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 そうして今日も朝から手探りの緊張感。勇たちは2日目だが他の者達は初めてが多いのだ、靴箱を素通りしてって気合を入れて。

 枕投げはやっぱ白熱したよな~~、フヒヒ。

 ただ布団無しは辛くねぇか、あと腹減ったわぁ……。

 災害時のマニュアルはあったけれどさ、さすがにここまで違うとね――。食料備蓄もあるにはあるよね、ただ……、1000人は辛いよぉ。

 黒パンってあれ、ほんとの食べ物なの? 


 試しに少量だけ配布してみたが、何人かが必死にトイレに向かって行った。妙に酸味がある味と噛んでも噛んでも硬い口当たり、そこから無限に染み出すような酸味。焦げた風味だけが。

 それが普通の食材だと言った直後の絶望感は半端なかったから。

「こんなの人権侵害よ……」「残念ですね、アナタの人権はもう異常なんだ」もはやそういう世界。教師たちでも食べられない者は多い。


 でもだからこそのギルドで、そして何よりも肉の味は平等だ。ジビエとも言えなくも無いが現代と変わりない旨味で、この世界の住民もそれは同じ、それゆえに肉だけはしっかりと市場が存在して貨幣価値を生み出している。

「いや……っ、むしろ逆に無理だわ、無理無理……。農奴ってのを見たかよ、悲惨だったわ」「やせ細ってたんだよぉ。オマエ、あんな所で女に体売らせたら速攻で死ぬぞ――」

 順番に行かせて見せてるがとてもじゃないが現代感覚に程遠い。汚い、臭い、公衆衛生も半端なくヤバい。

 すぐ殴るし警官が普通に金をせびり取ろうとするし、ツバと暴言吐いて来るし警官じゃないし。

 とにもかくにも和樹と加島で出るんだよ。


 俺達は生徒会から指定された村へ行く途中、あの爺さんの家に寄ってだ、色々と話してる。そうしてその後向かったそこは正に村で。

「すっげぇ作物な~、これ全部ぜーんぶ小麦か~~ぁ? なぁ分けてくれないかな? こんなにあって食えてないんよなぁ~、うちら」「そうですよねぇ……、それはこの人達もだそうで、全部全部取られちゃうそう、ほとんどお肉と交換らしくて」

 黄金階層と呼ぶなびく大河のような黄色に。


 初めてだけど良い匂いだ、稲とはまた違った薄めの臭いでも。穀物って感じだ、焦げた草っぽい濃厚な感じの。綺麗な黄金色がなびく、ざわぁァ……っと。

 ただし、ここで言っておきたい事はだ、田舎なんて物は楽しくない事を重々承知しているという、そんな田舎のガキは。


 それは見下せる田舎か張り合うに値する田舎かの2択であり、それだけしか考えない事。


 今はもう水のような感覚で、妙に人口が多くてびっくりするだけの山間の終わってるのをトレッキングしてるに近い。

 すると不審者がいて、「えぇい! あの……、あぁ、人ではないですよね? やはりあの……、聖職者じゃ」

 うん、安心しろと、俺の心象に来たわ。


 1真理【アビー・ラバー】1/2

 修道士なんかを陥れようとする小さな悪魔だ、ゴブリンの一種。貪食や色欲の咎で誘うと言われてる。修道服を羽織っているのに妙にチャラい小デブなので少し笑う。

「でも町中でも気をつけろって事だな、まぁ街でも結構怪異はいるんだよ。気づいたようで、良いぞ加島」

 ほっとする加島は。でも悪戯好きって事は町へ入り込んで来るって事だし、気をつけろと。


 そうして歩いてて見えてくるソレはなんとなく汚い小屋で、でも大きいから、食堂も兼ねているらしい。それもそのはず。

「それで和樹よ? ここがギルドだな、一応俺らでも依頼を受けれるんだ」

「はへぇ~~、やっぱでも肉ばっかなぁ……。確かにいや、マジで本当にそうなんだぁ……」


 全体が赤っぽい、並ぶそれらは今実際に売ってるのだ。しかも冷気の呪文が効いてて少しひんやりで懐かしい感じもするギルド。お肉屋さんだ。


 当然普通の客もいて貨幣の7割がここを通過するような、そんな一番にぎわう商店である。

「この国は不思議ですよね……、肉の業者さんがギルドだなんて。なにか……、妄想とちょっと違いますよね。依頼とかほとんどないですし、モンスターを食肉として入荷するのであって、そんな大して討伐とかは流さないなんて――」

 英雄伝は今、肉色へと変わる。

 そうして少女は寄る辺なく焦り、男は入るのに少しニヤついてしまうのも。なんかそう……、本当になんか……。

 外見よ。俺らのさいつよで絶対無敵の秘密基地だゼェ、小さくてもナメんなよこの要塞さまをヨォ。そのモヒカンVerともいうべきなのだ。


 パンクでロックな棘(とげ)が家自体に装備されててモヒの根元には黒皮までも用いられ、色とりどりのモヒが場違い、本当に。しかも肩パッドのような子分様の小屋があって緊急出撃してきそうだし、全ての柱には鎖が巻かれており何故かベランダには常備で棘つきバット状が所狭しとなのに豚肉の新鮮なのが入荷しました!等と書いてあるし、良い匂いもするしで。

 爺さん軽食食ってるな。


 なんかもう料理好きで多趣味の、実際はまともな田舎のモヒカンがやってる店みたいになってるんだ。

「刺さってる骸骨と魔法陣がなーんか必死感あふれてんね……。中学生の心の中を表したみたいよ、ヒャッハーハウスで良いんじゃない?」

 その和樹に笑う。


 それで内部を見ているがな、確かに依頼はある、だがもう大方の依頼すら調達という形での張り紙の中。そうして9割占めるのがメインの肉と、あと魔石をさばく所とがあり、魔石のそこは貴族所有なのだそう。魔石が収入源として大きく残るような仕組み。

「アッチがな和樹……、依頼用の値段、あれが売値だよ。色が違うだろ? そこから肉の解体費とか引かれて手元に残るんだ」


 求ム!リザードマンの肉:112グラム80円! 赤い文字で買い取り価格が張り出してる(異世界単位でガロンとか尺とかの領域だろうが、まぁ……)。

 そうしてその中でも特別なボーナス肉とか、あと別個の依頼肉なんかを掲示してる形だな。


「はへぇ~~、あのさ……、これって聞きたいんだけどさぁオッチャン。依頼ってのは狩った肉を供給するんだよね? 持って来るだけで良いんだよね」「あぁそうだぜ。美味い肉はごちそうだからなぁ~、季節はあるが年中買取よぉ~」

「でもこれって仕入れだし、多分お肉が主体なんだよねぇ? 肉ギルドで手間賃引かれてるハズなのに解体に金取られるって、おかしくね?」

 和樹の賢い一言に「オメェ――次そんな事言ったらほっぽりだすぞ」襟首を強く握り込んでくる親父、尋常じゃない職人の力。

 だがそこに俺が割って入るから「まぁでもな……、ただ争いの種を生み出してんのはアンタ達だろう? 俺らへの依頼を安く買いたたいてんのは知ってんだぜ、値段が違う」


 フフフ、バレてやがるよぉ。その言葉に周りが笑う、舌打ちするギルドマスターは「だがよぉ……、オメェ……、突然やって来て、それで気味悪いカッコしながら歩いてて、そんで迷惑なんだよぉっ……! こーんな怪しい奴ら見過ごせるかよっ、なんせコレと戦うってんなら俺らが戦うんだ、貴族どもに徴兵されんだぜ――!?」

 その言葉には頭をかく。多分本当なのだろうな、薄気味悪い異邦人、それはイコール敵であり戦争の対象。もしくは野盗。

 たくさんの悲劇を経験してきた。


「ゲホ……っ、ゲホ、あぁじゃあ……、そっかぁ……。まぁ構わないけどさ。それなら俺らの信頼の証って事で、そこはきちんと、そこら辺は考えてくれんだよな?」

 かなり締まっただろうにその首を直して振り「オィちゃん俺ヤだぜ……、俺らだって今飢えかけてんだよ、たくさんやって……それでなんにもならないんじゃ生きてけねぇよっ、簡単な言葉だけじゃねえんだよなァ?」

 その言葉に頭をかく、それでも何か言いたげだが、だけどでも。


 ま、そうだわな。「そうだぜぇ? ギルマス~。俺らはさ、ゴミで死体漁りのスカベンジャーだろ、ウンコ盗賊だ、全員の嫌われモン……。それがこんなガキに何ビビってんだよぉ~」

「そうそ、俺らは今まで神の敵にすら肉売って来たじゃねえかよ~、何をいまさらって感じだよナぁ?」


 金を払ったなら売る、貴族が止めようがなんだろうが、それが敵であろうとも商売するのが傭兵であり肉屋。

 その後まともな金で引き受ける事ができた。そろそろ良い頃合いだったろう、何度も続けると頭に乗られかねない。




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