信頼
足りない頭でなんとか考えた理論だったが、ライムの言葉で確信した。
だがこの場合、ルーアン達の身体はそのまま魂だ。何故なら『風』のスバルは身体ごと消滅したからだ。
ライム解釈を一にするのであれば、死者として連れてこられた人達は魂で身体を形作っていたことになる。
そして確証のない考えがもうひとつ。
『鬼』は、魂じゃない身体の方もこちらへ連れてきているのでは?
そして、死んだ者から一人ずつ、身体を取り戻して現世へ帰る。
そうでなければ『鬼』は『属性』をもつ者達を殺しても、屈服させたことにはならない。
死んでしまっては、消えてしまっては、『倒された』という敗北感は残らない。
そしてその身体は、誰にも見つからず、また損傷することのない場所になければならない。
そしてここに来る途中でルーアン達が見せた、一瞬だが不自然な気の緩み。
あの場所に、ルーアンとライムの身体がある─!
ガシャン。ゴォォォォォォォォ...
世界の崩壊が始まったことで、洞窟という構造物はいとも簡単に崩れ去ろうとしている。
このままでは...
「置いてきなさい。」
「ルーアンさん!?」
「でも─」
「私はね、形ばっかりに囚われて、本当に大事なことを見失う奴が大嫌いなの。あそこに身体があるんでしょう?なら、そっちだけ助ければ私達は死ななくて済むじゃない。」
その言葉に、僕とライムは沈黙する。
「そう、ですね...余力のない私達は足手まといです。ここで生き残るために本体が死んじゃったら、意味ないです。」
「ライムまで...」
考えながらも、着実に前進する。
だが─
ダァァァン!
突如として地面が隆起し、転倒したはずみに二人を後ろに置いてきてしまった。
慌てて戻ろうとすると、
「行きなさい!」
「でも...でも...!」
「大丈夫よ、だって...
キビスケが、救けてくれるから。」
....................................。
....................................。
....................................!
ルーアンの言葉に、思わず涙が出てしまう。
一緒に過ごした時間は、そう長くはない。
だがそれでいてもうずっと仲間だったような、そんな錯覚さえあった。
その仲間たちを助けるために、僕は行かねばならない。
「あぁ。負けやしないさ。世界にも。
─お前達に信頼されてるんだからな!」




