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辺境の治癒士が竜姫と出会ったら ~癒しの魔法に女性たちはメロメロ!?~  作者: さとうはるか


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第十九話  四年前の真実  1 三つ巴


 バースドがプリシアに向かって火炎放射する。


「やめてください、バースドさん! 竜光盾!」


 プリシアは光の盾を展開して、火炎を防御する。

 バースドは火炎剣を創り出すと、プリシアに斬りつけた。


「オレの邪魔をするなってんだよ!」


 火炎剣を受けたプリシアに、バースドが前蹴りを入れようとする。

 ――が、その身体が吹っ飛んだ。


「――なに……!?」


 吹っ飛んだバースドが、地面に転がりながらこちらを見る。

 そう、僕が突っ込んで、バースドに体当たりをいれたのだ。


「プリシアを傷つけさせたりしません!」


 僕はそう言って、ミシュレイとライラが戦ってるところ見る。

 二人の実力はほぼ拮抗してる。


 しかしライラが大技に出た。

大きく気力を貯めている。


「ウオオォォォォッ――重気爆砕破!」


 かなりの気力を貯めた剣で、ライラがミシュレイに斬りかかる。

 が、僕はそこにも割って入った。


「把気!」

「――なにっ!?」


 斬りかかるライラの腕を捉え、そのまま投げに持ち込む。


「気流半月投げ!」

「うわぁっ!」


 背中から地面に落ちたライラが、呻く。

 僕は念のために、もう二発、投げをうっておいた。


「く……くそぉ――」

「二人とも落ち着いてください! 僕らが戦う必要は、まったくありません!」


 僕は声を大にして叫んだ。

 ライラとバースドは、不服そうな顔でこちらを見てる。


「まず、バースドさん!」

「な、なんだ?」


 僕は少し動揺してるバースドに言った。


「あなたは隠れ里襲撃の手引きをブレッカーさんがしたと思ってる」

「そうだ! 違うとは言わせないぞ!」

「違います」


 僕が断言すると、バースドは怯んだ顔をした。

 僕はブレッカーに訊いた。


「ブレッカーさん、覚えがありますか?」

「いや……まったくない。そもそも、その隠れ里の場所も十年以上前に聴いたことがあるだけで、もう覚えちゃいねえ」

「そんな事、信用できるか! 実際に、村を襲われた生き残りが、オレに話したんだぞ!」


 バースドは強弁する。それに対して、僕は言った。


「その生き残りの竜は、今、どうしてますか?」

「そいつは――別の隠れ里にアテがあるからって言って、出て行ったよ」

「その竜が、ブレッカーさんを名指しして消えたと?」


 僕の問いに、バースドは少し表情を変えた。


「そ……そうだけど…」

「その竜が隠れ里を手引きし、全滅させた後で何食わぬ顔で、龍王のところに報告にいった可能性はありませんか?」


 バースドの眼が見開く。


「そ――そんな事をして、そいつに何の得があるってんだよ!」

「操られていた……という可能性もあるとは思いませんか? 少なくとも、滅竜士の一団は、竜の因子を持つ擬竜を、いいように操ってる」


 僕がそう話すと、ブレッカーが口を開いた。


「やはり……最近、起きていた竜騒ぎは、擬竜によるものか――」

「師匠――あたしの両親を殺したのは竜じゃないのか?」


 ライラが眼を見開いて、ブレッカーを見つめる。


「あたしは……両親の仇をうつために強くなりたくて……師匠に弟子入りしたんだぞ――」

「ライラ、聴くんだ。あの時、退治したのは竜の因子を植え付けて人工的に作ったモンスター……擬竜だ」


 ブレッカーの説明に、ライラは呆然とした顔をしている。


「師匠は……なんで、そんな事を知ってるんだぞ?」

「俺は――『竜災事変』の際に、竜と協力して事態を鎮めた『光龍騎士』の一人だ」

「……え~っっ!!」


 ライラが驚いている。――どうやら、その辺の事情を弟子に話してなかったらしい。


「擬竜は滅竜攻団が対竜戦闘のために開発した人工モンスターだ。その開発過程も俺は知っていた。だから――四年前に現れた怪物も、竜ではなく擬竜だと俺にはすぐに判った」 


 ライラが愕然とした顔をする。


「あたしの……両親を殺したのは――その擬竜……?」


 ブレッカーは頷いた。


「しかしそれをあの時のお前に教えても――完全に『竜』扱いしている世間との常識に開きができるだけで……お前が孤立してしまうだろうと思った」

「……師匠のようにか?」


 ライラは言った。その言葉に、ブレッカーが、はっとなる。


「師匠はあたしの両親の仇をとってくれたのに……それを誇るでもなく、街の人の称賛を受けるでもなく――いつも独りでいた……。それが何故か前は判らなかったけど――今は判るんだぞ」


 ライラは涙目で、ブレッカーを見つめた。


「……どうして――今まで話してくれなかったんだぞ?」

「君を、滅竜士や竜が関わる戦いに巻き込みたくなかった――そうでしょう? ブレッカーさん」


 僕はブレッカーにそう問うた。ライラが僕の言葉に驚いた後で、ブレッカーを見つめる。

 そしてブレッカーは頷いた。


「これは俺の問題だ……俺の過去の問題に、弟子を巻き込みたくなかった――」

「師匠……」


 ライラは涙目でブレッカーを見つめると、声を震わせた。


「そんなの……あたしは望んでないんだぞ…。それはもう、あたしの問題でもあるんだぞ。あたしは……師匠のことを全部受け止めて、あたしがそれを引き継ぐくらいの覚悟はあるんだぞ――!」

「ライラ――すまなかったな」


 ブレッカーがそう言うと、ライラはブレッカーの胸の飛び込んで泣きだした。

 その光景に苦笑しながら、バースドが口を開く。


「しかし……お前らは何だって、そんなにブレッカーを信じられた? オレの話を聴いて、少し動揺してたろ?」

「ブレッカーさんは、光龍騎士だった人ですから」

 

 僕はそう答えた。


「光龍王が信じて竜核授与をした人――そんな人が、竜を裏切ったりするはずないんですよ」


 僕の言葉を聴いて、バースドはフッ、と笑った。


「なるほどな。しかし――そうとなると、オレは急いで里に帰らねえと」

「どうかしたんですか?」

「里では対ニンゲンとの戦争を始めるつもりで準備を始めてる。オレは我慢できなくて、単独でブレッカー・ストラグルを狙うために飛び出したが――」


 この人が、血気にはやる人で今回はよかったってことか?


「里に戻って、もっと別の危機が迫ってることを皆に話すよ。――ブレッカー・ストラグル、迷惑かけたな」

「いや、別に気にしちゃいないさ」


 ブレッカーは、そう言って軽く微笑んだ。


「じゃあ、オレは里に戻るぜ」

「あっと、その前に!」


 僕はもう去りかけてたバースドを引き留めた。


「なんだ?」

「君、竜の気配がモロに出てるから気を付けた方がいい。滅竜士たちは、竜の気配を感じることができて、人間の姿をしていてもすぐにバレてしまうんだ」

「なにぃ!? そうだったのか。なるほど、じゃあもう一気に飛んで帰るぜ。じゃあな!」


 そう言うとバースドは全身を光らせ、一気に竜の姿に戻る。


「また会おうぜ!」


 バースドはそう言うと、迷宮の中を竜の姿で飛び去っていった。


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