3 三人の夜
部屋に飛び込んできたミシュレイは。ベッドの上の僕らを見ると途端に顔を赤く染めた。
「あっ……あ、お――邪魔だったか……」
「いや、そんなこと言ってる場合じゃないんでしょ! ライラがどうしたって?」
僕とプリシアは身体を起こす。
と、勢い込んでミシュレイが声をあげる。
「そうだ、大変なんだ。ライラが苦しんでる――どうも…ボクらと同じ症状だ」
ミシュレイがそう言って、プリシアを見る。プリシアの眼が驚きに開かれた。
「すぐに行こう!」
僕らはミシュレイたちの部屋に移動した。
そこにはベッドの上で苦しむライラの姿があった。
「うぅ……ぐ――」
ショートパンツの上には大きめのTシャツという寝衣のスタイルのライラが、苦悶の表情を浮かべて身体を縮めていた。
僕はベッドの傍にいって、ライラに訊ねる。
「大丈夫、ライラ?」
「う……なんか判らないけど……苦しいん…だぞ――」
薄目を開けて、かすれる声でライラが答える。
いつも元気過ぎるくらいのライラが、こんなに苦しむなんて……
「苦しいのはどこ? ライラ」
「この辺りが……一番強い――」
ライラが押さえたのは、右胸の上のあたりだった。
首まであるTシャツでは、患部が判らない。
「ライラ、直接、痛む場所に治癒をする。悪いけど脱がすよ」
「お願い……だぞ……」
ライラが苦しみながら言うのを聴いて、僕はプリシアとミシュレイに言った。
「二人とも、ライラを起こすのを手伝って」
「判りましたわ」「うん」
ミシュレイと僕でライラの上半身を起こすと、プリシアが思い切りよくライラのTシャツをめくりあげる。
――と、下に何も着てなかったライラの乳房があらわになった。
「あわわわっ! 何も着てなかったのか!」
「ちょっと待ってて」
ミシュレイが素早くシーツを手にすると、ライラの胸に巻き付ける。
……意外に…凄かった。いやいや、そんなことを考えてる場合じゃない!
その巻き付けたシーツの上、右の鎖骨の下あたりに――滅竜呪の紋章が紫色の光を放っている。
「ジャルドーの奴……ライラにも滅竜呪の紋章を入れていたんだな――」
「なんてことを……」
ミシュレイが口惜しそうに唇を噛む。
僕は紋章の上に手をかざした。
「待ってて、今、治癒する。治癒!」
治癒の光を放つ。と、ライラの苦悶の表情に、変化が現れた。
「あ……なんだぞ? ……なんか――違う感じが……」
「大丈夫、クィードにまかせていて」
プリシアがライラを寝かせながら、そう微笑んだ。
「あ……あたし…どうなるんだぞ……」
「まあ、最初はちょっと驚くかもだが……心配しなくていい」
ミシュレイが眼鏡を押さえながら、ライラの肩に触れる。
僕は治癒の光を浴びせ続けた。
「あっ――あ、あぁ……ンーっ――」
ライラが堪えきれない、という様子で声をあげる。
「あ、あたし……声が――抑えきれないんだ……ぞ…あっン」
「大丈夫ですわ――わかります、その気持ち」
プリシアが微笑しながら、ライラの耳元で囁く。
「わか……るって…あ、ハアァンッ――」
「気持ちよいのでしょう? 恐がらなくていいの、わたしたちも同じですから」
「おなじ……? 二人とも――?」
ライラは顔を赤らめて、身悶えしながら傍の二人を見る。
プリシアは微笑して頷き、ミシュレイは少し恥ずかしそうに赤くなった。
「ね……クィード――わたしもしてもらうつもりでしたのよ。お願い、わたしも一緒にしてくださいまし」
プリシアはそう言うと横になり、ライラの身体に腕をまわしながら、僕に艶っぽい流し目を送る。
「プリシア……なにを――」
ライラが切なげな顔で、自分に触れられた腕を触る。
僕は苦笑しながら言った。
「仕方ないな、プリシアは」
僕はそう言って、プリシアの脇腹にもう一方の手で治癒の光を出す。
「あぁっ――あふぅ……ン……」
プリシアが悶え声を上げて、ライラにしがみつく。
ライラが赤くなりながら、プリシアを見つめた。
「は……はしたないんだぞ、そんな声で……」
「だって、仕方ないでしょう? 気持ちがいいんですもの……あ――」
プリシアとライラが、抱きしめあいながら身悶えしている。
二人の喘ぎ声が、共鳴しあうように響いてくる。
「あン……あ、は――あ、あぁン、あふぅああああ――」
「ん~っ――くぅン……あ、あぁぁぁンンンッ――」
二人を治癒していると、ライラの紋章も少しずつ光が薄くなっていく。
よかった、治癒が効いてる。
と、不意に僕の手に何かが触れる。細い手――
「――ミシュレイ?」
「ボクも……その――」
顔を赤くして、ミシュレイが上目づかいに僕を見ていた。
僕はミシュレイに笑いかけた。
「わかったよ、ミシュレイ」
「うふふ……やっぱり、ミシュレイも欲しがってたんですね」
「そういうこと……言うなよ…」
そう恥ずかしそうにプリシアに言いながら、ミシュレイは隣に横になる。
ライラを挟んで左にプリシア、右にミシュレイだ。
「ね……クィード――はやく……お願いです――」
プリシアがうっとりした顔で微笑みかける。
ミシュレイが恥ずかしそうな顔で、こちらを見る。
「二人とも……ずっと、こんなことしてたんだぞ……?」
「ライラもこれで、仲間ですわね」
顔がほてっているライラの耳元で、プリシアが笑った。
「けど、両手じゃ足りないな――」
僕は『翼の盾』をドームに展開した。この封鎖空間で――
「範囲治癒」
僕は全身から治癒の光を放ち、ドームの中を治癒の光で包む。
「「「アアァァッ――あンッ、あああンっっ!!!」」」
プリシアとミシュレイ、そしてライラがかん高い喘ぎ声をあげた。
三人が感極まって寝てしまうまで治癒を続けて――僕はそっと部屋を出た。
* * * * *
僕は一人で、シングルのベッドに寝てすっかり眠りこんでいた
と、しばらくすると、僕はノックの音で目が覚めた。
「ふぁい、どうぞ~」
何かあるといけないと思って、鍵をかけてなかったのでドアが開く。
と、入ってきたのはミシュレイだ。
「ミシュレイ……?」
ミシュレイは眼鏡を外していて、大き目の白いブラウスを一枚着ている。その下からは、すらりとした細い脚がのぞいていた。
「あの……ライラが、ひどい寝相で――ベッドに入れなくてだな……」
ミシュレイが赤くなってうつむき加減でそう呟く。
「その……プリシアに悪いので――迷ったのだが……」
ミシュレイはそう言うと、背中をむけたままベッドに腰を下ろした。




