断章・Ⅱ
あの御方の命令は絶対だ。
破ることは許されない。
あの御方は、自分が王となる者であると言うが、自分にはとてもそうとは思えなかった。
なぜなら、彼は既に支配者だ。
あの御方は、既に全てを支配しているとしか思えなかった。
世界が燃えた、その後から、あの御方が敗北するところなんて想像できなかった。
だから今まで従ってきた。あの御方に逆らえば、相応の罰が待っていると、そう思ったからだ。
だが─
「どうしたのだ、『光』の者よ。」
この男なら、あの御方すらも負かしてみせるのではないか?
「俺は、『光』の、モランだ。あの御方には、洞窟の奥の奥から能力を使って侵入者を排除することだ。こんな風にな!」
モランは、既に発動していたスキル『光撃兵』で男を迎撃する。
このスキルは、幻影を創り出してそれを実体化させ攻撃能力を持たせる能力だ。
もうひとつのスキル『発光』と組み合わせていつでもどこでも発動できる代わりに単調な攻撃しかできず、耐久力も脆い。
だが男を迎撃するには、そんな生半可なモノでは不十分だった。
「フン、儂も見くびられたものだな。」
余裕綽々の男に向かって『光撃兵』が斬りかかる。
男と自分との距離は充分。10mもあれば、普通は兵隊を出している自分の方が有利なはずだ。
だが、その兵隊は瞬時に消滅した。
気づくと、自分の首筋に刃物が刺さっていた。
「─あ、が...」
決して、男は『水』のシャーレイのように、洞窟内の暗闇という『影』と同化したのではない。
スキルなど使わずして、動かずに、モランを仕留めたのだ。
「さて、ここでの仕事は終えました、我が神よ。次なる世界にお連れくだされ。次なる世界においても、必ず貴方に貢献してご覧にいれましょうぞ。」
そう言って『影』は、『光』と共に、この世界から消滅した。




