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「ねぇ勇……、こんな誕生日会したっけ……。たった2人だった。だってアナタは強すぎるのよ、強すぎだったもの……」
自分達の世界を、今はもう異世界となったのを思う。
師匠も困り顔だったよね……、だって3年生で、もう6年の最強を、あの一番偉ぶってたのを下したのだから。完膚なきまでに兄貴分を倒したんですもの。
練習の邪魔するのは容赦しないし……、結局、あなたの相手は師匠か私しかいなかった。
「そのあと学校の友達が少しだけ駆けつけてくれたけれど、おそらくは全然……」くすりと、あまりの懐かしさに。
「あら気持ち悪い……、何を笑っているのかしらぁ」「なんなのあの小娘は、本当に」
その後激しく打ちあって、二人、結局は誕生会なんてなかったから。師匠は必殺技をねだられてただけだったわ、困ってた。あぁ……でも、私はあの技は結構ね「あらア? あなたぁ、一人で何をなさっていらっしゃるの~?」
その現実感ある声に振り向くと一人の少女。そうして直ぐに教えられた所作を行う私、スカートを広げ。
「あぁ、あの……、今日はお越しいただきありがとうございます。わたくしは構呂木 し」
「はァ? お前……、ちょっと失礼ね、ただの一般でしょうに――」すぐに蹴り倒してくるのだ、ガードするけれど足跡がドレスにくっきりと「ねぇ~ぇ? どうなってるの~~? 貴族たるこの私がゴミに話しかけられた訳じゃないわよねぇ? んフフ、この、貴族の私に一般が話かけたワケがないわ~」
見下した目、そうしてその給仕さんを差すのよ、今まで作業していた彼を「あのねぇ……? これはわたくしに従う由緒正しき料理長よ、あれにはそれ相応のバロン(男爵)を与えているのですわ」
「イエス・ヴィスコンティ、お嬢様、上々ですね。ですがココまで格落ちするとは……、ふふ。いささか料理が可愛そうかと。あと何よりねぇ……この馬鹿が同様に私に話しかけてくるのですよ、あなたのお父様からいただいたオゼネド領のバロンたるを、如何様な要件があるのかと」
庶民のカスがよ、その見下げる目は本物の。
「おぃ……、そこの平民、ヴァカなのかしらぁあ? アナタただの一般でしょう、人じゃないわよねェ? 助けに来たのよ、ソレに話しかけるのは私たち貴族からだけなのヨ――」
まるで天皇陛下ね。
するとその目が気にくわなかったのか即座に殴って来るから、目線であからさまに命令し、男もコブシを「――!?」「なんて失礼な奴だよォ――、全く、貴様のような下民に話しかけられるなぞあり得ないっ……教養がないのか、この異世界人めがッ!」
散々蹴ったあげく笑みを浮かべて、粗末なその貸しドレスを踏みつけるのだ。
「この……、いつまで経ってもプレーンレス メイデンが――」「地平線を征く、戦姫? あら、そう……。格好良いわね」
その彼女の眉根が何度か弾む。カノジョらにとっては土地こそが全てだ、土地にこそ価値がある。
中世ヨーロッパ、何せ貴族称号とは土地につく物であり、例えばだがワシントンは王都としてもだ、ロスアンゼルスはデュークであるという。それはまずは土地があり、それにふさわしい者が派遣されるしかない。評価が合致した者が治めるというイメージなのだ。
だからロスアンゼルスを治める=公爵となれるわけだ。
じゃあサンディエゴとダラスは? 和歌山や三重ならばどれくらいがつけるのか、茨城は? そう、どの土地にいるかで力関係が微妙に違う。温泉はあるか、鉱山はあるのか川はキレイか経済はどうだ。
5等爵であっても例え同じ位の地位でも微細なる差があり、その差でのマウント合戦はし烈。席順などは正に紛争。
そうしてこの世界での土地はもっともっと―――。
「恐ろしい程の気持ち悪さね……――」
貴族の少女は震える、仕方ないだろうか。PlainLess、土地を持たない地平線であるという事と、そうしてその次元にないという事も含まれていて。
「ふぅ……ふぅ……、ともかくね、下民がね、調子に乗らないのよ……。王が全てよ 我ら貴族が全てなのよ。そうして何よりもこの爵位こそが命を表している……。じゃあねぇ~? もう良いわぁ。アナタの剣もアナタの血も、汚い異世界からの献上お疲れさん――」
遠いところありがとうね~、じゃあもう、死ぬほど働いたら死んで良いわよ。
その後、帰る事はなかった。ベッドにつく事も、食べ物も給仕されずで、ただただ誰も来ない舞踏会で一人だけ立ち尽くすだけになる。平民なんぞは。
ただでもナンデ、その少女は明らかに飄々としていると。
「せっかくの服、汚れちゃったわね……」
その姿に眉をヒクつかせてるのよ、剣を振る練習をしているから私は「ねぇ……、 ねぇ~えぇ? でももう勃たないらしいわよ~、知ってるぅ~?」
こ・ど・も、んフフフふ――「せいぜい盛大に腰を振る事ねぇ……、全力で頑張りなさいなぁ、だって義務ですもの。プレーンレス メイデン、やっとそれで爵位も貰えるわぁ~~」
でもそれは当然私にもよ、腰ね。
腰ヨ。
「フゥ……フゥ……」その時、剣を取ろうかと迷ってしまう私が。震える手、ヤメロとあの赤い目が。
消えて行った。そうして世界で最も美しき剣は故も知らず、その誇りをも知らされずに磨かれることになる。
「さぁ言ってみろよ、我ら貴族はぁ……? どのように愚民を治めてやるのだ、ホラっ!」「貴族階級とは庶民を統治し……、そして導く権利がある……。はぁ……はぁ……、生まれながらに特権を有していて全てが違い、庶民には何も無くて、生きる事も……貴族の赦しが必要、いえ……」うぐぅ。
途切れればその鎖を思いっきり引くから「ナァ、どうしたよっ。もっと良い感じにさぁ~、心を込めてやりなよぉ、アンタ勇者なんだろう?」
「フ……ふふ、でも……、何度言葉にしたって同じで……、アナタが強くなるわけじゃないし、可愛くなるわけでもないから」
「おぃバカが、そんな事広まったらどうする!?」「ハァ……ハァ……!? ぐぅぅ――」
先ずは教養だった。この世の大原理を学ぶ事が必要で、そしてそれを実行できる力。実行とはひとえに何も考えず正義を為せることで、民主主義だ、頭数が多い民を主がどう扱うべきかを知る事。
「もう一度だぞ勇なる物ォ! 何度やらせんだよオ。この正しい導きを理解できぬようならば外へは出せん、今すぐに覚えきれよ!」
「しっかりとやれと言われてる……、お前は所有物だから我々の名誉が傷つきかねないんだっ。病原菌の巣から出てきたのだ、綺麗にしてやるよ――ッ」
「病原菌とは……、それは、山塔の事……? はぁ……、はぁ……、ハァ……」ねぇ―――――。
その時に一瞬で目が変わった。さすがにそれには驚くしかない、黄金が見えてしまうから。それに教師がクサリを発動させるのだ、ただそれでも耐えるは。
「私の、大事な……っ、はぁ……はぁ……、それは。苦しんでるのよ、病原菌だと言うなら――」
バチ、バチチ――また圧を上げるが、金色が始まると制御不能になりやすい。だから魔法を追加で「待ちたまえよ……っ、見ていられない、そこまでだぞ――」
「シュ、シュトルツァ様、何を――」




