3 ベッドの上の二人
ベッドの上にいる二人は、既に苦しそうに苦悶の表情を浮かべている。
「プリシア、ミシュレイ、大丈夫?」
「わたし……もうダメかも――です……」
プリシアが金髪のかかる顔で、切なげな表情を見せる。
「ボクも――全身が……疼いてるみたい……なんだ――」
青い髪を乱して、ミシュレイが苦し気に言う。
「判った……すぐに治癒する。二人とも寝て」
「うん……」
「わかりましたわ――」
二人はそのまま横になり、プリシアの身体が光る。
と、プリシアがタンクトップとショートパンツの薄着になる。
「けど――」
僕はふと、辺りを見回した。考えてみると、治癒を始めたら二人が声をあげるのは判ってる。
……ちょっと、シュートやレーナにあんな声を聴かせるのは考えものだ。
「どうしたもんかな……」
僕はふと思いついて、ブレスレットを展開した。
「翼の盾!」
これをドーム状にして、ベッドごと覆ってしまう。
「一旦、外に出るから、中から僕を呼んで」
「わかり……ましたわ…」
僕はドームの外に出て、ドームを外側から見る。
黄金の光のドームの中に、二人がいるベッドがある。プリシアは上半身を起こして何か言っているが、僕には聞こえない。
「うん、防音効果はありそうだ」
僕はまたドームに入る。
ベッドの上のミシュレイは、もう意識がもうろうとしてる感じだ。
「いけないな……二人一度に治癒するけど、いいかな?」
「お願いしますわ、クィード」
「たのむ……」
二人の同意を得て、僕は頷いた。
「紋章を出すね、ミシュレイ」
僕はそう言って、ミシュレイのパジャマのボタンに手をかける。
ミシュレイが恥ずかしそうに顔を赤らめて、口元に拳をあてて横を向いた。
「あまり……見ないで――」
「ゴメンね。けど……しんぼうして」
そう言いながら、僕はパジャマのボタンを外して前をはだける。
ミシュレイの水色のブラジャーがあらわになり、その下の豊かな膨らみが乱れた呼吸で隆起している。
左肩に光る、竜の髑髏の紋章。
プリシアの脇腹をめくると、プリシアの方も滅竜の紋章が光っていた。
「じゃあ、いくよ」
左にプリシア、右にミシュレイが寝ていて、僕はプリシアの脇腹とミシュレイの左肩に、いっぺんに治癒の光をあてた。
「あ……」「うン……くぅ――」
二人が声を洩らす。
僕は構わずに、左右両方の手で、二人に治癒の光を浴びせた。
「あっ……あン…んっ――」「ハァハァ……あ…ふ――」
プリシアが身をよじるたびに、そのショーパンツから伸びた長い脚が苦しそうに悶える。
「あっ……わたし…わたし――」
切なげな声をあげたプリシアが、ミシュレイに抱きつく。
腕をミシュレイの身体にまわして、脚を絡めている。
「そ…そんなに――されたら…ボク――」
ミシュレイは赤い顔でプリシアを見つめながら、長い睫毛を伏せて吐息を洩らした。
「あぁ……あン……んっっく……」
「ミシュレイ……わたしのこと――ギュッとしてください……」
「えぇ……?」
「でないと、わたし……たまらなくて……」
切なげな声をあげるプリシアに、ミシュレイがそっと手を差し伸べる。
その長くて細い腕が、プリシアのくびれた腰に伸びた。
「あン……ミシュレイ……」
「プリシア……あふ……んっ――くぅ……」
僕は二人の紋章の具合を見て、声をかけた。
「もうそろそろ終わると思うよ。がんばって」
「あ……ふぅ――ンっ」
「アアッ……あン、ンンあっ――」
二人の息が荒くなって、声が高くなる。
そしてやがて――二人の声が収まった。
「ハァハァ……」「ふぅ……ふぅ――」
二人が荒い息を弾ませている。プリシアはしなだれかかるようにミシュレイにもたれて、ミシュレイは目を閉じてされるがままになっている。
「これでしばらく大丈夫だね」
僕は笑って言った。と、ミシュレイが薄目を開けて、口を開く。
「プリシアは……毎晩、こんなことをしてるのか……?」
「そうですわ。あ……けど、毎晩でなくても大丈夫になってきたかも」
プリシアはそう言って、人差し指を口にあてた。
ミシュレイは恥ずかしそうに横を向く。
「毎晩、こんなことをされていたら……おかしくなってしまう……」
「おかしくなるって……どんな風にですの?」
「それは……」
ミシュレイは口を開いて、言いよどむ。
「知るもんか……」
ミシュレイは赤くなって、横を向く。と、プリシアは笑顔で、そのミシュレイに抱きつく。
「え~、教えてくださいよぉ」
「こ、こら、離れろ。くっつくな」
「さっき、あんなにくっついたじゃないですかぁ」
僕は苦笑すると、ベッドを離れた。
「二人とも、もう大丈夫だね。――それじゃ、おやすみ」
「おやすみなさい、クィード」
「おやすみ……」
ベッドの上に二人を残して、僕は退室した。部屋にも戻ると、レーナが天使のような寝顔で寝ていた。
翌日から、僕らは戦闘訓練をし始めた。
ミシュレイは武器術としては薙刀を扱っていた。
「ヤァッ!」
ミシュレイが斬りかかって来る。僕は杖で、それをいなしながら、僕は右手で把気を出す。
「把気!」
ミシュレイの右腕を捉える。ミシュレイがはっとなるが、僕はその機を逃さない。そのまま腕を引いて、ミシュレイを引き崩す。
「あっ――」
「気流投げ!」
ごろん、とミシュレイを投げ転がす。
「くぅ……やはり、接近戦では君らに敵わないな」
「けど、ミシュレイも魔法だけじゃなくて、結構、やるんだね」
「けど、君は弱体化ベルトを着けたままなんだろう? ……まったく」
僕は笑ってみせた。プリシアとミシュレイも対戦してみたりした。
やはりプリシアに分がある。
けど、魔法を使うと、ミシュレイの水魔法は相当の威力だった。
この水流を武器戦に生かす戦い方を、ある程度ミシュレイはやっていたが、練習の中で僕にアイデアが沸いて来て、ミシュレイにアドバイスしたりした。
シュート・クローネは毎日お風呂に入り、治癒魔法を施してるうちに、自分で立てるようになった。まだ手を引かないと歩けないが、少なくとも回復の兆しは確かにあった。
そして二週間が経った。
シュート・クローネはかなり回復して、僕らの訓練もかなり進んだ。
そしてシュート・クローネがある日言った。
「私の回復につきあってくれてありがとう。君らは――旅立ちの時だ」




