2 歓迎パーティー
壁に押し込められたギッターは、苦し気な顔でレディアスを見た。
「なんのつもりだ……レディアス・カミュ――」
レディアスは答えずに、その脚に蹴りを放つ。
「爆進脚!」
ギッターの脚が音を立てて折れる。
「グアアァッ! やめろ、レディアス!」
「悪いが――」
レディアスは鋭い視線をギッターに向ける。
「――弟弟子のために、数を減らさないといけないんでね」
「貴様!」
ギッターは死力を振り絞って、鎌で斬りかかる。
が、レディアスはなんなくそれをかわし、その手を手刀で打った。
「むうぅっ――」
ギッターの手から鎌が落ちる。
次の瞬間、第二関節まで曲げたレディアスの左手が、ギッターの喉を打った。
「がばっ――が……」
喉が潰れたギッターは、小さな呻き声をあげる。
「裏…切者――」
「元々――私はお前たちの仲間ではない……」
そう呟くと、レディアスは右手に気力を集中する。
その右掌が白く光るのを見て、喉を抑えられたギッターの顔に恐怖が走る。
「や……やめろ……」
「さようなら」
レディアスの右掌打がギッターの胸に打ち込まれる。
「ガハアァァァッ!」
ギッターが大口を開けて、呻き声をあげた。
が、さらにレディアスは、右手に全ての気力を集中させる。
「剛燃砕撃打!」
ギッターの全身から、レディアスが打ち込んだ気力が炎のように燃えあがる。
が、それは内部からギッターの身体を浸食し――やがてギッターの身体は、粉々になって消えていった。
「……恐らく、こういう技は教えてないだろうがな」
レディアスは、そう呟く。『砕鬼』と呼ばれる所以の技であった。
それからレディアスは、ギッターが向かうはずであった港に向かった。
そこには――残りの九鬼門五人と、水竜のアクラムがいる。
アクラムがレディアスの姿を見て、声をあげた。
「あれ? 君はあの場にいた奴だよね? 別の人が来るって聴いてたけど」
「ギッターは、別の都合があって来れなくなった。――実のところ、私が報復をしたいと申し出て、ギッターに替わってもらったのだ」
レディアスはそう九鬼門の五人とアクラムに告げる。
と、アクラムは軽い口調で言った。
「ああ、そう。まあいいけど、こっちは六人だって聞いてるし。それなら、出発でいいかな?」
アクラムが五人に訊く。と、その中の女が、口を開いた。
「しかし……ドグランダーとラムーがやられたとはいえ――あたしたち六人が雁首揃えていくとは……。明らかにやりすぎだろ? どうなんだ、レディアス」
レディアスは自分に向けられた問いに、口を開いた。
「奴らはかなりの戦闘力だ。……ナメてかからない方がいい」
「ま、やられた奴はそう言うわな」
五人のうちの一人がそう軽口を叩く。
それとは別の、全身を甲冑で覆い顔も見えない武者が声を出した。
「……精霊島に、どうやって渡るつもりだ、アクラム?」
「なあに、ボクは水竜だからねえ――」
アクラムは水色の長い髪を揺らして、笑みを浮かべる。
「海流を操ることくらい、なんでもないんだよ」
アクラムはそう言って、にっこりと笑った。
レディアスはその様子を鋭い目つきで見ていた。
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いち早く混浴状態を抜け出した僕は、ミリオによばれて広場へと出向いた。
そこでは既にパーティーの用意がなされている。
僕は目隠しされてる控えの場所に案内された。
「もうそろそろ、ミリアが女性客を連れてくるはずです」
ミリオがそう言ってると、プリシアたちがやってくる。
見ると、プリシアたちは用意されたドレスを着ていた。
プリシアは純白のドレスで、肩もあらわなタイプ。すらりとしたプリシアのスタイルのよさが際立っている。純白のドレスには、金髪が映えて見えた。
ミシュレイはグリーンのドレスで、スカートが短く、すらりとした長い脚が綺麗に見える。敢えて透ける素材の長い手袋もお洒落で、青い髪と緑の生地がよく似合っていた。
ライラはオレンジのドレスを身に着けていたが、大胆に胸元がカットされていて、ライラの胸の谷間がくっきりと見えている。――ちょっとやりすぎな感はあったが、スカートは後ろに長いが前は短く、健康的な脚がよく見える型だった。
――ちなみに僕は、エルフの正装なのか、ゆったりした白い服が用意されていて、それを着ていた。
「どう、クィード! あたし、ドレスなんか着るの初めてだぞ!」
ライラが僕の前に来て、くるりと回転する。
僕は笑って答えた。
「うん、凄くいいよ。――みんな、綺麗だ」
僕はプリシアとミシュレイにも、そう言った。
ミシュレイが恥ずかしそうにうつむく。
「実は……ボクも、こんな格好は初めてだ……」
「そう? 凄く似合ってるよ」
僕がなんとなくそう言うと、ミシュレイは顔を赤らめた。
プリシアがにっこりと笑って、僕に言う。
「クィードもよく似合ってますわ。エルフの正装のようですね」
「うん、どうもそうらしい」
僕がそう答えると、脇でミリオが声をあげた。
「シャロン様と族長がおいでです」
すると会場の方で、歓声が上がった。――と、ラプンシェルの声がする。
「今日、集まってもらったのは、この里に客人を迎えたからじゃ。さっそくじゃが、客人に出てきてもらおう。――参られよ!」
ラプンシェルの声がそうあがると、ミリオが僕らを促した。
「それじゃあ、行ってください」
僕らは促されるままに、会場の方に赴く。
そこには大勢のエルフの民が集っていた。
少し高台になった場所にミリアから案内され、僕らはエルフの民の前に立った。
横に座っているラプンシェルが、僕らに声をかける。
「それじゃあ、おぬしらの自己紹介をしてたもれ」
「判りました――」
それから僕らは順々に自己紹介をする。最後にプリシアが光龍王の娘だと名乗ると、会場から驚きの声が洩れた。
「あの美女が――竜だって?」
「全然、判らないわ」「すげぇ……」
ざわめきの起こるなか、ラプンシェルが声をあげる。
「皆の者、知っての通り、我らエルフ族と竜族とは兄弟と言われておる。他の者は、竜と協力して戦った光龍騎士の子息たち。この者たちを正当な客人として受け入れるので、皆、仲良くしてたもれ」
「「「はい!」」」
エルフの民から、一斉に声が上がった。
その後は自由なパーティー時間になり、僕らはテーブルの上に並べられたエルフの料理に舌鼓をうった。
「エルフ族の料理、めちゃくちゃ美味しいんだぞ!」
「口に合ったら光栄じゃのう」
ライラの言葉に、ラプンシェルが笑顔を見せる。
と、ミシュレイが興味深そうに料理を見ながら口を開く。
「森の民の料理というので肉料理はないかと思っていたが……肉料理もあるのですね。逆に――パンがない」
ミシュレイの言葉に、ラプンシェルは含んだような微笑を浮かべてみせた。




