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名前を失う異世界物語  作者: きなこもち
1章・生存競争
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ダッシュ

キビスケは走った。全力で走った。

そして辿り着いた。仲間の元に。

今にも天井が崩れそうだった。

「おおおおおおおおおおおおおおおお!」

『きびだんご』のフルパワーで、彼女達のいる箱を外へ持ち出すのだ。

「ダメです!そこから取り外すと、元の世界への行き方がわからなくなりマス!」

「どうすればいい!」

「ライムさんの箱には『草』のエレメントによる高レベルの蔓(つる)の加護がありマス。おそらく最後まで耐えてくれるでしょう。」

「ということは─問題はルーアンか!」

ルーアンが立ち止まっていた箱を見る。

「でもそれがわかった所で、どうすればいいんだ?」

「それが─」

ヴィヴィは、とても言いづらそうに言い淀む。

「どうなんだ!」

時間がないので、口調が荒くなる。

「─選んでください。ご自分か、ルーアンさんか。」

「どういうことだ?」

「アタシの力で、1人だけこの世界からサルベージできマス☆そう、1人だけ。」

「じゃあルーアンだ。ルーアンを助けろ。」

「1人だけですから慎重に...て、アレ、即答デスネ...」

僕が即断したせいで、ヴィヴィは心底驚いた声をしていた。

「いいんデス?ここにいれば、死(・)ん(・)で(・)し(・)ま(・)い(・)マ(・)ス(・)ヨ(・)?」

僕は最初、ヴィヴィに対し「絶対に死にたくない」と言った。

だが─

「いいんだ。このままの僕が戻ったところで何も変わらない。結局、結局だ...」

『きびだんご』が元の世界で使えるかどうかは分からない。

「それに、また約束しちまったからよ。」

「.........そうデスカ☆アタシは、貴方は充分な力を得たと思いますがネェ☆」

そう言い残して、ヴィヴィはルーアンのサルベージを開始した。

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