表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の治癒士が竜姫と出会ったら ~癒しの魔法に女性たちはメロメロ!?~  作者: さとうはるか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/74

第十八話 火竜王子  1 火龍王の息子


 尾行者の正体が少年だったことに、僕らは少なからず驚いた。


「え!? 子ども?」

「誰が子どもじゃぁ!」


 オレンジ色の髪を、パッキンパッキンに逆立ててる少年は、いきり立った様子で怒鳴り声をあげた。

 口を開くと、牙みたいな八重歯が覗いている。


「いや……見た感じ子どもだけど――」

「なんだと、お前!? オレが子どもに見えるんか! オレはもう15歳だぞ!」


 ……子どもじゃん。


「いや、子どもでしょ。少なくとも僕らみんな、君より年上だよ」

「なにぃ!? ちょっと年上だからって偉そうにすんなよ!」

「いや、してないけど――」


 よく判らんが、とにかく勢いだけは凄い少年だ。


「まあいい、オレが用があるのは――そこのお前!」


 そう言うと少年は、ミシュレイを指さした。


「え!? ボク?」

「ボクって――お前、男なんか?」

「いや、女だけど」

「紛らわしい言い方すな! とにかく、お前! お前――滅竜士やろ?」


 少年はそう言って、ミシュレイを睨んだ。

 ミシュレイは真面目な面持ちになって、口を開いた。


「少し前までは……そうだった。今ではもう、滅竜士ではない」

「そんな言い逃れが通用すると思ってんのか!? お前――3週間ほど前に、火竜の隠れ里を襲撃した滅竜士の一味やろ?」


 少年の追及に、ミシュレイは心苦しそうに答えた。


「いや……ボクが行ったのは、風竜の里だった。火竜の里じゃない」

「なんだと!? 風竜のところも襲われてんのか? ……やってくれたな、ニンゲン」


 オレンジ色の髪から、ゆらりと炎が上がる。

 少年はミシュレイを睨みつけて、口を開いた。


「竜を殺した罪――お前に償わせてやるぞ!」


 そう言うなり少年は、その口から凄まじい火炎を放射した。

 しかし、ミシュレイが棒だちになっている。


「ミシュレイ! ――大旋気!」


 僕は両腕を大きく回し、火炎の流れを気流で逸らす。


「なに!? オレの火炎を逸らすだと?」

「ちょっと落ち着いて! 僕らは君の敵じゃない! プリシア、ペンダントを外して」

「はい、クィード」


 プリシアは竜気の気配を隠すペンダントを外すと、僕に手渡した。

 と、少年の顔色が変わる。


「お前――竜じゃねえか!」

「そうです。わたしは光龍王レイミアードの娘、プリシア」


 プリシアがそう名乗ったことで、少年の眼は大きく開かれた。


「そうか……そうだったのか。じゃあ、オレも名乗るぜ。俺は火龍王フレイミアードの息子、バースド」


 オレンジ髪の八重歯の少年――バースドは、火龍王の息子を名乗った。

 と、バースドはさらに口を開く。


「で、なんだって光龍王の娘が、ニンゲンと行動してんだ?」

「この方々は光龍騎士の子息です。クィードと、ミシュレイ」

「光龍騎士ぃ……?」


 バースドの唇が歪む。


「オレが探してるのは、それだ! 光龍騎士ブレッカー・ストラグル! そいつが今回の火竜の里の襲撃の張本人だと俺は聞いている」

「そんなはずはない!」


 僕は即座に否定した。


「ブレッカーさんが、そんな事をするはずがない! あの人は、竜と人間の友情を信じてる人だ!」

「はぁ? そいつはオレが聴いてる話と全然、違う話だな」


 バースドは嘲るようにこちらを見下すと、口を開いた。


「ブレッカー・ストラグルは竜災事変の際に、影龍王から受けた攻撃で右腕を失くした。本人はそれを深く恨んでいて、他の光龍騎士が竜の擁護を主張する中、一人だけ竜の撲滅を主張した。――その事で仲間と諍いが起きたブレッカーは、仲間から離れた……と、オレは聴いてるがな」


 バースドがそう語り、笑みを浮かべる。


「お前ら、ブレッカーを知ってるんだな? で、どうだ、お前らの判断は?」

「ブレッカーさんは……そんな人じゃない」

「どうだかな! お前ら、ブレッカーとそんなに深い仲なのか? お前らが会いに行ってまともに対応してくれたのか?」


 そう言われて――僕らは返す言葉もなかった。


「ほぅらみろ! 相手にされなかったんだろ! 大方、仲たがいになった昔の仲間の子供が来て、鬱陶しいとか思ったに違いねえぜ」


 嘲るように断言するバースドの言葉に、僕らは返す言葉がなかった。


「いいか! 奴は竜殺しの主犯だ! オレがこれから見つけて、奴を葬る。お前らが何やってるかは知らねえが――オレの邪魔をするなら容赦はしねぇ。いいな」


 バースドはそう言うと、軽く跳躍した。

 その身体は軽々と傍の高層建造物の屋上を越え、そこからバースドは、あっという間に見えなくなった。


 取り残された僕たちは、呆然とその消えた空間を見ていた。


「……どう、考えるべきなんだ?」


 ミシュレイがぼそりと口にする。

 僕とプリシアは、ミシュレイを見た。


「火龍王の息子まで出てくるとは――しかし、あれは危険だぞ」

「そう…だね。心配だ」


 僕は同意した。


「彼は竜気をまったく消してない。僕でも判るくらい、竜気を発散していた。もし滅竜士に会ったら、すぐに彼の正体が竜だとバレてしまうだろう」

「うん、ボクにもすぐ判った。当然だが、他の滅竜士も感じるだろう。あのまま放置しておけないぞ――」


 ミシュレイの後に、プリシアが言う。


「けど、あのバースドさんはブレッカーさんを狙うような口ぶりでした。ブレッカーさんにも危険が及ぶのでは?」

「そうだな――とりあえず、ブレッカーさんに知らせに行こう」


 僕らは頷いて、ブレッカーの家へと歩き始めた。

 ――が、しばらく歩いていると、街の人々の声がする。


「――竜が出たらしいぞ!」

「街で暴れてるらしい!」


 そんな声を聴いた僕らは、顔を合わせた。


「まさか……もう、ブレッカーさんと遭遇してしまったのか?」


 けど、街の人々が向かう方向は、ブレッカーの家とは逆の方向だ。

 偶然、別の場所ではちあわせしたか?


「判らないけど――とりあえず行ってみよう!」


 僕たちは街の人々が逃げてくる方向に、逆に向かって走り始めた。

 人々が向かって来る先に、広場がある。


 そこには一匹の――怪物がいた。

 赤黒の虎模様の身体に、首の部分が長く二股に伸びている。

 長い首の上には――赤と黒の竜のような頭。


「ブワアァオォッ!!」


 その二首の竜と、虎の胴体を合体させたような怪物は、咆哮をあげると火炎を吐き出した。

 辺りの建物に、炎が燃え移る。


「いけない、ボクは消火する! 水流波!」


 燃え移った炎に、ミシュレイが水流をかけて消火する。

 と、その怪物はミシュレイに向けて襲い掛かってきた。


「させないぞ! 大旋気!」


 跳びかかってきた怪物を、僕は気流の渦で投げ飛ばす。


「プリシア!」

「はい! 竜光剣!」


 投げ倒した怪物に、プリシアが光の剣で斬りかかろうとした時、何かがフプリシアに飛来してきた。


「危ない、プリシア!」


 僕は咄嗟に、翼の盾を展開して、その飛来物からプリシアを守る。

 ――飛んできたのは、何か編み棒のような細長い針だった。

 僕はその飛んできた方向に目を向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ