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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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202/242

出世魚って、どこで名前が変わるんだ?

言葉は聞くけど境は分からない。


夜。

寿司屋のカウンターか、魚屋の札を見てふと湧いた疑問が届いた。

「ブリとか出世魚って、大きくなると名前が変わりますよね。あれって、どこが境界なんですか?」


スーマは、画面の中で鼻を鳴らした。

「……いいところ突くな」

「結論から言うぞ」


画面が、ぴかっと光る。

「出世魚の名前が変わる境界は、実はハッキリ決まってねぇ」

「法律も全国共通ルールも存在しない」


「じゃあ、何で名前が変わるの?」


スーマは指を一本立てる。

「理由は、これだ」


サイズ・成長段階・売り場の都合


「つまり」


大きさ

脂の乗り

高く売れるか


「**全部“実用目線”**だ」


「ブリで説明するぞ(代表例)」

スーマは淡々と話す。

「ブリは地域差が一番分かりやすい」

関東


ワカシ

イナダ

ワラサ

ブリ


関西


ツバス

ハマチ

メジロ

ブリ


「ここで重要なのは」

「センチ何cmで決まる、というより“その店がどう呼ぶか”」


スーマは続ける。

「便宜的な目安は、ある」


30cm前後 → 若魚

40~60cm → 中間段階

80cm超 → 成魚


「だがな」

「41cmだから絶対イナダ、とかは無い」

「魚屋が」

「これはもうワラサだな」

「って思った瞬間に、出世する」


スーマは、少し意地悪に言う。

「理由は簡単だ」

「出世魚はな」


学術用語じゃなく、

商業用語


「学名は最初から最後まで同じ魚」

「途中で進化するとか、別種になるわけじゃねぇ」


スーマは少しだけ声を落とす。

「出世魚って概念自体がな」


人間側の都合で付けた評価


「大きくなった

→ 旨くなった

→ 高く売れる

→ 名前を格上げ」

「これを」


「“縁起がいい”ってロマンで包んだ」

「だからこそ細かく決めすぎない」


スーマは肩をすくめる。

「もし」


60.0cm → ハマチ

60.1cm → メジロ


「とか決めたら」


面倒

現場が回らない

誰も幸せにならない


「魚も困るし、人も困る」


スーマは、きっぱり言う。

「出世魚の名前が変わる境界は」

「成長段階の目安はある、だが厳密な線はない、地域・文化・売り場で変わる」

「境界線は、物差しじゃなく人の感覚の中にある」


最後に、ぽつり。

「出世魚ってのはな」

「魚の話じゃない」


**“人間が、

変化に名前を付けたがる話”**だ


「だから曖昧で、だから今も残ってる」


スマホの中の悪魔は、今日も現実的だ。

ルールを探すな。

由来を見ろ。


スーマのスマホ相談室。

今日もどこかで、魚屋の札に書かれた名前が少しだけ意味を持つようになっている。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。


この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。

本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/

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