蜘蛛の糸は誰が取る?
増援は私を囲むようにジリジリと詰めてきてる。強行突破したら蜘蛛の糸の餌食になりそうだから、少しやり方を考えなきゃいけない。
後は発射前の尻を向けて来る以外の予兆も知りたいけど、今は目の前の対処が先。
「……《挑発》」
「「Kisyaaa……!」」
「来たねっ、《突進》!」
バラバラに攻撃されるのが嫌なら、更にターゲットを向けさせて一度に襲わせれば良い。私が立っていた場所に一斉に蜘蛛糸が発射されるから、突進で前の蜘蛛の発射後の隙を狩る。
「Kisya?!」
「あ、もしかして発射後は少し動きが鈍くなるのかな?」
本当にちょっとだけだけど、元の体勢に戻って数秒は機敏な動きは出来なさそう。とは言っても、蜘蛛糸での回避行動は問題なさそうだから注意。
戦鎚の射程圏内に入ってる蜘蛛も鈍っている内に早く潰してしまおう。私の懐に潜り込もうとしてるけどもう遅い。
「《先駆の一撃》」
「Ksya……」
先手は潰したけど、またまだ数は残ってる。近い順で次々……ん、4方向から撃たれるね。タイミングがズレてると少し危ないかも。
でも、今なら予兆を少しでも見るチャンスだ。しっかり見てれば……ピクピクって尻部分が震えてる蜘蛛とそうでない蜘蛛が居る。
「っと!」
「Kisyaa……!」
「っ……分かってるよ?」
やっぱりタイミングをズラして来たけど、震えてるのが2つ目の予兆なのは間違ってなかった。これからはフェイントも警戒しなくちゃいけないけど、情報は得たから大丈夫。
正直、蜘蛛たちで脅威なのは糸だけだと思う。一応不意打ちも狙ってくるけど、雑だしコンビネーションの知能は所詮虫レベルだ。
「私は狩りの練習相手じゃないんだよ? 全員で来なくちゃ」
「KsyaaA!!」
「まずそこ、《闘気》」
手を招いてあげると、わざわざ前から前脚を構えて襲って来てくれたからカウンターをお見舞いする。挑発後の蜘蛛糸一斉発射以外、何故か同時に来ないのも余裕に繋がってる。
「ほらほら、当ててみて?」
「Kisyaa……」
それに動きに緩急を付けながら、発射の予兆を見て他の蜘蛛が集まってる場所で戦うようにすると、目に見えて発射タイミングに迷ってるように見える。
蜘蛛にも仲間意識があるのかな? 全滅しちゃったら意味ない物なのにね。そこからはゴブリンの群れの時と同じように順々に倒して行って数を減らした。
数分後にはこの戦場には残り1匹しか残っていなかった。苦戦する要素ももう無いし、さっさとトドメを……。
「GuuuuU!」
「あれ、熊も来ちゃった」
「Kisya……?」
いつの間にか近くまで来てたみたい。別に肉の補充になるから良いけど、一旦こっちに意識を割かないと、三連撃の対処が遅れると不味い。
「蜘蛛は……って居ない?」
「Uuuu……!」
「っと、相手してあげるから嫉妬しないで?」
「GuuuuU!!」
「怒っちゃった……」
どうやら逃げられたらしい。別に1匹逃したからってどうにかなる訳じゃないから、どうでも良いんだけどね。その後は熊をいつもの感じで倒して、肩肉と爪と、蜘蛛の素材を回収した。
「粘着剤になりそうかな……?」
その中でも嬉しかったのがこれ。
種別:素材
名称:ミドルナイトスパイダーの糸屑
説明:体内で生成される蜘蛛糸の一部。少し強力な粘着能力が残っており、様々な使い道がある。
説明文的に、耳栓の改良に使えそうな素材だから嬉しい。割と量はあるから、次のダンジョン攻略に向けて大事に持っていこう。
まさしく私にとって蜘蛛の糸、なのかな? 海上からここに来るまでは確かに地獄だったかもしれないしね。とりあえず、拾い忘れがないかを確認した後で、その場を後にした。
読んで頂きありがとうございます。作者のリアルが忙しくなってきたので、投稿が遅れてしまい申し訳ありません。




