全面戦争・前編Ⅲ
「さて、行くぞシャーレイ。お前の言う通り、中の連中を追わねば。あの御方に会わせていい身分ではない。」
「それもそうね。今、『同化』を解く─痛っ。
痛...?」
川の中に、大量のゴーレムが蠢いている。
「ま、そういうことだわな。」
「どういうこと、お前は始末したはず─!痛っ、ええい、いでよ『同意体』!」
シャーレイが告げると、水でできた人間が川から出現し、大量のゴーレムと戦い始めた。
その様子を滝の上から眺めながら、死んだはずのトニーが笑っていた。
「おいおいおい、あんなのでくたばるようじゃ、殿になんか名乗り出ねぇよ。」
「だが、確かにボクの『雷撃』は、貴様の身体を─!」
「ハハハ、余裕が崩れてるぞ、アルバ。いつもの口調はどうしたよ、え?それに見てみろよ。お前の足元に転がってんのはなんだ?」
アルバが『雷撃』で焼き殺したはずの死体は、砕け散った岩そのものだった。
「これは、岩...ゴーレムか!」
「ご明察!俺の本質はゴーレム使いだ。そいつの『自己強化』、強かっただろ?当たり前だ。その『強化』は強化よりも復元に近い。要は俺が岩を人間そっくりに作り替えたその性質を、スキルによってどんどん岩に戻していくスキルなんだ。」
「だがまて、いやおかしい。このゴーレムは、確かに自分の意思で喋っていた!」
「いや違うね。ソレは俺が喋らせてたんだ。人間は人間だから喋るんじゃあない。声帯や唇の動きによる空気の振動、そして何より喋りたいことがあるから喋るんだ。逆に言えば、それを全部与えちまえば、ゴーレムだって喋れる。まるで生きているかのようにな!」
「つまりあの人形は、貴様に作られた体で、貴様の意思で喋っていたと...豪気な顔して意外と小癪だな、貴様。そしてボクはそれに踊らされて...!」
プライドの高いアルバは、怒り心頭だった。
「さぁ、ここからが本番だ、色男。俺の下僕たちは、そう甘くねぇぞ?」
「望むところだ、この詐欺師が!」




