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「まぁーーまっ、やめておくれよ~~、あんまりじゃんナァ? だって俺っちの勇だぜぇ……このクラスのアイドル和樹さんのマブダチよォ!」
高らかに、そう堂々と笑いながら入ってきた和樹がのけて肩を組むんだ、今の数少ない友達は笑顔だったしクラス全体を敵にしても臆さず「お前らもそーんな気にすんなってぇ、恋愛絡みだと思ってんだろ、なぁ? 小さいのにこだわり過ぎだわ。へへへ、童貞共がよぉ。大体女ってのはな……根っこはみんな軽いんだ、どんな怖いカオしてても所詮は彼女候補でしかないんだ。俺のだ、もうどこかで抱けてんだよ、もう既に俺が抱いた地平線があるんだよォ」
だってオレの彼女候補だから ナ――ッ!
ちょっとぉ~~和キン?聞こえてるからぁ~? マジ和樹くん調子乗らないで、もぉ~~~。
男は笑いながら、白目「万物のメス――それ即ち我が元伴侶なり――。全員ちゅう子、かずきんチュウコなりよぉ」―その、白目の気迫がすごい―「清楚でもビッチでもギャルでも眼鏡でも遠慮なく告白して良いし、聖域などないし喧嘩しろ、優しく激しく愛せよォオォオオ、男どもォ!」
白目で手のひらを合わせ、彼はその能力により全ての可能性を網羅して目に映った者全ては既に付き合ってて抱き合い、繋がったと妄想して、それを勝手に観測と称して結果とする。故に無敵――生まれた瞬間から非処女とす――。
ただし個別詠唱時間1年。
セーラー女子達からのひんしゅくの山、顔も普通で背も平均で、でもコイツは恐ろしい事にギャルとでも戦えるし女子軍団100人を前にしてもひるまないし、受けも良い。
事実それで面倒くさそうに帰って行く男とギャルとであって。見送った。
「へへ、良いぜ良い良い~、もうなーんか色々増えてく感じだろう~? だからな、勇、少し言い返して良いんだぜ、いくら相手が女だからって多寡があんな程度、あんな……―」
あぁ……、いや~……アレはきついかぁ、実力もなんだけどさぁ、ンフフフ。
「でも気にすんな! 気にすんなったら気にすんなっ! 女と見たら俺の彼女候補だったと思え、全世界の女を見たらオレを思い出せってッ!」
その洗脳やめてくれないか、和樹よ。「まぁでも、サンキュウな。まぁ……そうか、なんとなくムカつくがな、ふふふ。ただお前のその一撃の証は役にたつんだよなぁ~、ホントな」
何せ、だって彼は勇者和樹。選ばれし敗北者。コイツだけは本当に食わせ者だと思う、そうして理想でもあるだろう。キメれる陰キャなんだよ。
それは遡ること入学して2日目、まだ浮足上がってて順調で慎重で、必死で、そうして停滞をも覚悟し始めた者達の前で一人カレは堂々とハッキリと言ったのだ。
「君が一番可愛いと思った……、付き合わないか雫っ。俺はお前だけを3年間愛するんだ、ずっとだよ、何度フラレても追い続けるよ、マジLOVEっ、100ぱァーーーぁせんツ!」
衆目の前で学校に花束という異物を持っての渾身のソレがあの黒髪に見事に実り、無事に今後交際しません、剣にまい進します彼氏いりません宣言させる等というかなりのカウンターを喰らった男。しかし和樹さんには後悔はない、これが良いキャラづくりになったと。
「まぁまぁまぁ~? そこの雫さんもよぉ? あんまりコイツを見んなってぇ。他のヤツも噂しか知らないだろうに、よくないよ~ホントぉ?」
散々ちゅうこ宣言しておいての、いつの間にか名前を呼びあう程度には友達だったし。女子の一団にも堂々と近寄って言い放つ和樹は。こんな、クラスの女子だなんて、異物というよりかはさ、もう……、なんというか、その――。
驚きだ。コイツも2年で初めてクラスになったのにな。
笑ってる。それは多分全員が思う妄想を実行したのだろう、なんとも良い判断力で、そうして学園生活を左右するその1手を行える。
だってその後別の女子に、同じテンションで同じ言葉で、そんでもって紳士的に2人っきりで告白したんだもの。
それだ……その子可愛いんだわ。
今も和樹さんは臆する気配もなく十八番の、心無きケモノ天パこーじぃまでもを降臨させて蹂躙を、もう集中砲火で。
「ナァ? あんま俺の親友をジロジロ見るならなぁ、考えあるで? 本当は分かってる……ネタは上がってんだよ、そんな感じだよォ――!? なぁ付き合ってたんやろ、なんでそんな不仲なのかを追求してしまうで、本気やでコッチ……、いやいやマジやて、なぁ良いんか、ホンマえぇんかァ!?」
ホントでっしゃろかぁぁァ……――ア!?
本気で詳細を聞こうとして怒られてる。でもそんな美少女だからといってアニメみたいに男が敵に回るという事もないし女子も男子も笑ってる。
「さ、手をとろか~……、俺のマブダチ、親友やんなぁ? 硬い結束の、我らアンチ構呂木 雫団やで!」へへヘェ――。
三下感あふれる邪悪な和樹に苦笑するクラスメイトたち。
こいつホンマは強い奴なんや、邪険にされるのだってまぁこの教室だけやろぉ~? そう言ってくれるのはかなり心強かったよ。そうだな、だから神が苦しいんだって。俺は右腕を開放し。
「そう……。でもね……、だけども、これが彼の復帰戦、そんな変な事を言うから……」
それは今まで黙っていたが、その言葉はコウロから、胸が張り裂けそうになるから「ねぇ……ゆ―― うん。それが復帰戦って事で良いの? もしかしたら手術する感じなの……」
その真っ直ぐな目。
黒髪の剣士は聞いていた、本気で問い質していた。だが誰もが首を振って、だって俺は一切応えないから。何度かその言葉は聞いたけれども、この曲解された噂が流れた時にも俺は。
逃げ場なく、されど沈黙していて、ただただ。しかし少女は今になってそこだけは本気で聞いて。
「ねぇ、勝負……受けるよ。その代わり勝ったら手術は受けるよね?」「あぁ……、いや。関係ないぞ雫、復帰もしない」「ねぇ、なんで。あの子。アナタはじゃあ剣じゃなくて良いよ、手術して」
「……いや、良いよ。勝負には関わらない」
「ねぇ……、もしかして勇は私が」ガららラ!「おぉ~~、遅れた~。今日の1時間目は自習になるみたいでなぁ~~」オラぁ? どうした、何やってんだよ座れ座れぇいっ。
「はいよ、ではモフみ……いや木美先生がなぁ、あの人まーたトラブルで遅れてるんだわ~、あの人ホント……」フフフ。
その言葉に全員が粘着質な目を切る。黒髪も仕方なく座るから。自習が始まってもその教師はいた、ちなみにそのモフみんは自習終了ギリギリに来て世界地図を広げてバンっと全力で「覚えてて下さいね。中世暗黒時代は続いてるのよ……、イタリア、そのローマの技術は奪われました、それは光だったのにっ。もうそれだけで200年もの技術後退を招いたのですッッ!」
あんた……国語だろう? ナゼ受け持ち教科をすっかり忘れれる――。




