セレーナのよくわかる王国史①
「いや、その前に説明してくれよ、軍団長がどうとか、砦がどうとか言われても何が何だか...」
「仕方ない。私達に賛同してもらうためにも、ここはひとつ講義といこう。
まず、遡ること15年前。このカロル王国に、姫が生まれた。姫はとてもよくできた淑女で、2歳にして王宮の騎士を驚嘆させる剣の腕をもち、外交の話を理解しえたという。
性格もよく、1年に1度の『謁見の儀』で見せる笑顔は、国民全てを魅了したという。」
セレーナは教えるのが好きなのか、ちょっと楽しそうだ。そして調子に乗って仰々しい口調になってきている。
「その頃までは他国との関係も良好で、国内の治安も安定していた我が国だったが、姫の生誕の3年後、様子が変わった。
姫が不治の病に罹ってしまったのだッ!」
「じゃあこの国には、跡継ぎがいない...?」
「そう。為政者が病床から出られぬ不治の病とあっては、他国に舐められてしまうだろう。海のないこの国では、塩分を摂るために外交は必須。やむを得ず、分家から男子を迎え入れることになった。ここまでは分かるな?」
僕の世界でいえば江戸幕府でも似たような事をやっていたなぁと思いつつ、続きを促した。
「だがその分家の当主がかなり...こう、野心家でな。自分が先に王となった上で息子に継がせるというのだ。確かに王は晩婚で、姫の歳の割に年老いていたから了承して交代したのだが、ここから先が地獄だった。」




