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 クイーンの姿が明らかに溶解する、そうしてオーラも解除されて傍らにデッキが降ってきてカードが重なり、アーティファクトも消えるから「良いだろう、しゃくですがね? 貴様らへと力を貸そうではないか」

 そのピンクの尊きスライム、絶対的な王の敗北に周りは――、大して何もない。なんかのたうってるだけだ、負けたからなんかある訳ではないらしい。



「やっぱり生きる事を大事にするんだな、オマエ達は……」「フフフ、当然ではないか、生きる以上に必要があるか、我さえ生きていればなんとでもなる」

 そういう種族なのだというのは分かった、良いと思う「勇さんご無事ですか――」必死に走って抱きかかえられる俺は。かく言う彼女もすごい汗だ、震えている。さすがに厳し過ぎた、休息を取って。


 そうしてその間に少しクイーンの一部を剥ぎ取らせてもらうし、質問にも答えてもらうから。

「あと人間ヨ、カード勝負においての礼儀であり、そして運命だ、さぁ引くと良いサ」

 うなずく。恐らく全ての在庫からだ、50枚もある。その中から一枚を……「どうだった? 我の一枚は」

 今の所正直アレだが、このカード絶対ヤバそう、って気はしてる。かなり良いかも――。


 緑1真理:【眼前の憂鬱】マナを一つ回復する、回復した分だけの次のドロー順を見てソレらを破棄、および追放するかを選んで良い。

 呪文カード、すごく入れたい気がする。色んな事を教えてもらった気がするしな。

「あと何より……、お前には追加で選ぶ権利があるゾ、ニンゲンよ。普通は互いの要求を持ち寄ってザ・カードをするものだ、特にサレンダーの場合はなぁ……」

 生きるか死ぬか、それか要求を呑むか。これがカードの基本原則らしい、クイーンの方はただ戦いたかったらしく俺からの要求は確かになかった。


 だからと何か宝石のような物をくれるのだ、売るにしても使うにしても良さそうで、受け取って。あと武器とか防具はないかと問うたら食えないからやると、剣を数本だけ。有難い。


「ふふ。やっぱカード、面白いよなぁ?」「あぁ? 我も進化を目前にしていたのに……、それなのにここで負けるとは。傷がついたよ……」フン。

 そのピンクの負けた様子はなんともだが「だがな、確かに面白かったゾ。やはり自らを傷つけででも力を求めるとは、なかなか――」ふふふ。

 俺のその姿に微笑む。ボロボロになって傷だらけのウデ、体。そうして舞い散ったその黒の羽根を珍し気に見てるし、食ってるな。痺れるんだな。すると和樹が携帯を掲げるから、加島と一緒に。

「じゃあさじゃあさ~、記念撮影しようぜ~~、全員で一枚だ!」その言葉にクイーンと一緒に撮る。スライムたちも寄せて。

 パシャっと。


 なんだ……、この異物は、そんな事ができるのか。写メを1枚上げたいが無理なので――でもクイーンが手を伸ばす、吸収しようとしてくるので和樹が必死に守ってる。

 あぁ……、 あぁ頑張れ。負けると大変だぞ和樹。笑ってると足に懐くのが。


「あぁそれは持って行くとよいな。恐らく私より強いので従っているつもりだろう、我らは意思をあまり持たんゆえ軽く持ち運ばれる」

 カードで収まれるという珍しい生き物らしい。文句も言わず散歩も必要もない、何気に本当にこの世界で最高に可愛いペットかもしれないなと。カードに収録されたスライムをつついてやって、そうして本命たるは……。

「やったぜ……、スライムカードの心象風景が完成。【バニラ・スライム】、やっぱり防御力があるなぁ、そうか――」

 マナ1消費だがそれでも強いかもしれない。まだ限られた部分が大きいが、だがなんとなく嬉しい基本の完成。


 特殊能力とかはまだ進化が必要だが、フラットなスライムだぞ。1マナ:1/3 能力無し。安定した力で防御力が後押ししてくれる様子。これはすこぶる嬉しい、だって……。


「こうでしょうか? あぁ……ただ少しですね……、大分と足が難しくなります。本格的なスライムってこんな風なのですか、いっぱい吸いついてしまうともう靴まで変な感じで」

「へぇ~、なるほどぉ……。でも才能があるよな? 加島オマエ結構すごいんだぞ」「そうだな、娘よ。だがもっとしっかりと動けよ、我らはすこぶる堅牢で、そうして体の動きはもっとヤレル」

 クイーンに体の使い方を指南されるが、かなり動けてるらしい。

 体組織が基礎から変わってもそれなりに適応する、それって目を見張る事である。その言葉に恥ずかし嬉しそうに笑う彼女は。

 プルンプルン。いや……、ヴォリュームがさ……「ま、まぁでもマジでさぁ? 和樹」「ん?」「異世界に来てカードゲームかと思ったけどな、まぁ……良いな、いい、ははは」「そうだよなぁ? なんか血しぶき跳びまくりで俺っちビビったわ~。でも色々と、ホント色々リアリティーだよって……――」

 ぽよんぽよんポヨンぽよんぽよんポヨンぽよん。


 それは思う、召喚対象が生き死にするのはまぁ理解するが、俺が血を噴いてて溶かされかけて撃ち抜かれ、八つ裂き傾向なのは斬新だ。闇のデュエリストでも嫌がりそうな気がする、もう一人のボクが拒否してるんだ! 完。


 それで和樹が代わりに採取した獲物を担いでくれて、さよならだ、3人でなんとか夕暮れを歩いてって……。


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