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 畢竟(ひっきょう)として。



「えぇーーと、それでネ、まずはね……、あの、大人しく聞いて欲しいのだけれども。すぐに洗礼を受けた方が良いそうなのよ」

 木美ちゃんが汗を流して言葉を必死に紡ぐ。それは世界で生きてく為にもう一つだけ神の恩寵とやらを与える、という話らしい。らしいのだ、必死だ、とりあえずどうやらそれは異世界人にとっても有効らしいと。大変な力がもらえると、なんだかそれって。


「あぁ~~それってスキルみたいなもんか……、いやマジでか、本気の転生じゃんよぉ!」「マジマジっ……異世界転生キタわぁ!」転移ですよ、これは転移です!「ねぇねぇモフみちゃんそれマジでぇ? ねぇなんてなんて、ソレどんなのって言ってたァ!?」

 ざわざわと揺れる教室。

 その白のローブをまとった男が笑いながらニコやかに立ち「えぇ、えぇ。それで解説しますがね? その洗礼は厳かでかな」アァー……っ、マジかぁ~っ、夢叶っちゃうかぁ!? どうするどうするぅっ……俺さぁ、色々リスト持ってるわ。Sランクばっかのスキルよォ。

 俺それよか腹減ったぁ~。えぇーー?いきなりスキルって、訳わからないよねぇ?


「あぁねぇ……、お願い黙って、お願い、アノ――」「良いから黙れぇえ、お前ら! 今からスーパー和樹さんの誕生だからな、この俺の輝く未来が待ってんだよぉ、説明聞かせろよぉ!」

 はははハ。その笑いの中でゴホンと、聖職者らしきのが前へ「えぇ――と、良いですか? 良いですね――。はぁ………、、生まれた時点では魔力は体に毒なのです。少し生命エネルギーとは衝突しやすく、いや……まぁドラゴンがですね。それで暴走などを誘発してしまう、だからそれをせき止めて置くわけですが、それが解放した時に一気にエネルギーとなれますので」

 そうして色々な宗教色の強い言葉がその教室へと放たれる。受け止めるコンクリートもビックリだろう。まぁざっくりと、今まで貯めた分の魔力を使うのだ、全身にいきわたり強くする、人間が最初に自分で得られるスキルがこれらしい。風習の違いはあるがこの国ではそうなってると聞かされた。


 そうして「カギは願いだ……。御神(おんかみ)の前では必ず絶対に本心を隠さない事。アナタ達にはもう後がないと、その時の強い強い願いが力となるのですよ――」

 うなずく、木美の汗、それで質問が「あの……、どれくらいできるんですか?」「どれくらいとは?」「あぁ……その」全員の視線が集中してて気まずげに「転生特典ってのは例えばぁ……、どれくらい差が出るのかとかぁ……、イケメンとか、なぁ? あとあと例えばもしオタク君が伝説の剣が欲しいとかぁ~……?」

 その言葉に笑っている者がいるが、確かにそうだろう。あと何気にさっきからその茶化すような様子に厳しい目をし続けている聖職者は。多分ホンモノだろうなって感じで。


「あぁえぇ、人によって個人差がありますね、ソレに関してはどこまでやれるかは未知数ですよ、正に神のお導きだ……。本当に伝説となる剣を生み出した方もおりますしねぇ」

 その言葉に顔色が変わり、どよめきが起こる。今の言葉が本当ならば無機質な物を生み出す事も可能なんだろうな、正に魔の法か神の現実か。俺は、コブシを握った。


「じゃ、じゃあレアな力ってどんくらいの、何%で出るんですか!?」「%? パーセントとは……、なんです。分かりませんよ」

「あ、あの、じゃあどれ位の確率で帰れそうなんですか、俺は元の世界に今すぐ帰りたいんですけど!」「あぁそれに関しましては……、えぇ、神のみぞ知る、という言葉しか」えぇ……。

 感情のないカオ。その言葉に少年少女はそれぞれが思う、質問が飛ぶが、詳しい説明は後という形になるも、しかし誰もが居ても立っても居られない。


「ねぇ、ネェ、でもね……あの、先生思うの、きちんと考えてねっ? それは帰った時も考えて欲しいの……っ。確かに今は危ないよ、危ないけども色んな事があると思うのよ。それは大事な人生だから」

 ねぇねぇ……雫さんはやっぱりさー、そうなのぉっ? お決まりの剣だもんねぇ? コレさぁ、すっごい事になったよねぇっ……。もしかしてもしかしてぇ、これって持って帰れるのかなぁ!? だったらもう絶対私ら――、だが、必死に振り払うから、私の顔は真っ青で。


「ごめんなさい、ごめんなさい……っ、後にして……ハァ……ハァ……!? 少し通して欲しいのよ――ッ」

 その切実な顔に仲間たちが、そうして先に辿りついたのは私の方だったから「ねぇ……、ねぇ勇っ……。もしかしてそのウデは治せるのかな―――」


 その言葉を押し出されて、俺はどう答えようか迷う。だが幸せそうな顔をしているから、幼馴染だったことを思い出すんだ。なんて久しぶりなその――。


「俺は……大丈夫だ、雫」

「いえ、なんで……っ、ねぇ使いましょう……! 私は覚悟ができてるよ、これならアナタを治せるんだもの、やっと元通りになれるから私……っ」「でもオマエが失っちまったら意味がないだろう。さっき一生で一度の事だってそう言ってたろうに。お前だって願いの剣があるはずだ!」

 そんなの……どうだって「ねぇ、私は良いから、勇はゼッタイ治してよ、絶対絶対――ここで治しましょう!」

 恐らくこれが運命を別つだろうから、二人の思い、俺の剣道が戻って来るんだよ。


 ただでも一方で先の見えない異世界に思う事を。


 未来を、故郷を、そうしてこの世界の形を。これは好機なのか、それとも。



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