全面戦争・決着
先程とは違う、今度はキビスケが押す側だ。
「どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
いくら腕力があって素早く振れるとはいえ、得物が重い金棒である以上、攻撃が大振りにならざるをえない『鬼』側は迂闊に反撃することができない。受け止めるのがやっとなのである。
対してキビスケは、今まで3分割して全員にかけていた『きびだんご』を自分だけにかけている。
『灯火』が『爆炎』に化ける程の強化を、仲間の信頼に応えるため3つとも全て自分にかけたのだ。
「な、何故...こんなこと...ありえん!!」
「ありえるんだよ...言ったろ、負けられないって!」
勢いに乗った刀の力で、金棒がなぎ払われた。
「これで─終わりだッ!」
『鬼』の左の肩口から右脇腹にかけて、思い切り斬りつけた。
「ぐぉ、お...こんな、はずは...俺様の、体が、傷つけられる、なぞ...これが...『断魔』の...」
『鬼』は力尽き、その場にへたり込む。
『断魔刀』は役目を終え、チャチな剣の形に戻った。
「なぜ...」
「ん?」
「最後にひとつ、教えろ...何故なのだ?我は何故負けた?『鬼』と契約し手に入れた無敵の肉体は断魔の前に敗れた。
だが力では!純粋な力で、『鬼』の腕力を上回るなど...」
「...賭け、だよ。もっとも、失敗してもリスクはない代わりに成功してもリターンのない、一方的な賭けなんだけどな。」
「賭け、だと...?」
「確認シマシタ☆ルーアンさん達は死んでいマス☆」
「死んでいる...あぁ、そうだとも。我は地獄の『鬼』と契約し...」
ここまで言って、イバラは『賭け』の意味を悟ったらしい。
「なるほど...だが貴様は急がねばならん...死んでいるといっても、器はこちらにあるのだ。我はこの身体が器だが、確かに連中にも救いはある。だがこの世界を創ったのは『鬼』だ。そろそろ始まるぞ?」
ガシャアン!
『鬼』の死によって、『鬼』に創られた世界は崩壊を始めた。
一見すると冒険はここで終わりだ。
だが僕にはまだ、やるべきことが残っている。
仲間との絆に助けられた分、今度は仲間の命を、救わなくては─!




