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名前を失う異世界物語  作者: きなこもち
1章・生存競争
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ほくそ笑む彼女

その時、全員が上を向いていた。

そんな所に人なんかいるはずがないのに。

男は、宙に立っていた。

「俺は『風』のスバル!今日1日、お前らのことは見させてもらった!『炎』と『草』なんかじゃ、持久戦にもならん!悪いがここで死んでもらうぞ。」

男は空中で声高に、自信満々に叫ぶ。

「クソっ!確かにルーアンは言わずもがな、ライムのスキルも接地してない相手には効果がない!」

「でも、私(わたくし)の草結びを焼いたあの技は...」

「悪いが、あれは出した本人でも─」

「分かるわよ?」

この危機的状況にも関わらず、彼女(ルーアン)はほくそ笑んでいた。

「強がりなんかじゃないわ。簡単なことじゃない。私の『灯火』はレベル2。私自身に他にスキルは無し。あそこでライムが私の火力を強化する理由も無い。となると残るは、アンタしかいないじゃないの。」

言われて、絶句した。

「僕、の...?」

「そうよ、アンタのスキル。名前は分からないけど、きっとあの爆発は、アンタが私を応援したことで『灯火』が強化された結果なんだわ。違う?ヴィヴィ。」

「その通りデス☆スキル名はお名前同様不明デスが、効果は『戦闘能力を持つものの戦闘に関わる能力を2倍にする』デスね☆」

それをもっと早く言ってくれよ、という言葉は飲み込んだ。

ルーアンは第一印象より賢い人なのかもしれない。

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