全面戦争・前編/終
トニー自身の『自己強化』の効果時間は、それほど長くない。
それが切れると、トニーは今度こそ死ぬ。
今まで何度も覚悟してきた。
世界が燃える前も、貧しかったトニーは何度もそういう目に遭ってきた。
だからこそ今回こそは、ナンバーワンになってやろうと思った。
だが現実はそう甘くはなかった。
自分に与えられたのはほぼ自滅と同義のデメリットを持った事故超強化スキルと、ゴーレムのみ。
自分一人で1番になることはやはり、不可能なのだ。
「『電撃』!」「『水弾』!」
電気と水の弾がトニーを襲う。全く痛くない。
「だったらやっぱり、俺だけじゃねぇ、俺のチームが一番になれば、俺も1番ってことだろ。」
アルバとシャーレイの頭を掴んだ。
「じゃあな、待ってろ、どうせ俺もすぐそっちに行くからよ。」
「待て、待て待て待て待て!ボクに何をする気だ、やめろ、このボクに!王の側近となる者に、ファッジ財閥の御曹司に!」
「あなたに側近は無理でしょ、アルバ。それよりねぇ、トニー、って言ったかしら?あなた、ワタシを煮るなり焼くなり好きにしていいわ。どう?だから、ねぇ、ねぇ、」
二人ともパニックになって、見苦しく命乞いをしている。
どうせすぐ死ぬ俺に、そんなものは意味が無いというのに。
「悪いな、大変魅力的だが...
その誘いには、乗れねぇや。『石化』!」
二人の体が同時に、頭から先に石になっていく。
同時に、石化したところから消滅が始まった。
この世界は生存を賭けて競う為の世界だ。よって戦闘中の『石化』は、即ち死を意味する。
そして死んだら消滅する決まりであるため、『石化』したところから消えていくのだ。だがそれは─
「予想通り、俺も来たか...」
ゴーレムの『自己強化』は、自らの性質を人間から岩に戻していくスキルである。
他のやり口ならともかく、トニーの『自己強化』はゴーレムとメカニズムを共にする。
よって使用するごとに身体は消滅に近づく。
今まで何度も使用して戦い、『鬼』の手から逃げ延びてきたが、それももう限界のようだ。
「俺がここまでやったんだ...
絶対勝てよ!!!キビスケェェェェェ!」
大きな叫びとともに、彼の身体は消滅した。




