬼が奪った物”という設定
「だから物語的には」
取り返した
返還した
正義の回収
「というロジックになる」
「だがな」
「それを検証する描写は無い」
スーマは、少しだけ踏み込む。
「桃太郎はな、善悪の議論をする話じゃねぇ」
「昔話で重要なのは」
村に害がなくなる
生活が元に戻る
平和が回復する
「過程の正しさより、結果の安定」
「略奪っぽさは意図的に無視されてる」
スーマは、はっきり言う。
「今はな」
相手の言い分を聞く
背景を考える
力の行使を疑う
「これが“正義”の条件になってる」
「だから桃太郎の一方向な正義が乱暴に見える」
「それだけだ」
スーマは、短くまとめる。
「桃太郎は」
物語の中では→ 略奪ではない
現代の視点では→ 略奪にしか見えない
「どっちも正しい」
「価値観が違うだけだ」
最後に、ぽつり。
「桃太郎が怖く見えたならな」
「それは」
お前が
“勝者の正義”を
無条件に信じなくなった
証拠だ
「昔話は」
子どもに教訓を
大人に疑問を
それぞれ残す
スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。
昔話を否定しない。
再読を促す。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、「当たり前だった話」が別の角度から静かに問い直されている。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




