“まだ若いお年寄り”って、変じゃないか?
何か違和感のある言葉ですよね。
昼下がり。
何気ない会話の中で、ちょっと引っかかった言葉が届いた。
「“まだ若いお年寄り”って言い方、意味は分かるけど何か変じゃないですか?」
スーマは、画面の中で少し間を置いた。
「……うん」
「その違和感、かなり健全だ」
画面が、ぴかっと光る。
「“若い”と“お年寄り”は本来、同時に成立しねぇ」
「だからこの言葉は」
論理的にはおかしくて、社会的には便利
「そういう存在だ」
スーマは指を一本立てる。
「理由は二つある」
① “老人”と言うのが怖くなった
失礼に聞こえる
相手を傷つけそう
年齢への配慮
「だから」
“クッション言葉”として
“まだ若い”を足した
② 年齢と実態がズレ始めた
スーマは続ける。
「今はな」
70代で元気に働く
80代でスマホを使う
見た目も若い
「“お年寄り”のイメージが崩れてきてる」
「でも」
新しい呼び名を
作る勇気は無い
「だから、正反対の言葉をくっつけて誤魔化した」
スーマは少し声を落とす。
「“まだ若いお年寄り”ってのはな」
「相手を持ち上げてるようで、年齢の枠から逃がしてない言い方だ」
「“年寄りだけど例外”って扱いだな」
「悪意はない」
「だが」
無意識の線引きはちゃんと残ってる
スーマは肩をすくめる。
「じゃあ、どう言えばいい?」
答えは簡単だ。
元気な人
活動的な人
現役
○○をしている人
「年齢で説明する必要、本当は無い」
スーマは、短く切る。
「“まだ若いお年寄り”は」
気遣いから生まれた
でも言葉としては矛盾
年齢を基準にしたままの表現
「優しさの形なんだが」
「そろそろ別の言い方を選べてもいい時代だ」
最後に、ぽつり。
「言葉が変な時ってな」
「だいたい社会の価値観が過渡期にある」
「“まだ若いお年寄り”が変に聞こえるなら」
「お前の感覚は、一つ先に行ってる」
スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。
言葉を責めない。
違和感を無視しない。
スーマのスマホ相談室。
今日もどこかで、「何か変だな」が「やっぱり変だ」にきちんと名前をもらっている。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




