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「戦うのですね? では始まりだ……オマエは固有種を1つ連れているな? ならば私もナイトを出させてもらいましょうか」

 もう手早く準備するクイーンは。それは恐らく加島の事だろうな、確かにその通りで。

「では私の王国兵をここに。さぁ来なさい、真理2【スライムナイト】だ、剣には剣よ――」


 今はたくさんの液状ギャラリーがいて、木漏れ日の中、そのスライムの山だかりから堂々出てくる、それはスライムナイト。そうというとまるでヒト型が乗っててイオを唱えて来る子を考えるが、全然違う。それは黒く淀んだ液体でコールタールとも思えるもので、そうしてスライムリッパーと言った方がいいだろうか、酸の刃を操り剣とするように穿つらしい。

 誇らしげにデモを行うのを見て人間味を感じる俺らは。


 そうして俺には制御可能な真理が2つ灯る、相手は3つ。手札はどうするか……。

「この真理の実力差は……。もし手札は同じだったとしてもほぼ絶望と言ってたな、両方負けてたら逆転できないだろうと爺さんは。とりあえず……」そのスライムリッパーを片目で見ながら剣を握り。

 来るまでずっと考えていた、歩くたびに心の意見が変わり。音がなんだか聞こえなくなってて。


 でも勝利だよ。


 そうして4枚を選択する、汗がドロっと手のひらから落ち、闇へと手を入れた瞬間にヒザに来るほどに力が抜けた。立つのもキツイ「ハァ……ハァ……!? だが……、4枚、ドローーッ!」弾ける翼が。

「ふむ。では始めましょうか。剣の業、杯(はい)の業、我らが辿るは一つの螺旋の、無の世界。理は変わるか定めは変えられるか」「しかしてその手には無限を―――。此方へ導け彼方へ導け、たゆたう悪魔よ、動かぬ理(ことわり)よ」

 不可視の黒の羽が見える、俺の背でうごめいて。そうして相手は七色だ、たゆたう液体を背負ったスライムという概念としての魂。今、互いが背負う王国を持ちて激突する。


 運命のカードを取り黒の羽根が舞った、七色の死をも超える力がうねって迎え撃つ。


「では尋常に」『2帝、会戦。デュエル――、Open Your Brains Edge(思想で戦端をこじ開けろ、貴様の可能性を穿ってみせよ)!』

 すぐに白兵戦が始まる。


 2コスト3/4射撃――その黒い液体が持ち上がりクモ脚をコーティングしたような姿を見せた4足。そうして剣へとみたてて液体を飛ばして、打ちっぱなしの飛沫のような素早いのが――。

「ちいぃい!? マジかよ、疲れてる時にコイツは――」

 液状の斬撃が衝撃波のように襲い来る、しかもかなり重いのだ俺の剣を弾き飛ばすから――!


「それでも、マナはありがたい事に2分で一個回復する!」

 だったらここで一発ハデに何かを打つ展開は必須!「ではわたくしが、眷属スライム召喚、それを3体よ!」手札1。真理0へ。

 ドサドサっと半透明が落ちてくる姿、あまりにもぞんざいで「じゃあコッチも【ランドマン・スライム】召喚! そしてコッチは――」

 マナを0へ。カードを掲げて。「【ライトニング・ボルトォ!】」1マナ:3ダメージの大砲。目標はスライムリッパー!


 放つその電撃の如し炎はかざした手には大きすぎ、腕ごと燃やすよう思えるほど。だが先端に圧力が集中してそれがスライムリッパーへと突き進む。それをクイーンが阻止するから!


「はふぅう、そうはさせませんよ、甘いと――!」1枚大きい液状の輪を作り上げ、しっかりと中和する姿。無理なら何枚もを、消していく……、一撃を上手くかわされたようだ最悪2点だろうか。さすがは防御する実力が9。

「しかもヤツが召喚したスライムは動かないんだ、いや……、あれはまさか能力を――」

 チャントタイム2:ターンを棒に振る代わりに分裂、と表記が出て来た、能力は察しの通りで。すぐに手持ちスライムをその詠唱スラたちへの攻撃を命じる俺は。

「なんでだ――、どうして」「防御に振っているのですよ、このスライムは。そして何よりも私の配下は完璧ということ――」

 防衛する1体を撃ち抜けない、なるほど、その言葉に舌打ちするんだよ。数字以上に1対1では勝てない、そういう風にされている。スライムはスライムを熟知している、思いの強さと召喚。


「ちぃぃっ……、マジかよ」「では、それなら私がなんとかします勇さん――!」

 加島が果敢にクイーンを強襲「本体さえ討ち取れれば勝ちなんですよね……っ、この相手は攻撃力は低い!」だがしかしさすがの防御力。一撃にも大して動かずあっさりとカウンター狙いで不動、そこに勘づく俺が割って入るが更に狙っていたリッパーに斬りつけられてぶっ飛ぶ。

 加島が連撃のリッパーに気づいて反撃に移るが、それに対してクイーンがのしかかりを。地面を擦る2人でニンゲン勢は。

「ぐ、うぅ、すごい」ガハ――!?


 射撃という全方位への臨戦感。そうして激烈に強いそのクイーンの肉体に剣が歯が立たない、斬っても斬っても押し返される。液体なのにまるで鋼か、いや違う、まるでクジラだ。この威圧で以てしての攻撃はかなり効く、伸びた棒状のカラダで打突!

 白目を剥きそうな胸部への一撃に転がるが、だがすぐに勢いで立ち上がった。なんとかしてでも耐えねばならない、2コスト同士でもこんなにも違う。

「まずいな、1手目から戦力差がマジ過ぎるわ、スライムという特質上分かってたが……」その間にも一体湧いてきてしまって、ゆっくりと分裂し始め――。

 こうやって剣を交える者からすれば負債と焦燥が、致死性の殺意が積みあがるのみだ。

 ――その時両者ともにドローで、俺の手札3、クイーン2。チャントタイム1消費。


 まだリンが来てくれない恐怖、すぐにあの呪いを解き放つしかなかった。


「ほぉぉ……? その力だ異邦のニンゲンよ、その異質過ぎる特性は正に美味よなぁ」

 黒の力が傷をえぐる、ビキビキ、びきびきと。それは自らへの召喚だ、イカツイ呪いの翼をヤイバに替えて羽ばたき、肉を裂いて「ウォオオオオオオ!   レイヴン・アナセマぁあ(黒鳥の凶兆)!」その貼られていた封印が包帯のように中空を漂って押しとどめるが、やはり凶悪・凶刃。

「ハァ……ハァ……じゃあ、行くぞ加島ぁ!」

 でもそれでは不十分、払拭しえない実力差。かなり劣勢の加島を助ける為にまずは俺はスライムリッパーへと向かうから、クイーンががっかりしたようで。


 アイツの剣じゃあ2方向を見れない、俺が釘付けにしておく必要が。

 あの男は揺らめいているな、1~7などという不安定な。これでは私には勝てないだろうが、楽しめたろうに。

「そうして私はコチラだけですか……。しかしどうしましたか、特殊個体。その程度では私には全く及ばないのよ? ふふふ」「くぅう!? なんて……強さで、そして何より硬さが――。スライムの硬さに押し返されます、全くなんで」

 攻撃力はコッチが上のはずなのに、なぜ、防戦するのか。あの女王の攻撃は確かに緩慢だけれど明らかに堅いの、硬すぎる。


「じゃあ青 0コスト:【切迫】1枚ディスカードの後に1枚ドロー、その後シールド2付与だ、加島ぁ!」手札の回転を速くさせる為、あぁ非常に良いカード、だが……違う!

 良いカードだが使えないから。俺の手札2、クイーンが2で。

「手札にフラレたんならなんとかじゃあオレは……、この眷属をほふるしかないよなぁ!」

 向こうでターンを消費しているスライムを見やる、それを邪魔するように一撃。それをさせじとリッパーが一撃、それはつまりはフェイクだったんだぜ?

 俺は軌道を変えて直角移動でリッパーに迫る。だがリボルバーのようにクモ脚を変えて更に一撃! 更にわずかな間に2連撃だが――。


「甘いな……っ、オマエのは確かに鋭くて遠くにまで届く、だがそれだけなんだよ――」

 剣道のような防具に守られ、間近でスタートして喉元を突くような切迫さがない。俺は避けて黒翼の一撃! スライムリッパーが驚いたような気配で。

 するとリッパーが大きく立ち上がった、シーツのユーレイとかそういうので乱れ切りだ、液体の斬撃が何度も噴水のように開花する姿は。

 ほ……ぉ、こんなにも早く――。

「4連撃、本気かと……っ。だが俺もその程度で負けるわけにはいかないんだよ――っ」

 この勝負は俺にかかってる。


 ひとまずは距離をとって俺のスライムがしばいてくれてたそのランドマン・スライムを斬り倒し、向こうで苦戦する加島へとひたすらバフを与えステータス上昇を目指し、そうして1対1、低めからの一閃。

「おぉおらぁあ!」

「グ――」

 剣技はかなり良いがこの翼には及ばない、全開ならば俺が遥かに圧せる……!


「4つ腕よりも早いとは……、正に驚嘆です。お前は良いな、溶かしてやりたいぞ」その追いつめる姿に笑うクイーン、そしてカードを互いに引く、かざして「0真理:【トランス・ブレイド】味方2体を1組とする、その分だけダメージを無効化させる刃を降らせるの、これは仲間を守る刃なのだ!」カードを速攻消費、手札2、真理は1。

 6匹の――増殖してんだな。そのスライムたちが上空へと水の刃を降らせるんだ、攻撃力3の軽減、いわばマイナス。それは人へと突進する防御のようで、網のようになってバイオハザードでこんなんありましたよねぇって。


 俺に鎖を打ち込む気か、団体戦に特化した魔法は更に戦況を難しく――。

「いーーや、やっと来た! 力だぞ加島、本番だ……来い! Garden Of The Mare(夢見花園)!」

「ム――」

 召喚の輪がニンゲンに広がるとかなり動揺するのだ、頭に犬耳が生えて尻尾がもふり、そうして動きが万倍良くなる事を。彼女の愛犬とのシンクロニシティは抜群で。

 1マナ:【老犬の加護・リン】2/0 俊敏+2を召喚! 手札2、マナ0へ。

 全力の彼女は駆け出していて、目にもとまらぬ程の「あぁ――、やはりこのケモノ如し力と、それは聞いていた以上に面倒ね」

「はぁぁああ、でりゃアア! リン、行くよ、私とアナタで真骨頂なのだから」

 木を蹴る、そして見事に回転、そのまま一撃!


 重心の低いのも問題だ、見えない足爪が土を噛むから。クイーンの攻撃を避けまくり防御力も物ともしない動き。切り払う!

 だが「フフフ、その程度ならば森では並ですよ、その程度ならまだまだ」クイーンがかち上げて大地からの岩を打ち出した!

「うぅ!? それでも開きがある……すごい動きなの、本当にこれがスライムですか、強すぎます――」

 加島の俊敏性は特筆すべきなのに全く驚かないクイーン、さすがは野生で凌いだ強さをあわせ持つ女王。鮮烈な爪をともなう斬撃も、自らの一部を花開かせて受け止めるのだ。剣だけをくわえ込もうという、その俊敏な敵が嫌がる動きを分かってる。

 だが……。


「あの男、手札を温存し続けるという気配がします――、それの方が問題だわ」

 明らかに強くなったあの黒翼の化物を睨む。右腕の復活、それだけでかなりの進化だ、今もリッパーを押しながら戦う、トランスブレイドは彼をかなり抑えているのに。


「はぁ……はぁ……、もう囲まれ始めてるよな勇たち、あれってスライム供給が始まってないか、無限にこいつ等――」和樹は届かない声を。カードを2枚引いた時点で2チャントタイム終わり。

 しかも生まれたスライムが更に生む。一度産んだヤツは防衛か、こうやって兵隊を無限に作るつもりなんだ。硬い1/3が2体もで目の前を塞ぎ、リッパーは3/4。生き残ったスライムはいるが俺は囲まれて。


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