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名前を失う異世界物語  作者: きなこもち
1章・生存競争
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魔本少女☆ヴィヴィ

「ヴィヴィ、ね。変な名前。」

失礼な一言だけ告げて、ルーアンは見張りに去っていってしまった。

「それでヴィヴィ、何でこんなことをするんだ」

「そんなに怒らないでくださいよ☆さっきから謝ってるじゃないですか☆」

...この口調と甘ったるい声じゃ、謝ってるのかどうかなんて知れたもんじゃないが。

「そりゃ怒るわ!こんなとこにずっと居たら、いずれ死ぬぞ!」

「元の世界に帰りたいんですか?」

「それは...」

正直、分からない。

親は学校に行けと言うし、学校に行ってもいじめられるばかりだ。ここに来る前は『力』が手に入ればどうにかなると思っていたが、この調子だとそれも望み薄だ。

「何の楽しみもなくただ生きるくらいなら、魔本(アタシ)の為に生きて死んでも変わらないんじゃないですかね☆」

...そうだ。最終的に死ぬなら、過程はどうあれ一緒ではないか。


─だけど。だけど、本当にそうだろうか。

「...死にたくは、ない。」

「おや?」

「どんなに生きてて辛くても、死んだらそれで終わりだ。この世には神も仏もいない。僕は死んだら、消えるだけだ。来世があったとしても、それはもう、僕じゃないから解決にはならない!」

何度も過った考えが、堰を切ったように溢れ出す。

「消えるくらいなら、その前に、恨みくらいは、晴らしておきたい。」

出来もしない希望を、絞り出すように、口に出した。

「ふむふむ、ナルホド?その意気デス☆」

声(まほん)の態度に希望を見出す。

「じゃあ─」

「でもお家には帰れまセーン☆」

「なんでだよ!?」

「だってぇ、それじゃ、アタシの目的が達成されないじゃないですか☆」

「目的?」

そういえば、『魔本(アタシ)の為に』とか言ってたような。

「そう、アタシの目的。分かりませんか?主導権を握っているのはアタシですヨ☆その目的が達されないのに帰れるとか、甘ったれたこと考えてんじゃないでしょうねぇ☆」

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