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辺境の治癒士が竜姫と出会ったら ~癒しの魔法に女性たちはメロメロ!?~  作者: さとうはるか


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4 ミシュレイの冒険者登録


 ベッドに座りこちらに背を向けてるミシュレイに、僕は訊ねた。


「プリシアに悪いって――何が?」

「だって……君は、プリシアとその…恋人――同士なんだろう?」


 え!? 


「え!? いやいや、そうじゃ――ないよ!」

「……違うのか?」


 青い髪を揺らして、ミシュレイが振り返った。


「だって、よく一緒に寝たりしてるじゃないか……」

「あれはなんというか……ちょっとプリシアの感覚が、竜の感じというか――」


 僕がそう言うと、ミシュレイは赤くなった顔でこちらを見た。


「じゃあ――人間の感覚で一緒に寝るのは……?」

「え、えぇ?」


 ミシュレイは顔を横に向けたまま赤くなっていたが、急にベッドの中に潜り込んだ。


「おやすみ」

「え……あ、おや――すみ……」


 僕はなんか、ちょっとよく判らないまま、ミシュレイの傍で寝た。

 ――どうやら寝相は大丈夫だったらしい。


*  *   *   *   *


 翌朝、なんでもないようにダブルの部屋から、プリシアとライラが出てきた。


「ふわぁ~、よく寝ましたわ」

「うん、快眠だったんだぞ!」


 皆で階下の食堂に降りながら、ミシュレイがプリシアに訊いた。


「その……ライラの寝相は大丈夫だったのか?」

「え、寝相? はい、全然、大丈夫でしたよ」


 プリシアがにっこり微笑すると、ミシュレイは呆気にとられて苦笑した。

 どうやら竜であるプリシアは、寝てる時に少々蹴られたくらいじゃ平気らしい。


 朝食をとりながら、僕は皆に言った。


「セントリアまでは結構、距離がある。僕は荷馬車を購入していくのがいいと思うんだけど、みんなはどう思う?」

「わたしはいいと思いますわ」

「あたしも賛成だぞ」


 二人が賛成する中、ミシュレイが訊いてきた。


「それ自体は構わないのだが――路銀は大丈夫なのか?」

「買うことには問題はないけど、それで無くなっちゃう。セントリアに着いたら、冒険者ギルドに行って、お金を稼がないといけないかも」


 僕はネフィーラに教わったことを話した。


「というか、実は荷馬車を買うこと自体が節約なんだ。セントリアまで5日くらいはかかると思うけど、それを全部宿に泊まるようなお金がない。途中は荷馬車の中で寝るのがいいだろうっていう判断なんだ」

「そういうことか。ならば選択の余地がないじゃないか」


 ミシュレイは苦笑した。

 それから僕らは荷馬車を買いに行き、比較的広さのある幌付きの荷馬車を購入した。栗毛の馬が、荷馬車を牽いてくれる馬だ。


 そしてウディールを出た僕らは、セントリア帝国へ向かうためにウェストリアを縦断する。基本的に夜を明かすのは街を通り過ぎた郊外にした。


 夜は荷馬車の床でプリシアとミシュレイが寝て、ハンモックにライラが寝る。

 僕は外でソロ用のテントで寝る、というスタイルで行った。


 夜は、三人の紋章の治癒を一日おきにする。

 翼の盾のドームをつくって行うから――外には声は洩れてないと思うけど。


 やがてセントリア帝国の首都オーランドに到着した。

 荷馬車から顔を出して、ライラが声をあげる。


「――すっごい……大都会なんだぞ!」


 確かに大都会だった。僕らが今まで行ったなかで、一番の大都会だ。

 石造りの背の高い建物がびっしりと並びたち、通りには祭りでもあるのかと思うほど人と荷馬車がひしきめきあっている。


 と、ミシュレイが口を開く。


「オーランドには来たことがある。とりあえず、冒険者ギルドに行こう。しかし、その前にちょっと問題がある」

「どうしたの?」


 僕はミシュレイに訊ねた。


「君らは既に冒険者登録を済ましているから問題ないが、ボクはシュラの名前で登録がある。これを使うと滅竜攻団に気付かれる可能性がある」

「あ、それはないんじゃないかな」


 僕は少し笑ってみせた。


「ネフィーラから聞いたけど、冒険者ギルドと滅竜攻団って仲悪いんだってさ。だから情報のやりとりなんかはしてないんじゃない?」

「そうか……それなら大丈夫か」

「けどさ――」


 僕はミシュレイに言った。


「もうミシュレイはシュラじゃなくなったんだから、改めてミシュレイで登録しようか」

「……そうだな」


 ミシュレイは静かにだが、嬉しそうに微笑んだ。

 それから改めて、僕はライラに問う。


「そういえばライラは冒険者だったんだよね? ランクは?」

「Cだぞ。師匠と二人でパーティーだったんだぞ」

「そうか、なるほど」


 ミシュレイに道案内をまかせて、僕らはギルドに向かう。

 やがてギルドに到着すると、外に荷馬車をつなぎ僕らはギルドに入った。


 人が大勢いる。今まで寄ったギルドの中で最も広く、最も人が多い。


「うわぁ……やっぱり都会のギルドって感じなんだぞ」

「本当、そうですわね」


 ライラとプリシアが感心した声をあげる。

 そんな声をあげながらプリシアとライラがどんどん歩いていく。


 すると冒険者の視線が、二人に集まっていくのが判った。

 プリシアは凄い美人だし、ライラもあんな感じだけど実は美少女だ。注目を集めるのも無理はない。


「……目立ちすぎだな」

「そうだねぇ」


 僕とミシュレイは目を合わせて苦笑した。

 そして奥の受付カウンターに行くと、僕らは受付のお姉さんに言った。


「あの……僕らはBランク冒険者なんですが、一人パーティーに新規加入しました。彼女の登録をお願いしたいんですが」

「かしこまりました。Bランク冒険者からの推薦という事であれば、Cランク冒険者まではテストなしで登録できますが?」

「うん、それでいい。お願いしたい」


 ミシュレイがそう口にする。

 受付のお姉さんがにっこりと微笑み、僕らに言った。


「では、残りの方の冒険者の方の登録証をお願いします」


 言われた通り登録証を提示すると、お姉さんが微笑んだ。


「お二人がBランクで、お一人がCランクですね。確かに。それではこちらに、新しい登録希望の方のお名前をご記入ください」


 そう言ってよこされた用紙に、ミシュレイが『ミシュレイ・クローネ』と記入した。


「では登録証を作るまで少し時間がかかるので、ギルド内でお待ちください」


 そう言われて、僕らは受付の前から場所を移動する。

 大きな掲示板があり、そこにクエストの注文票が張ってあった。


 大勢の冒険者が、それを見ている。

 が、次々と手が伸びて、注文票がなくなっていく。


「あ、どんどん注文票がなくなっていくんだぞ! あたしたちも、急がないとだぞ」


 そう言うとライラは、掲示板の前へと走った。

 足を止めて、掲示板を眺めている。


「これなんか、どうだぞ? 『ヒュドラ退治 報酬500万ワルド 推奨ランクBランクパーティー以上』」


 ライラが一つのクエストに眼を着けて、注文票をとって声をあげた。


「500万ワルド!? いいね! けど……考えてみたら、僕らは個人の登録はあるけど、パーティー登録ってしてないよ。推奨ランクBランクパーティーってあるけど、パーティーとしてのランクはないわけだ」

「じゃあ、まずパーティー登録をしなきゃだぞ」

「ミシュレイの個人登録が済んでからだね。それと――パーティー名を考えないと」


 僕がそう言うと、プリシア、ミシュレイ、ライラと全員が腕を組んで考え始めた。と、その時、横から男の声がした。


「おい、新人ならヒュドラ退治はやめときな」


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