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怪しい魔本
どうしてこんなもの、買ってしまったんだろう。
いつも僕を攻撃して喜んでいる加藤も、奴に便乗する塩谷も、一度ぶっ飛ばしてみたかったのは事実だ。
それだけの力があれば、少なくとも今よりは、吉田さんに振り向いて貰える可能性が上がるかもしれないのも事実だ。
だからってこんな、「力の魔本」だなんて、いくらなんでも安直すぎる。
なんでも開けば次の瞬間には誰より凄い人間になれる、だなんて!
これを注文した時は、加藤のパシリに失敗して殴られ、むしゃくしゃしていたから、力が貰えると言われて勢いで注文してしまったのだ。
しかしいざ届いて、冷静になってみれば、こんなの詐欺だというのは余裕でわかる。むしろきちんと本が届いただけ良心的な詐欺師だったのだろう。
...このままこれを売ってしまえば、明日発売の僕の好きな漫画を買う足しくらいにはなるだろうか。
だがさすがに五万円もしただけあって、高校生の財布的にはこれを安く買い叩かれる事を考えると躊躇せずにはいられない。
...1度だけ、読んでみるか。
その選択が、間違いだったのかもしれない、
本を開いた瞬間、そんなことを思う暇もなく、
僕の視界は、真白く包まれていた─




