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「でもやっぱり……そうなんだ、それはリンなんですね……。この子は私とほぼ一緒に生まれたんですよ、それは姉妹も同然だった子で。異物と言われた私の最後の友達……」
幼い頃からずっと暮らしてきた姉妹だった。
私が犬より早くオモチャを噛み壊したことや、泣いてたらナゼか無限に自分の周りを回転し始め、自分も負けじと回って目が回って大変になった事。一緒に学校にいってしまい校門で別れて、一匹で帰るという無茶をしたりと。
ただでも命はやはり、違うもの。
「最後に看取ったあと、それでも来世を願いましたね……。でもまさかこんな形で会えるだなんて思わなかったのよ、リン」
あぁ……アナタはこんな形でもまだ私に。
その言葉にそのカードを、そうして俺が思う事は「雫……、アイツも」取り戻さねばならない、どうしても幼馴染を、その剣を。
やはり同じ剣を辿って来た者としてあんな姿は見たくない、才能がある少女を渡してはならないから。剣は自由だ。ずっとずっと見守ってきたんだよ、もっと見たかったし、俺も……。
あのギアスには契約として破棄する方法がある。ただしだ。
「金額的には途方もなかったはずだったな、確か王の年収10年分とかなんとか――」
勝ち誇って言ってきたあの顔を思い出す、拳を握るんだ「じゃあそうだ……、なんだったら俺もあの学院に……。いやでもここで俺が学校を離れたら恐らくは――」
その悩む二人の姿に彼は「浮遊霊、な――」
和樹が頭をおさえる。
「それでそうかぁ……。お前は変身してさ、色の違いはこうなる……。それで触り心地はどうだ? いっぺんだけ、どうなるのか一度だけ……」
その大きいのをひっくり返してやって、よーく観察する。むにゅっと上から捕まえてやったり、少々熱くてもじーーっと見てやる。スライムだ、野生の粘液生命体。
せい、でやぁ! これでどうよ、ダメージは通ったハズっしょ。
そうです、和樹さん、今はシールド効果があるんでドンドン覚えましょうね!
ヒト型ではない分やれてる和樹。
「スライムだったな、それは……本名か? 知能ありそうなゴブリンとかいるしなぁ、それって自称なのか他称なのかと。自己紹介した感じか? オマエ俺らの世界とどう関係が。あとそれでスライムの……、コイツ水にはなんだろうか、もしかして苦手なのかと? こいつら水に弱いっぽい、なんでだ……ぁ?」
明らかに水を嫌がっている、種類の違いなのかそれとも自分の存在が希薄になるせいか。あと何気に別のをくっつけようとすると駄目だ、それでよーーく見るとな、その表層で何かが戦ってる、何かの微生物だろうか?
必死にパンチして寄せ付けまいと奮闘するのだ。そうしてでも自分が切り離した所や、もしくは切り離された物だけは回復するのだが。
「でもある一定のは反発するんだ、時間とかか? その割に他の同種を吸収したりする事もあるんだな。当然だが別の種族も食うし、へぇぇ~」――0コスト:【お守り程度の幸せ】シールド2を与える。和樹へ。
「ハァ……ハァ……、勇オマエぇ~……、結構そういうの好きよなぁ? こんな時にさぁ、普通にやれてるってか、普通過ぎるわ」
なんやねんソレぇ、えい、やぁ!
うなずく、手札0枚だし実は結構どころかかなり好きだし「色々あるんだよ、実際俺は剣士になる以外なら生物学っていう進路を取ってたわけだし、理科教室にも入ってた。家じゃ勉強しろの圧力に耐えられないんだわ……」
「あぁ~~~、 ハハハ、ケガして大変やなぁ、お前もぉ」はっは。「それであの、強化まだぁ?」
なんかムカついたので次はバフはやらん、このクソ天パが――。しっかしゆっくりと見ていたがスライムってのはもしかして糞尿はしないのかもしれないとも。
「あぁ、だからか――。もしかしてこいつ等は……。うんそう、これ例えば地球で思い出すのはシャコ貝とかだな、アレは殻に付いてる藻から得たエネルギーで動いてるんだっけか、何も食べず何も排泄しないで成長までするって――」
そういうのは何種類かいるが普通その場合はご飯を食べない、特に固形物を取らない場合がほとんどだ。だがしかしスライムたちはしっかりとご飯を食べるし溶かす、吸収する。そして変色までもして。
「もしかして……、色が変わるっていうのもそういうのがあるのか、なるほどな、死んでるんだわ――」
だって恐らく彼らには死のその先があるから。
彼らは脳みそが希薄だ、なので何でも動く物は食おうとする。でも例えばだが……そう、飲み込んだ物体が自分より強かった場合は? その答えはその先を全うするだ、そうだよ、必要のない捕食をして色が変わっていくのはその弾性のすごさからなんだ。
スライムはもし捕食して、逆に死を味わってもその先を確保しやすい構造であり、死した後にも生き残る戦術を携えた生命体なんだ。
「全部取り込めるし、むしろ自分も取り込まれる事を想定してる。簡潔な存在感のように見えて何気に最強に複雑な構成が作れる、か……。スゴイな。魔法生物というよりは確かに地球の神秘に近い気がした……」
俺は和樹と加島が戦ってるその動きに気になった所を伝えながらも、後ろを警戒して回収、動物観察も行っている。あとは茹でダコの、ふぃぃ~~、なんとか生き残ったわぁ。いや、マジでごめんね虹炉ちゃ……いや、加島ちゃんさぁ~?
いえいえ、良いんです良いんです。和樹さんは前線になれるよう頑張って欲しいかと……。ふぅ~~。水を飲ませる、キンっと冷えたので潤し。そうしてスライム拾って次々と俺が籠の中へと放り込むから。
「お疲れ。まぁ……、オレはあんまアシストもできないしな。悪いな和樹、思った以上に大変だろう」
「いや、マジでこれ言っといてよぉ~? マジこれならこーへんかったってぇ~。オッパイ見れるし仲良いし剣に狂ってるしでさぁ、もうホンマ、楽できると思うやぁん?」
率直過ぎて笑いながら「そうか、そうかよ。まぁでもそう言えばさ、お前いたんだろガッコ、他のスキルが魔法使いの奴らってどうなってるんだ?」あぁ~俺も水飲もかぁ……。
「あぁいや~、魔法はどうだったろうな~……。やっぱほぼなんていうか魔法だし、RPGよな? お前が出してた位のだと2回くらい連続して使ってたヤツいたな。すごいのだと4、5回はさぁ」こう……ぼっぼって。
やっぱそうなんだな、連続が可能な魔法。朝の時に見てたがもうバフを何人かにかけていたから。ただ和樹いわくMPというような概念があるらしいとも。
「頭痛くなるみたいよぉ? 頻繁に。まぁそれにお前みたいに綺麗なのはほとんどいなかったわ、なんつうか……もっとさぁ、ヒョロヒョロの炎とか水だったな」
このカードかを覗き込んでうなずく、恐らくそうだ。そういう意味では今は早熟型とも言えるだろう俺は「あの爺さん曰く、表記の数字は裏切らない、か。ただ逆にそこが限界、俺のは手札依存なんだよなぁ……」
カードないとなんもやれない。
そして手札が腐って来たので仕方なくバフ代わりに加島にリンを憑依させるから。
「真理もな……、このマナもいまいち育ってないしな。浪費は避けたいけど使えって言われてるし、でも金がかかる、前途多難だわ~」「でも可愛いじゃん、なぁ、お前やっぱナデナデはしたんかよ――」
「はぁ……? そんなんやるわけないだろう」「あくしろよぉ、俺も順番待ちなんだぞぉっ! さぁ……俺の為になでろよ、ほらナデろぉ~、彼氏じゃないなら良いだろ~う――」
ナァえぇんちゃうの、も、バッていこ、バッて。経験やて経験。慣れさせていこうやっ!
この軽いやつ、非童貞めぇェ――。ナデナデ待ちだと言い張るんだ、主人が撫でないとやれないだろうと。ただ本人の気持ちがあるだろうよ、いや気持ちがあっても駄目だろうって。まぁそりゃ、あの……まぁでもあの頭は呼ぶよな、あのひょこひょこする尻尾も、つい良いのかなって思うけども、や……。いや……っ。
ほーら、やっぱ言うた通りやんけーー!
えぇい大声をだすな、このテンパが。
それへ加島が非常に困った顔をしている、お口を人から三角にして、切なげに尻尾をくねらせて。犬耳少女が悶える。やはり聴覚が良いんだよ変な事言えないよなぁ……。
ごめんな?
顔を逸らして無言だが。




