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「あれが……、賢者」
すさまじいオーラで歪んだ存在、その狐のような化け物。加島が、傷だらけで追ってきてた少女が胸の剣を落とす、その5つある瞳を全てつむった森の賢者がやってきてて。
白き森の破滅、ドラゴンが治めしこの世界の異端。
森を――せし者、メゼド・ゲノヴァ。【ジ・オリジン】。
「やはり……、オマエであるか。この数日で木々を、風を、そうして夜を蝕むのは……」
口が震える、それでも、それでもだ「聞いているのだ我は……。貴様らはこの臓物たる森へと入った、その真意を問うとな」
あ―――「あぁ……、頼むよ、頼む……、アンタ……知ってるんだろう――」
差し出すまだ幼い命たち。恐らくこれが最後だろう、この時をしくじれば全てが終わるから。助けてくれと深く深く頭を下げた。
「助ける……、確かに賢ゆえにな。ただそこまでか……人間よ。だがなぁ、いずれ何かを貪るぞ? それはむしゃぶるのだ」
それがこの世界の摂理で、真理だと。見てはならぬ、まだ見ては――。
「オマエはその時ムクロに何をいうのか、何を答えるのだ……? ここは喰らう世界だぞ、異物、異世界のヒトよ――」
「うぉおお! ありがてぇ! ありがてぇえ!」「召喚士さま、バンザーイ! ご即位おめでとうございまーーすッ」
盛大に祝われている、その遠くで。たくさんの肉が振る舞われていて、誰も彼もが歌って踊り、そうして酒を飲み交わす。
公共事業のような物で、特に大掛かりな召喚師の出立は飢えたこの世界では最高の機会。肉がたんと――。
「そう……、そうかよ、やはり俺らは……」
この世界に突然呼び出されて、迷う。正義に迷う。
そうしてススだらけになって傷つき、俺らは消費されて還っていくのか……。どこへだ。
「でも、それでもだよ……、俺は助けようと思うよ。召喚された世界のルールでアイツは奪われたんだ、だったらここで俺の正義で奪ったんならそれが正解なんだよっ……そうするしかないんだ!」
「ふぅぅむ……、しかり、しかり。あい分かった。ただ都合よく等という、そんな妄言は吐くまいてナ、フフフ。お前は何故か王を成すからな、貴様はザ・カードをするのだろう?」
その強い強い瘴気と共に開いた、デッキを取り出したのだ、背骨が開くホネが鳴る「では貴公のウデの呪いについて1つ、我にも是非、その力を吸わせて欲しいのだよ……、アジが知りたいのだがぁ――あ?」
せり出してくる濡れたデッキ、やはりこの腕を気にしてるのか。この俺に用があるという事は大体そういう事なんだろう、デッキを掲げては、ただ……。
死ぬ―――――。
確実になんの迷いもなく1ターンで死ぬと。
「安心せよヒトよ、戦わぬぞ。ただ我は呪いのエネルギーをもらおう、今ある分だけを吸うに過ぎないとな。契約だ……。それは死にもしないし、痕に残る物はないという事。幾らでも回復するのだ、ただ……、賢者としてなぁ、少し味見をなぁ……」
そうだ、世界を異とするのが放つチカラを見せよという――ヒッヒ。
うごめく見事な毛が、その為のデッキという人質のような物、簡易ソレム・オースだと言い無明の獣が舌なめずりするから。
うなずいた。加島もうなずいた、デッキは微妙に。いや、でも仕方ない、危なそうならば頼んでおくから。その大きく恐ろしい狐が口を開け。
だがしかし何より腕が驚いてるんだよ、それはエネルギーを抽出されるという恐怖か。鼓動だ……黒の翼の恐怖心が初めて……「俺が何度語りかけても一切応えなかったのにな」
しかしこのような事を呪いに対して行える者は恐らく――。
「い、良いぞ……、賢者よ、俺のエネルギーだけならば問題はない」
「エネルギー……――、ふふふ。そうだ、お前の生命力と思いなのだからなぁ、それはお前達のなァ」
アギトを振り上げ、ゆっくりと優しくその腕にかぶりつく大きなケモノは「グヒヒヒ、なるほどなるほどォ、これが貴様らの力か――」
黒き力が吸われる、辿って行くその力、その視点、その起源と「文明……、なんだコレは。そこにお前達はいるのか、なるほど。異世界とはそこにある……それが異世界の理であるかよ――」
「コイツまさか」
その時にやっと失態に気づく。そうか、こいつは賢者だ、賢者なんだ。チカラを捨ててかきわけかきわけ更に吸い出すようソレを求めて行くんだよ、ドンドンどんどん眼を見開く、1つ、2つ、粘ついたマブタが糸を引いて「クヒヒヒ、なるほどぉ。テレビ、哲学、政治に、光学世界。オマエ達はまだまだ子供、そんななりでも……そう、未来を壊す力はどれだ。その世界の理は……」
あぁ、いや……? なんだ、なんなのだコレは。
「兵器と、言えるのか――。そうか貴様らはそれを伴い力と為すのか、それが……、この光が貴様らの恐れる」
ぐっ……「これ以上は―――ッ」
なんとか引きはがすが、まぁ満足と行ったところか、舌なめずりする白の賢者。息を吐き、底の知れない化け物だと思った、ヤツは呪いなどは全く興味なかったんだ。
賢を貯めてしまうケモノは、それがドラゴンエーテルの異端であるという意味は今は。
そのまま猫たちを口にくわえた狐と別れてく、かの猫人たちはその大きな大きな賢に囲われて肉球を振り。
「勇……、ブレイブ、か。奴はまだ知らんらしいなぁ、お前達の事を。ドラゴンエーテルよ……、フフフ」
しかし、新しき力はやはり古かったな、愚かよなぁ……剣聖も。
選択のミスよ、だがその手をこまねいてしまった予想外がこの世界を―――。
イヒヒヒヒ。
「はぁ……っ、はぁ……っ! 良いぞ、お前はもう良いんだ、加島」「ハァ……ハァ……!? そういう訳には、あのお爺さんが――。そうですよねぇっ」
もつれる足。その言葉にうなずくが、クモの爺さんはあのままどうなったのか。今すぐに見に行かねばならないだろう、帰っていれば良いが……っ。
雨の中、血を飛ばしてそのテントを開け放つ俺は「大丈夫か、大丈夫かよ――」
「フゥ……フゥ……、もう、難しいかもしれん」
その傷は深く無惨で、そうして大きく変化していた。腕がない「安心せよ……、お前のせいではないナ。どうせ持たんかったんだ……」
その姿に唇を噛むんだ。そしてあの一枚を描く、もう既に名前も忘れてしまった。今は遠きかの姿が映されてしまったカードを。
「あれだよな。あのカードを得る方法を俺、探してみるよ……っ。アイツら売るなって言ってたけどな、俺がなんとかするんだ、待ってろよクモの爺さん……!」
「なぁ……、良い。それよりこれをやろう、一つの造形だ」「馬鹿野郎、いらねえよ!」
だが悲し気な顔をするのだ、それを押し付け「もっていけ……、持っていけ。お前の仲間は今危機に瀕しておるのだろう」持って行けナ――。
苦しむその姿に、とりあえず学校の回復使いを呼びに行った。加島は走って行く、彼女も限界なのに。
その壁に……、一人になったテントで独りごちるのだ。
「良いか……、必死になって掴まねば零れ落ちてしまうナ。行け……、行くのだ、弟子ヨ」
雨の音、その目の端、燃え始めるカードにワシはうなずくよ。
運命とは異なものだナ、やはり確信できた。
やはりアイツらは儂の死でしか――。
「なんとかあと一回は……」
だが闇は晴れないんだ、誰か、助けておくれよ。




