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「いや、雫、俺は実はもう」――ガラララ!――「オィ何をしてるッ!? すぐにこっから出ていけぇえ!」
怒号が響く、それは争いが起こったとすぐに「何を浮かれて馬鹿やってんだ……っ、すぐに出てけよ、コイツら危ない奴だったろう、こいつただの外国人だろうがァ!?」
いきなり入って来てがなり立ててくる男子生徒。ほぼ知らない生徒だがしかし、もうでも外でも言い争っているのが見えたんだ、あれは恐らくは……? なんの連中だろうか。
教師ともめている、そうしてその横にいる聖職者にも食ってかかるから止めて。
「落ち着きなさい、何が不満なんだ……っそんな乱暴な態度をとって!」「そうだぞ、この人は大事なお客様だぞ!?」
「怪しいだろうによぉ……、所詮さっきの外国人だよ、しかも世界まで違うっ。こんな宗教臭いヤツなんてロクなのいなかったろうに、危ないんだよぉッ!」「そうですよっ……大体こいつらが勝手に呼んだかもしれないのに勝手にしないでよ、ココから出てけェ!」
一人じゃない。ドアの隙間から、その荒げられる言葉に大人達が必死だ、黙らせないといけない。それでもその少年少女たちは大声をやめないでその聖職者を邪魔するのだ。罵倒する。
いつもの白い壁と透明な窓、薄暗い照明、だが冷たい廊下の端々から響くのは聞いた事のない。
「出てけ、外人は学校からでてけぇ!」「早く私たちを返しなさいよっ、返してよぉ!? 怪しい宗教反たーーいッッ!」
「ちょっと……っ、これ以上は」「良いから黙りなさい、黙りなさいって」「コラ――ッ、暴れるな! これは大人の話だ、首を突っ込むなッ」
温度の違う焦り方をしてて。しかし方々へと散らばる声が、さすがにこのクラスも平然ではないが。怖がっているだけで、あっちでは掴まれるが必死に揉み合い、押し合い。まるで海外で見るデモのようで激しい「お前ら教師こそ何へこへこしてんだヨォ、大体そんな簡単に渡すんじゃないよ、謝礼とか調子づくだろうが!」「そうだよ、大体うちらは被害者でしょう!? ねぇ与えられて当然なんだ……、全部全部騙されてるんだって!」
「いや……、イヤ、お相手さんは善意なんだぞ、今私達はここで友好を築かないとイケナイんだよ!」「止めてくれたろうに、見てなかったのか!? 大体いまは私達が相手方の世界に入ってしまっている、こっちは今不法滞在なんだよ!」
「でも魔法が本当に私達に無害だって言えるのッ!?」「そうだぞ――、大体どう見ても後進国だろに。ほいほいとそんな……ネェ、私達の事を売り渡して良いんですか、先生はァ!?」
「ネェそんな……っ、今から助けようとしてくださる相手にそんな害だとか、後進国だとか、アナタ達あまりに失礼よっ」「むしろ今だからこそだろ……っ、逃げんなよ、外人なんていれるな! 信用できない外人に全てを委ねるだなんて間違ってんだよォ!」
「でもだけどもアナタ達より分かりますからッ! 差別は論外よ、良いからアナタ達は出てなさいッ――!」
その喧騒は激しく、いや思った以上に激しい。あっけに取られる人間が多数いて……。
「あぁいや………――。あの、良いんだよ雫、俺は……うん」「ううん、勇……、ダメだよ、駄目……っ。私は助けられたから、だから……むしろこれがフェアなのって」
その言葉に唇を噛む少年。でもこのチャンスは絶対に逃せないからと少女が。
それを見やる視線も多くなっていく、クラスで注目を集めてしまう。でもどうしても譲れない、2人にとってそれは大事な――。
「ねぇ……、言ってよ勇、私はきちんと聞きたいよ。アナタの剣への思いを」
「なぁ……、いや。じゃあお前には悪いけどな、俺はもう先約があるんだよ、だってコイツに治してもらおうと思ってるし」
「え……―――――」
その言葉に複雑怪奇なカオをする雫は。そこにいたのはアノ加島 香炉、小さな影。彼女は息を切らし彼へと走り、それは教室を超えて駆け寄っていたんだ。
なんとなく曇ったような気がして。
「わ、私はでも……、私。アナタにしてあげれる事をって、このチャンスはね、きっと私と勇で」「いや……っ、俺だってお前との戦いをしたいんだよ、だってここは剣と魔法なんだぜ……?」
あの話を聞いてて俺は理解した、モンスターがいてドラゴンがいる世界だ、そんなレベルじゃないっぽいなって「戦いが待ってる。しかも俺らはなれるんだわ……、ホンモノの剣士に、あのサムライへ。俺の剣はまだ鈍ってないはずだ。なぁ、この世界ならもっとスゴイ決着がつけれるんだぞ雫――」
なんとなく、それは戻って来てる気がした、彼が。その言葉に思わず笑顔が漏れてしまう私は、彼もほっとした顔になって。それでもその少女には、竹刀を抱いたその――。
この時の決断が後の世に、世界全体への災いとなるとは誰も。
その黒髪の少女を見送ってて「なぁ……、悪いな加島。ただでも、その代わりになるか分からんが、俺はお前の望む戦いをするぜ、大丈夫だ……。他でも責任はきっちりとるから」「本当……ですか? 本当に。貴方は剣を取ると約束をしてくれるんですね、私と一緒に本気を出すと――」
戸惑いながらも、それでも加島 虹炉が喜び心底から頷くから。桜色は屈託なく揺れる。そうして剣の道を取り戻すという、その盟約が彼女とも結ばれる事となるんだ。ただ3人の心は――。
じゃあ楽しみにしておくから……、勇。明日はゼッタイだよ……。消えて行く少女は笑顔であり今すぐにでも竹刀を握りたそうだった。でもそうして彼の方は残った少女を――。
「なぁ……、加島。それで聞いておきたい、お前はさ……、願い、なんかあったのか。やっぱりお前も剣かよ、それか別の望みでも……?」
その言葉に胸を抱いて首を振る加島は、むしろそれで良かったのだと、あんな願いは……「あの……」だけれど、言った方が良いのか「実は私は――」
するともう話が進んでたらしく、試しに一人がその長年に渡り苦しんできた体の不調へと。
神の息吹を「眼が……っ? 眼が……治ったぁああ!? ウソだ……嘘だ嘘だウソだ!? 俺のが見える……見えるよ、これが見えるって事、これがホントの色なんだ、色で形でェ――!?」
確か彼は遠視の上に色盲だったはずだ、あまりに分厚い、アニメみたいな眼鏡をかけてたな。現代医学ですら無理難題であり、でも治ったようだぞ完璧に、それは人並み以上に。メガネを思わずあわあわ手から落とす姿、かけ直そうとしてて、でもイラナイと気づくその幸せそうな様子に、全員がうなずく。本当だったようだ。
「私、楽しみにしてます。勇さんがもう一度剣を取る事を。それはきっときっと見た事のない、私の願う夢すらも超える存在になれるって信じてますから――」希望を抱く。例えその先が2人の終わりであっても。




