ルーアン
落ち着いてよく見ると、赤毛で白い肌の、魔改造セーラー服みたいなのを着た勝ち気そうな美少女が僕に向かって大声でまくしたてていた。
「はぁ!?ってなによ、それはこっちのセリフよ!!っていうか、大声出さないでくれます!?いつ敵に狙われるかも分からないってのに!!
っていうか、あなたが敵でしょ!『風』のナントカさん!」
「ナントカさんってなんだよ!っていうか敵って何!?お前誰だよ!」
「フン、あなたに名乗る名なんてありません!敵って何とか、あんまりこの『炎』のルーアンを舐めてると後で怖いわよ?」
「名乗ってんじゃん」
....................................。
「フ、フン!じゃ、じゃあ、アンタはなんなのよ!『風』じゃないんだったら、『何』なわけ?」
「だから、さっきからその、『風』とか『炎』とか、意味わかんねぇよ。僕には僕で、ちゃんとした名前が...」
あれ?
思い出せない。それ以外のことは全部思い出せるのに、あの忌まわしい加藤の名前は思い出せるのに。
自分の名前だけ、すっぽりと抜け落ちたように思い出せない。
「思い、出せない...」
「はぁ?何?記憶喪失?そういうのいいから。あんまりとぼけると爆発させるわよ」
─よく分からんが、何かと物騒な御方のようだ。
「...それとそこ、そろそろ降りてくれる?」
前言撤回。悪いのはいつまでも女子に膝枕させている僕なのかもしれない。




