魔本少女☆ヴィヴィ
「ヴィヴィ、ね。変な名前。」
失礼な一言だけ告げて、ルーアンは見張りに去っていってしまった。
「それでヴィヴィ、何でこんなことをするんだ」
「そんなに怒らないでくださいよ☆さっきから謝ってるじゃないですか☆」
...この口調と甘ったるい声じゃ、謝ってるのかどうかなんて知れたもんじゃないが。
「そりゃ怒るわ!こんなとこにずっと居たら、いずれ死ぬぞ!」
「元の世界に帰りたいんですか?」
「それは...」
正直、分からない。
親は学校に行けと言うし、学校に行ってもいじめられるばかりだ。ここに来る前は『力』が手に入ればどうにかなると思っていたが、この調子だとそれも望み薄だ。
「何の楽しみもなくただ生きるくらいなら、魔本の為に生きて死んでも変わらないんじゃないですかね☆」
...そうだ。最終的に死ぬなら、過程はどうあれ一緒ではないか。
─だけど。だけど、本当にそうだろうか。
「...死にたくは、ない。」
「おや?」
「どんなに生きてて辛くても、死んだらそれで終わりだ。この世には神も仏もいない。僕は死んだら、消えるだけだ。来世があったとしても、それはもう、僕じゃないから解決にはならない!」
何度も過った考えが、堰を切ったように溢れ出す。
「消えるくらいなら、その前に、恨みくらいは、晴らしておきたい。」
出来もしない希望を、絞り出すように、口に出した。
「ふむふむ、ナルホド?その意気デス☆」
声の態度に希望を見出す。
「じゃあ─」
「でもお家には帰れまセーン☆」
「なんでだよ!?」
「だってぇ、それじゃ、アタシの目的が達成されないじゃないですか☆」
「目的?」
そういえば、『魔本の為に』とか言ってたような。
「そう、アタシの目的。分かりませんか?主導権を握っているのはアタシですヨ☆その目的が達されないのに帰れるとか、甘ったれたこと考えてんじゃないでしょうねぇ☆」




