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「て、手札からまずはなァっ、オレは0コスト【お守り程度の幸せ】シールド+2をだ!」恐ろしさに声をウワズラせながらも万能の差し手を打ち込む。全てにおいての安心の1手目を加島へ。


「ではコチラだ、手札から真理1:【哨戒のゴブリン】2/1をココに! 更に1真理:【用心深きゴブリン】1/2も、このカード2つは轟軍を持っている、ゆえに墓地に複製をつくるぞ!」手札3、マナ0へ。

「墓地に複製品って……?」さっきから何かの合図か、恐らくはそういう事なのだろうし。ただ複製もドロー可能みたいだ、なるほど、ゴブリンはユニット枯渇はしないのか。


 スポッターと呼ばれる配下も含め累計4の轟軍が行われ、4枚の複製が墓地へ流れ。

「そうしてゴブリンシャーマンの効果発動ダな! 代償のない祈祷、墓地にゴブリンが2枚増えるたびに好きなユニットに攻撃力を+1、もしくは1/0のゴブリンの影を召喚だ! 当然影を呼ぶぞ、ワシはなぁ!」

 そうして開始から並ぶゴブリンの影、4体。1/0とは言え無料で増えて、しかも俺達1人くらいなら止めれる可能性を持った攻撃力で。

 なるほど。轟軍ってのはそう使うのかよ、思った以上に増えてくか――。

 ゴブリンを召喚する度にゴブリン増えて、そして影をも増加させる作戦だ「物量……。堅さは捨ててるがその分だけ攻撃参加し続けるのか、スライムとは全く異なるな。その性格も、速度も。コッチは常に前かがみの増加で」


 個体数と集団性が上がるゴブリンの群れ。そうして相手から更に現れる融合型のカードも。これは初めてだ。しかも結構どころかかなり――。

「召喚! 真理無し:【門番、4本腕のゴブリン】轟軍1。追加コストとして場のゴブリン2体を破棄するゾ、それらの攻撃力/防御力を統合だ、更に防御力を+2で3/5へと変更! そうしてこの1体は再度召喚したとみなす!」

 轟軍3が発動して複製3体が墓地へ。その時点でゴブリンシャーマンの能力が発動、更に影を増加、墓地7枚で合計5体目が登場!

 目の前で合体してなんかゴーリキーみたいなのが現れたぞ、ポージングするのだが。だがなんとも中間融合カードとして優秀な。

 青筋を立てる、自分の手札がこれ程に軽く感じ始めるとは。


 でも相手の手札は2でマナは0だ。ひとまずもう面倒なキャラは出て来ないはず、マナがないなら今から

「更に更にぃい!【ゴブリンのアンダーグラウンド、処理部隊・隊長】を召喚だぁ! 真理2:2/5、このカードは真理を消費する代わりに場のモンスターを4体捕食する事で召喚してよい!」

「まだやんのかよ――」こっちは当然のようにゴブリンの影がコスト対象として入るらしく。冷や汗が湧く、しかも轟軍までしてくるゴブリンの影が追加召喚!

 影が5-4+1で2、ほぼほぼ戦力変わってない。


 そうしてそれはそっと現れるんだ、ゴブリンの割には妙に静かで。だが既に2コストというだけあって仕事をして来たのだろう、仲間はもう陰だけで十分で、血まみれの静寂の中を――。

「コイツ……、しかもこのカード、1チャントタイムごとにゴブリンの影を生み出すのかよぉ」そうしてやっと手札は1、マナも0へ。

「おぃおぃ大丈夫かよ勇、こいつ等さ……こんな速度、なんかさすがに早いってぇ――」

 このわずかな時間であっという間に盤面を制圧してしまった。

 速攻の攻めで、2コスト帯が4匹もいて、1コスト帯1匹、影2匹もが並ぶ。総数7体もの盤面を。


「あ、あのさぁ……、カードゲームで次々とコンボで増やしたり呼んだり意味不明に強くなるの、あれ目の前で実際やられたら怖すぎるんだが」

 そのヤイバの群れに、さすがに俺もうなずく「これって……、勝てそうか。ナァなんか本気で多すぎないかよぉ――」

 ただ……、おかしい。何とでも交わると言う割に革新性を得ていないな。これはこの種族の最大の問題ではないだろうか?


 それは4つん這いのゴブリンや竜鱗のゴブリン、はたまた天使ゴブリンに破壊大帝ゴブリン。いたって良いハズだ、それは違うぞ? そこら辺にという事だ。草の間や側溝に、もしかしたら木にはさまって。

 だが恐らく弱いのだ、彼らはそういう機構において弱い。

「影……。まさかと思うが、こいつら夢魔の一種か――」

 なんとなく思う、それは最弱においても最強の生殖家。くくりとしては夢魔に入るのではないのか。だから現世では弱い、そうして消えもしにくい。体形も一定するし知能も変わらない。


 犬にかまれたと思って我慢しな……、な……。


「でも良かったよ、手札にあってな。コッチもじゃあ速攻で。俺は加島に1マナ:【老犬の加護 リン】2/0 敏捷+2を召喚! 行け、Garden Of The Mare!」

 六芒星が走って少女が変身し、「おぉぉ!? イヌぅ!? そういう趣向もあるのか、ソッチがあったかぁあ!? ふかふか尻尾でありながら、犬の癖に尻がしっかりぃい!?」

「手札2、マナ1。そうして俺も行くぜ、抜刀――レイヴン・アナセマ。聞きたまえ我が嘆きの後(のち)に、月が導くは我が羽根の行く。その無業の白きは散りて――」

 腕の霊符が包帯のようになり、羽衣の如く巻き付いてその膨張する黒翼のツルギが光る。俺は本当の意味で呪いの翼を抱いた戦士になるから、黒翼召喚――!

「ふぉおオ!? だがやはりコッチで良かったぁああ!」


 心底喜ぶ姿に、俺は非常にお尻に以下略、「ならばだ……、くくく。ここでワシ自身の能力を使用だ。暴飲轟食:手札か墓地から種族ゴブリンを2枚追放する、その分だけプラス修正をもらうゾ!」+1が永続するという破格効果が発動!

 墓地からズラっと並ぶその心象、ゴブリン・エネルギーを全身で吸えば「フヒヒ、アーハッハ、美味い、美味いぞ。これならいくらでも強くなれるぅ!」


 血にまみれ強くなる。奴らはやはり幽鬼なのだ悪夢の一族。このまま轟軍され続けて影を生み出されるとかなりマズいだろう。速攻で堅守、轟く程の進軍!


 既に軍隊を為したんだ、個体としてはイマイチだったが今や手が出せないほどの。

 でも斬り込んで「和樹は無茶をするなよ! 数が多いからな!」

「あぁ、でも雑魚を倒しに行くよ、口だけじゃねえんだ、特にあのシャーマンをなぁ!?」

 7対3、もう初手で最終決戦、全員で必死に戦うが量が多い。

 駄目だ、2コストが1人に1体つく、コスト1がオマケで群れて来る。

 あのシャーマンは飾りとしてもセットで受けるのはかなりつらい。それは死刑宣告に近いのだ。


「お、お、おぉぉ!? おぃ、どうやってこんなの、ぐぃいい!?」

 特に和樹なんかだと身動きすら取れない状態で、一撃を入れる隙すら見受けられないんだ。だからとりあえず景気づけに、そうしてヘイトを買う為に一気に俺と加島が斬り込むから。

「加島っ、お前はあのリーダーを頼めるか、すまん! 俺じゃさすがに無理だ、その代わり雑魚は引きうけるんだぞ!」「はい、もちろんです、私頑張りますから、でやぁああ!」

 誰よりも高速で早い犬ミミが一撃! それを不動で力強いリーダーが受ける、何せ今や4/7。そのリーダーに加わろうとした雑魚を俺が斬り払い、そうしてあの【処理部隊の隊長】が来て切り結ぶが、更に追いすがる後ろからのヤイバが――。

「いや、俺ももはやどうなってるか分からん――」


 押し寄せる波、波、波!

 この時直感だが、恐らくそう何度もドロータイミングが回って来ないと知るんだ。切りつけられた、だがそれで揺れてたら轢き殺される大群へ。鬼の形相で左手で捕まえぶん投げた、一つでも影の発生源を消さねばならない、その鎧を纏う処理隊長の肩を穿つ。


 オドオドしてた和樹だが、さすがに2コストを2体も任せるのはマズいと、その門番に斬りかかるから!

「がぁあ!? ぐ――」1撃でぶっとばされて、和樹ではかなり荷が重い2コスト3/5。でも防御力で我慢していくしかないかと、一方的でもなんでも進むのだ!

「ただ……、恩恵を受けてて、それですいませんが、強いです。はぁ……はぁ……!? こんなに強いんだ」「ひひひ、軽いなメスよぉ。それではワシは倒せんぞぉ!」

 薬が盛られたゴブリン松村の相手はあまりにも辛い。


 確かにこちらのスピードには手を焼いているけれど、それでも頑強さと攻撃力は既に3コストに突入ですか。

 真っ直ぐの拳で剣を止め、左の掌底。俊敏さで逃げて見せても回し蹴りで飛び込みカカト落とし!

「がはぁ!? あ、うぅぅ」その暴虐王の1撃に倒れ込んで。初見ではなんとかなると私……、でも乗り超えられる気がしない、技術も申し分なく筋肉、威風堂々たる松村の!


「おぃ、これは……、さすがに詰んでるぞ。俺の尻の為になんとかするしかないがぁ――」

 手札にある【スライム】と【ライトニング・ボルト】に迷う。今もしスライムを出しても消されてしまうだろう。1マナが非常に惜しいのも、何せ目の前の敵は手練れで。

「ぐぅう!? コイツは……、この処理隊長、やはり精鋭だよ。かなりの実践を積んでるんだ」

「貴公は……――」ふしゅぅゥ。

 しゅば……――。

 ほぼ完全に無口なソレに、それでも動きが機敏だ。手の甲に差し込まれたブレードで斬り飛ばそうとしてくる、コブシに近いそれで。鋭利鋭角、花はなくて鎧は薄汚れておりゴブリンの中では恵まれた体格だが、少しやせているようにも見える悲壮。


「剣筋で分かるんだよ、最低限で最高の結果って感じだろうか……、はぁ……はぁ……、疲れてるなオマエ。フフ」

 ただそれでも剣の腕は俺の方が上だぜ、能力をすぐ止めてやるから――!

 俺のこの黒のツバサは長くて突き出せばなかなかの射程、そして一閃。

 その静かな敵【ゴブリンのアンダーグラウンド、処理部隊・隊長】。打ちあう、それほど天才ってほどは強くはないが、ただ……。


 体から湧いてヘイズがなびく、そうして突如湧いて来た影の一撃に体をよじるしかなく「クソ――、チャントタイム1。登場した瞬間から攻撃してきて、しかもいくらでも生贄対象(サクリファイス)が湧いてるっていう考えなら……。はぁ……はぁ……、食料が湧くんだ。恐らくそういうコンボも入ってる」

 それでも黒翼のキバで切り裂いた相手は処理隊長で、影はグローブ付きの左手で掴む、1/0ゴブリンを、そうして地面に叩き倒すから。最小限の動きで奴を仕留めに行く、阻んだそれに隙を見つけられずに。

「ちぃいい――」するとすぐ逃げるから、ヤツは賢い。普通の斬り合いでは勝つ可能性がなく、そうして見つけた可能性を――。

「フゥ……、フゥ……、その動き、マジで――」


 押し込まれそうになったら群れを引き連れゴブリンリーダーへと逃げた。あれに乱戦になったら轢き殺されるだろう、スピードで押す加島というのがアダになっている、留められない。

 ――両者1枚ドローで、それでも……。


「行くしかないな。轟軍で速攻してるけど、こいつのせいで速攻が速攻じゃなくなってんだよ――ッ」

 1分でキャラが湧いて来てしまう。これでは速攻に対して一旦引く事が無意味になるんだよ。

 幻影軍団を率いる孤高のゴブリン、裏の戦士長が正にキーカードとして機能してるな。なんとか仕留めねばならないので。


「ふしゅ――、加島ぁあ、お前との連携が要だ、頼んだ!」

 俺が来てもそのどっしりとしたゴブリンリーダーが動かない、仲間と背中を預け合って。コッチもそれなりだが、向こうのそれらは防御も高く攻撃は言わずもがな。俺が斬り込むとリーダーが満を持してくるから、なんとか切り結べば。しかし攻撃力4にもなるとその黒翼ですらうごめくんだ、苦しむ。

 それでも打ち合う事はできるが。


「ぐっ、ぐぉ!? 呪いの分だけ不利か、だが技量なら俺がァ――」「ふぅ……、その翼のオーラに相応しい切れ者ダな、お尻、満開だなァ!」

 コブシだから早い、2連撃をかわすが処理隊長もが来る。

 加島が必死にそこへフォローを。俊敏さが乗った攻撃は数字にはしづらくて、ただ問題は処理隊長の方が加島より技量が上な事か。

 一撃薙いでも手の甲でスカされ、下をくぐられての着地を狩って蹴りを!


 唇を噛んで飛び退くが、すぐに追撃。だが加島もフェイントを以てして処理隊長を置いて、不意を打った、ゴブリン松村へ行くが。

「うらぁ、うらあ! メスはやはり軽いな、ワシの拳には弱いぃい!」「ぐぅう!?」

 吹き飛ばされてしまい、しかもコッチへ加島が飛んでくるのだ、そのどっ散らかる彼女へと処理隊長。踏みに行って攻撃を仕掛け継続、それを俺が避けさせて。だがそこに狙い澄ましてのゴブリンリーダー、そうしてゴブリンの影の殺到、その乱打をさばくから!


 やはりか、あまり動きの良くない俺では受けきれない、その隙に処理部隊が来て衝撃で二人、飛ぶ。

 ドロドロになって擦り、それでも立ち上がって……!

「やばいな、体一つじゃ追い切れない」「素早さよりも戦術、技量でしょうか、悔しいですが」

 だが手札が1枚来た。その時、カードがやってきて、ゼロ真理「ぐぃい!? こいつらも【ショック】使ってんのかよ、マジで強い!」

 もう反射で消費してくる速攻型に舌打ち、その炎の一撃はやっぱり痛かった。加島のグレイスにカスって弱まっても炎で煽られ顔が焼ける。

 なんか召喚術士が面倒臭がられるのが分かって苦笑いで、アちぃ――。

「でも……、だけどもお尻、頑張らないとっ!」「ぐぅ――!? そ、そうだよなぁ」

「そうだお尻が泣いてるぜ、俺が守るよ! 尻で泣きたくないだろう!」

 分かってるって、一度聴いたらお尻が……。なんかまたお尻がぁ――。


 初手の勢いを殺し切らないといけない、がしかしそれができない。一度触っただけで青筋が止まらない程の轢き殺し。それに何より空気を握られての疲弊が思った以上に効いてしまうのも。

 全てを使い切ってでも完成させた初手、それを追う事の難しさ、それを追いかけなければ死ぬという疲労感。

 何枚引いても追いついている気がしない。


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