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「あとはもう風呂風呂~~、やーっとだわ、なぁ――? それで……俺っちが見えてるのは癒しだよなぁ、決してこう、なんか面倒な……」

 首を振る。その長蛇の列を待つしかない風呂、生臭い、血まみれの俺と和樹と周りと。加島とはそこで別れて係(かかり)に血が飛び散った服を脱いで渡すんだ、洗濯してくれるらしい。特に俺たちのはかなりヒドイくて裁縫もと。

 しかも……。

「使えるのは2プッシュまでだー、もう補給はないからなぁ!」

「あぁ~~あ、本気かよ。もうなんか軍隊みたいだな――」「ま、実際そうだろ。かなり集めてさ、もうフル装備で潜ったんだけどなぁ」


 猛反対した教師がいたが、剣道の装備や木刀はもちろん金属バット、自警の透明シールドに警棒に。

 人数も多くし過ぎてギルドでもあまりにオーバーだと大爆笑されたらしいが、しかしまずは確実に生き残る事を、そして情報をだ。いきなり生物を殺せと言われてハイそうですかとは行かないし。

 君は公園にいる薄汚い、襲えば悲鳴を上げ命懸けで抵抗するホームレスを何度殴れるか。

 勘違いしてるだろう、そのホームレスが何故メリケンサックを持ってないと思った。まずは10人抜きな――。


「まぁ、それでもなんとかやってはいたさ。でも初日は損害が多いらしいよなぁ、はぁ……ぁ」

 伝令機能として使った自転車たちは案の定、ソッコーで盗まれて。残念ながら3台、そうして4台目は乗ってる最中に襲われた。この世界の住民からしてみれば一攫千金で。


「それでな、覚えとけ。異世界で最強の、一番マジで効いたのはこれ、防犯スプレーだったって」「そうそ、こんな凶悪なもんないーって顔で逃げてくしモンスターでも失神するわ、そのまま死んだりするんだわ」

 あぁ、なるほどと。それは確かにそうかもしれない、感覚が鋭くなればなるほどアレは地獄か。だから全校生徒の防犯スプレーを確実に集めたが「それでもたった51個だってさ……、もう青ざめてたわ~」「はぁ? 51個もあればラクショウじゃねえかよー、そんなにあったんだ~、マジ明日から余裕よナぁっ」

「バカかお前……、51個で何年持たせれると思ってるんだよ」

「はぁ……、オマエ、何年って、へ? エへぇ? まさかずっといる気かぁ~~? ヴぁーーか、一人で残ってろや、ふひヒヒっ」マジなに言ってんのぉ?

 低い年齢特有の高い笑い声と言葉尻に、バカにする声が響くが、非常に暗い顔をするのだ幾人もが。ヴァカはてめえだよ――。それを横目にシャンプー貰って、まぁサッと頭を濡らす、そうして零れないようにその大事なソープを頭へとON。


 後ろで馬鹿話が長く続くが、構わず「でもさ、これマジで初手ミスってたらまずかっただろうなって。なんかさ……、なんかこう? 半分でも半分じゃないやつヨ」「あぁ……分かる分かるぅ、シャンプー少なくていっか、みたいな感じなのに全然泡立たない感じな? アレ罠だよなぁって」

 フゥ……フゥ……、待ってくれ、待って、擦る、擦る、「ア―――ッッ!?」嫌な声、誰もが首を振るから。何もお力になれず、申し訳ない。そんな感じで匂いも残さず消えて行く。切ない……頭をかく、いえぇーーいなんて言って、和樹が俺の頭にへばりつかせた残り汁を必死に擦らせるしかなかった。


 イラつきを詰め合わせて更衣室とされた場所で着替えて、いちいち頼まねば。

 それで和樹と異世界の風を感じながらグランドの様子を見て、少し遠目でも分かってたが既に田んぼが始まっていたから。

「とりあえず今もやしを大量に作ってるってな~。ただそれだけじゃあどうにもならないわなーー、一応グランドは開墾されてっから早いけども、もう一気にホント――」

「でも稲って何か月かかるんよ?」「あぁ~、6か月ぅ?」その水浸しのグランドを儚く見やる。

 それじゃ必死になってもだいぶかかるだろうな、まともな米を食えるのは相当先か。むしろまだやってるのがいる、懲罰者だというから。それも大量に。


「ホラ命がけでやりなさいよ……、少々死んでも良いから、さもなければどうにもならない!」

 えらくカリカリしているが、まぁ分からずともない。ドロドロになりながら。

 どうしますか……っ、これは本当に大問題ですよ、責任を問われるのは必至です――。そうです校長っ、あんな……っ、あんなに生徒同士でいがみ合うなんて耐えられない、ここはしっかりとリーダーシップを取らないとだ!

 あと何よりも今は安心でしょうねぇ……少しでも安心安全を! 校長……、このような事態にはリーダーシップを取らないとだ、早急な。

 校長は無言で消えて行くんだ。それでも少しでも鼓舞したのか、応援団が必死に叫んでて。屋上。

 ピンポンパーンポーーーん「――残念なお知らせです、静かにお聞き下さい。2年B組の斎藤 岳くんが、帰らぬ人となりました」


 あぁ、うん、どうやら犠牲者が出ていたらしい。静まり返る学校、それは一気に表情筋が下がり「彼は……、隣の町から引っ越してきていて。ご家族は3人いたそうです。前線で戦っていて後ろから刺され、遂には救急車もなく」ぐす……、うぅ「ごめんなさい――」

 まぁ、そうだ――。そうだよ。


「然りだね……、仕方ないよねぇ。あんな風に動揺しちゃ駄目だよ……。まぁーー、  教師に任せようかなんて思わないな」

 その中で不気味に薄ら笑いを浮かべる少女は金の髪を揺らし、闇でも光る白の肌を晒して笑ってくるんだ「あぁやって騒ぐのが一番ダメなの? だって私は責任なんて取らないもの、それに加担する人間が欲しい……」

 その会長の言葉に何も言わず、隣をすり抜けるから。

「然り……。ねぇ、中央は嫌なのかな?」「俺らはまだアンタらより子供でいたいんだよ、悪いな」

 そう……。

 そうなんだぁ~~。

 静かに隣で眼帯を直す「少しでも武器が……、そうして魔法の知識が欲しいのです。期待してますよ。そうすればあの子を……構呂木 雫を取り戻せますから」

「それは何番目の願いだ」


 微笑みうなずく。満足気な二人が、でも……雫はなんとかして救わねばならないだろう、あの剣のギアスを解くにはそれしかない。廊下を真っ直ぐ歩いて行く剣のムクロを見送り。


「然りだね……。思った以上に冷静かな~……ぁ?」

 それは困ったかもしれないなァ。

 その飴を舐めて舌で転がす、金色は真顔となっていて噛み砕き「取り込む方法が必要だから。あんなに強い力を野放しにはできないじゃないかよ」

 その無言で立つメガネの眼帯少女へと視線を送るが。

「然り。とりあえず魔法の研究に心血を注ぐのよ、独占するの、来たるべき崩壊を前にね――」

 眼が怪しく光る、ソレを見るのは初めてだったが。えぇ時間がないのよ、実際にね――。

 一緒に階段を上る。


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