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辺境の治癒士が竜姫と出会ったら ~癒しの魔法に女性たちはメロメロ!?~  作者: さとうはるか


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3 対ヒュドラ戦


 僕らはライラに教わった気配の消し方をしながら、山中の険しい道を進んだ。

相当歩いた後に、ようやく目的地の洞穴に到着する。


「あの穴に棲んでるようだ、という話だけど――プリシア、何か感じる?」

「凄い匂いがしますわ……ヒュドラの――悪臭……」


 プリシアは顔をしかめた。


「よし、じゃあ行こう。ヒュドラを見つけたら、プリシアとミシュレイはまず遠距離攻撃をして、ダメージを与えて。敵が攻撃してくると思うから、敵の攻撃法を見極めるために、僕が先頭で行って捌く。その攻撃法を見極めたら、散開して相手の的を散らして、各自、ヒュドラに攻撃だ」

「判った」「判りましたわ」「いい作戦なんだぞ」


 ミシュレイとプリシアが頷く。ライラは不敵な笑みを見せた。

 洞穴の中を進む。やがてプリシアが声を洩らした。


「ひどい匂い……」

「もうそろそろか」


 僕らはさらに歩を進めた。

 すると洞穴の大きな広間に出る。そこに――ヒュドラはいた。


 大きい。巨大な洞穴の中にいたのは、小山のようになってる水色とも緑とも言えない色の身体をした生き物だ。


 プリシアとミシュレイが前に出る。


「竜閃光!」

「水竜突閃破」


 プリシアが光線を発射し、ミシュレイは水竜を出して攻撃した。

 二人の攻撃が炸裂するが――効いた様子がない。


「ヴガアアオオオォ……」


 低い唸り声をあげて、小山の巨体が起き上がる。

 その巨体が首をもたげる――五本首だ。五つの頭が、こちらを見つけて赤い眼で睨んできた。


「ヴガアオオォォッ!」


 中央の頭が、いきなり凄まじい火炎放射を吐き出した。

 辺り一帯を包み込むほどの火炎量だ。


 僕は前に出て、翼の盾を展開する。


「防御ドーム!」


 金色の翼が大きく広がり、ドームを作って、僕ら全員を守った。


「凄まじい火炎だ! みんな気を付けて」

「よし、じゃああたしは出るんだぞ!」


 ライラは真っすぐ駆け出して、敵の正面に向かっていった。


「僕らは左右からだ。ミシュレイは右、僕とプリシアは左から行く」

「判りましたわ!」「了解だ」


 ミシュレイが右に進み、僕とプリシアは左に回り込む。

 中央の首が、向かってくるライラに火炎を吐きかけた。


「オオオォォォッ!」


 ライラは手に中に黄金剣を取り出すと、その業火を黄金剣で斬り割る。


「デヤアァァァァッ!」


 高い跳躍とともに、ライラは中央の頭目がけて剣を振りかぶった。

 が、そのライラに向かって、頭の横についている髭のような触手が襲いかかる。


「ムッ!」


 ライラはそれを斬り払うが、そのために中央の頭には仕掛けられない。


「ヘンな触手みたいので迎撃してくる。近づけないんだぞ!」


 ライラが大声をあげる。

 その間にも、ヒュドラの右から二番目の首が、火炎放射を吐いてくる。しかも吐きながら、弧を描くように頭を振る。


「くっ――水流防壁!」


 ミシュレイが水流の障壁で身を守る。

 僕は自分とプリシアに向かってきた火炎を、気流渦で逸らした。


「大旋気!」


 凄まじい業火を、なんとか気流渦で逸らす。

 しかし、そこで足を止めている僕らを、ヒュドラは尾を振って攻撃してくる。


 プリシアとライラはジャンプしてかわしているが、僕とミシュレイはその巨大な尾を後退してかわす。その分、距離が生まれる。


しかし近づこうとするライラとプリシアにも、首横の髭のような触手が鋭く伸びてきて襲い掛かる。ライラがそれを寸断するが、触手はすぐに復活して伸びている。


「キリがない! 近づきようがないんだぞ!」


 ライラの声の後に、ミシュレイが呟く。


「こちらも近づこうとすると、尾で払われる。決定的な魔法を放つ機会がない」


 ミシュレイは焦った顔を見せつつ、歯噛みをした。

 なんとかして、奴の動きを鈍らせないと駄目だ。

 僕はプリシアに声をあげながら、左に回り込んで胴体部に迫る。


「プリシア、上の方の気を散らして!」

「判りましたわ!」


 プリシアが竜閃光を放ち、一番左の頭を狙う。

 光線を受けた頭が怯み、その隣の首がプリシアを噛みくだこうと襲い掛かった。

 プリシアが戦闘してる隙をついて、僕はヒュドラの胴体に接近する。


「ハアァァァァァ――」


 気力を高めて、僕は浸透系打撃をヒュドラに撃ち込んだ。


「旋気内撃破!」


 僕に出せる最大級の気流の渦を、内部に浸透させる。


「ヴガアアオオオゥッッ!」


 苦しみのような咆哮をヒュドラがあげ、ヒュドラは身体を思いきり振った。

 その振りざまに、巨大な尾が僕に襲いかかる。


「うわっ!」


 巨大な尾がうねり、ジャンプしてもかわせない。

 僕は翼の盾で身を守るが、盾ごと吹っ飛ばされる。

僕はなんとか、飛ばされた先で踏ん張った。


「クィード! 大丈夫ですか!」

「大丈夫、盾のおかげでダメージはない。尾の攻撃にも注意して!」


 僕の声の後に、ミシュレイの声がした。


「いや……効いてるぞ、動きが鈍くなった!」


 見ると、ミシュレイが頭部に黄金の冠が出現させた。

 ミシュレイの身体の周囲に、光の線が円を描いてミシュレイを包む。


「水竜突閃破ァァッ!」


 三体の水光竜が出現し、ヒュドラの一番左端の首に襲いかかった。

 ヒュドラが吠え声をあげるなか、水光竜が襲い掛かる。


「グギャアアァァァオゥッッ!」


 絶叫にも似た咆哮の後、左端の首が消し飛んだ。……やはりミシュレイの魔法は凄まじい威力だ。

 ミシュレイが声をあげた。


「クィードの攻撃で動きが鈍くなった! 今がチャンスだ!」

「あたしもやるんだぞ! ――重気爆砕破!」


 相当な気力がこもった剣を、ぶつけるようにヒュドラに叩きつける。

 その瞬間、ヒュドラの頭が爆発して消し飛んだ。


「凄い剣技だ……今まで、あの技は時間がかかって炸裂しなかったけど――」

「もう、タメ時間が必要なくなったんですのね」


 プリシアが微笑んで言う。


「クィード、わたしたちの技で行きましょう」

「判った」


 プリシアが膝立ちになり、両手を広げる。

 僕はその背後に立ち、プリシアの両肩に手を乗せた。


「魔力譲渡!」


 僕の魔力をプリシアに譲渡する。プリシア広げた両手を胸の前で合わせた。

 と、手首を縦から横に返す。


「行きます! 竜光砲(ドラゴニック・キャノン)!」


 轟音とともにプリシアの手から、僕らの背丈を越える光の大砲が発射される。

 その巨大光線は二本のヒュドラの頭を呑みこんで、一瞬で消し飛ばした。


「二人の合体技――凄い威力なんだぞ」


 ライラが感心したように声をあげる。残ってる首は、右から二番目の一本だけ。


「ようし……あたしが最期を決めるんだぞ。ハアァァァ――」


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