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「ねぇ、アンタさぁ、コウロぉ。マジで強いのぉ?」
「……――」「ねぇ? ねってば、コウロでしょう? 名前言いにくいからしずぅくはイラナイとしてぇ……フフフ、な~んかすっごい変な名前だもんねぇ? だからあんたはコウロね~」
「あの、その名で呼ばないでと何度言って」「ヤダヤダ、なに怖~い、大した家でもないんでしょう?」「でもでもどうなのぉ、本当のところさぁ……前の世界ではどんな家柄だったの~?」
「庶民よ……ただの庶民」
その言葉に一気に声色が変わるが「でもアナタよりはお金持ちで気高いから……」
「えェ? 何言ってんのよ、ふん―――っ。冗談キツイでしょう、ねぇ……っ」「挺身姫のくせに調子に乗らないでよッ!」
彼ら彼女らは家柄の事を言うと簡単に怒り出すのよ、まぁでも、何もしないのだけれども。私はなんとも言えないそのアニメみたいに傲慢で強情なのをただただ見やっている。
正直私としては庶民で満足という考えにならないこの世界が怖いくらいで。
「そんな事、分かりもしないよね……」
そうして最終的にはわなわな震えて舌打ちして「で、でも実際良かったねぇ……、王の奥さんだもんねぇ。例えどんな名誉よりも素晴らしいってコウロぉ~」
「ただ、今はアナタは平民よ。そうよ、まだ爵位すらもらえてないのよぉ? 私のお父様は伯爵、アールだし言葉に気をつけなーっ?」
ねぇコウロぉ――。
まぁ、その嫌がらせはずっと続いているから。
実際彼らとしては挺身姫、そう私は完全に傀儡ということが何よりお気に入りで。すごい上下を気にする世界なのよ、そうしてコウロと呼ばれるのを非常に嫌がるのを良い事にひたすらに絡んで来るのだ。
授業でも、実戦練習場でも。
「では戦闘技術の授業を始めます。これに関しましては一切の遊びはありません、覚悟なさいネ――。実習はまだですがね、すぐに行かないと遅れますのよ、そうしてすぐに旅立つ愚か者は多くて悲惨ヨ」
そういうと緊張感が増す。すぐに魔力増幅用の手袋をして簡単な魔力の体操をしている、らしいの。大体が指を折り曲げて、それを属性にして覚えるらしい。例えば1本目人差し指は火を、2本目なら水というような。
しかもそれって人によって違うのね、人差し指が土だったり水とかの人も。
そこは芝生にした弓道場のような、的へと指を向けてカウントしまくるから。
「あの、すいません、私は基礎が分からないです……、指を曲げても意味がない。魔法を教えて貰えないでしょうか」
「あら、何を言ってますのぉ? ほほ――。アナタは剣だけを学べばいいのよぉ、剣以外は不必要だわ。勇者とはそうあるべきなの、貴族の道理ですわよぉ」
ホホホ。
全く相手されない、むしろ標的にしてくるから。
しょうがないから自分だけは剣を持ち、ひたすらに魔法を眺めるかしか。
それはでも、マトとは言うけれども実際は取って来いに近いわ、適当に投げたのを斬りに行かされるのだ。
犬みたいに走らされて髪を流す、汗を振って私は「むしろ的にして欲しいのに……、なんで」
何度も走らされてクタクタだ、自分も強くなりたいのに。
真似をするように魔法を模写するが、何かが足りないなって……。ただ休んでると小声で「アンタ……、本気? 無駄よ、魔力は使えないわよ。教えてもらってないのね? 貴きなるもの、強き者は白銀だけを持ち、見事に銀鋼を為さねばならない、その為の首輪なのだわよ」
その私の首飾りを遠巻きに見てて「えぇ……、ナゼ……、剣だけを? 明らかに魔法を使った方が良いわ、それは剣聖とは言っても別に遊びではないのだから」
実際さっきからずっとずっと魔法を打ってるじゃない。そう言っても首を振ってくる、正直全くもって当然だと思う理論で――飛び道具って強い――だからね、普通に強い方法を選べばいいと思うの、別に剣聖でもあのように……。
「矢を下さい、矢を下さい、矢を――」そうすると光の矢が現れるから。私は斬りはらった。でも少し変な気持ちになるかも、ここまで簡素な事があるのかと。もう少しアニメ風だと思っていたのだけれどもね……、どうやら頼み込むのが普通らしいです。魔法。
いっぱい撃ってるけども、なんだか悪いけれど物乞いとまでは言わないけれど他力本願。
火を下さい火が欲しいです、水が良いんです……私は今水が欲しいです、水を……。
それは何せ思想だというから。
「うっへ……、すっご――」悔し気にその狙った少年たちが震えるのを見て、隣の彼女は赤の髪を撫で上げた「そ、そうねぇ、でもアンタ剣聖なんでしょう……? 剣聖なんよ? 魔法は良いでしょう、しかもなにせ神様がお選びなさったのにさぁ?」
「えぇそうみたいね……、でも魔法があればもっと良いハズ」
「あぁ、まぁ……、そう。でも魔法にはねぇ……色々あるのよ。だって法律だものね。じゃあアナタは剣だけで、勇者はそうあるのよ、例えどんな時も前衛で生きるの、それ以外は必要ないわよ」
「剣は、勇者はそうである……」
その言葉に少し眉根を上げる黒髪には、これは神様に認められた癖になんていう罰当たり、ただ、結構良い髪の艶してるのよね……、正直、あぁいえまぁ――なんでもないわ。異世界の蛮族風情にこの私が。
「じゃ、じゃあ少し本気出そうかしら~。じゃあそれでさ……、勝ったらもっと教えてあげるから」
そのツインテールで赤髪の綺麗な少女は笑うのよ、特別らしいそのステッキを自慢げに振るって。珍しいと漏らす同級生へ笑い一歩を踏み出す。だからとりあえず白銀の剣だけを振るう私は、納得はいかないが強くはなれるだろうか、ひたすらに斬って払うが。
ただ……悪くない。
コイツ……っ、どんなバケモノで――。
「ふぅ~~……、良かった。えと、それでね……、教えてくれると約束だけれど?」
フゥ……フゥ……、フゥ……。 ふぅぅ~……「まぁねぇ……、一言で言うとね……。えと。魔法っていう言葉自体が、それって龍族が名付けた亜流だからなのよ。それが私達のある種呪いでもあるのって――」
息を吐く、息を吐く。この世界で魔法を定める事は比較的容易だと。




