全面戦争・後編Ⅵ
僕は、負けるのか。
ルーアンに期待されているのに。ヒーローなのに。
悪役にボコボコにされて、馬鹿にされて。
昔からそうだった。
結局、『力の魔本』なんぞに頼ったところで、僕の弱い本質は変わらないということか。
─何も、得られなかった。何も、救えなかった。
家に帰ることも出来ず、僕はここで死ぬんだ。
あいつらに復讐することも出来ず、桃太郎みたいな立場のくせして鬼退治だってままならないんだ。
独りで、死んでいくのだ。
寂しい。
『なっ、寂しくなんか─ううん、そうね。寂しかったのよ。
私は寂しかった。ここから救ってくれるヒーローが欲しかった。だからアンタに名前をつけるとき、昔絵本で見たヒーローが浮かんだんだと思う。凄いのよ、そのヒーロー。仲間と一緒に悪い鬼を退治しに行くの。』
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『...そうよ!私、アンタには期待してるんだから、私達を負けさせたら承知しないんだから!』
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「『きびだんご』...!」
いつになく、強く身体を強化する。
僕はもう、独りじゃない。
あったじゃないか、『本』の中で、手に入れたもの。
信頼出来る仲間、じゃない、逆だ。
今まで手に入らなかったもの。
何も無い僕に、手に入るはずもなかった、大事なもの。
僕は、仲間に信頼されている─!
「負けるわけには、いかないんだッ!」
その声に、『鬼』が驚いた声を上げる。
「貴様、まだ生きておったとはな!」
「『生きてる』なんてヤワなもんじゃない。
僕はお前を、退治する!!!」
断魔の刀は、一層煌めき、『鬼』の方を向いていた。




