↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の治癒士が竜姫と出会ったら ~癒しの魔法に女性たちはメロメロ!?~  作者: さとうはるか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

138/154

2 シュートとレーナ


 シュートは穏やかな笑みを浮かべて、レーナを見た。


「もうすっかりレーナの世話になっていてね。凄く助けられているんだ」


 そう言われたレーナは嬉しそうに笑った。


「ワタシもおじさまから色々教わってるんです。料理とか、魔法とか」

「「「「「魔法?」」」」」


 飛竜たちが全員、驚きの声をあげる。


「魔法って――あの人間の使う魔法かい?」

「はい!」


 ディードの問いに、レーナは元気よく答えた。

 と、シュートが言葉を添える。


「どうも見ていると、竜気は魔力に転換できそうだ、と思ったんだ。それでレーナにそのコツを教えると、魔力転換できた。それで色んな基礎魔法を教えてみたら――凄く覚えが早くてね」


 シュートは嬉しそうに微笑した。レーナも微笑む。


「はい、魔法は楽しいです! 色んな事をできるようになって、おじさまみたいな偉大な魔導士になりたいです!」

「竜が……魔法を使えるのか――」


 ディードが眼鏡を抑えながら、呆然と声を洩らした。

すると少年――ロメオが声をあげた。


「君、魔法使えるの? 見せてよ!」

「うん、いいよ。それじゃあね――」


 レーナは笑うと、誰もいない方向に掌を向けた。


「火炎球(ファイナ・ボール)」


 火炎の玉が発射され飛んでいく。お~、と歓声が上がる。


「水流弾(アクア・ショット)!」


 水の弾丸が発射される。おぉ~、と歓声がまたあがる。


「旋風刃(ウィンド・カッター)!」


 風の刃が幾つか飛んでいく。おぉ……と歓声が洩れる。


「土石壁(ストーン・ウォール)!」


 少し離れた場所に、土壁が現れる。えぇ!? と驚愕の声が上がる。


「そしてぇ……熱光線(レーザー・ビーム)!」


 指先から光線が発射され、その土壁を撃ち抜いた。あっ! と皆が驚く。


「――いや……まさか、これほどとは――」


 ディードが驚きながら、そう口にした。

 僕も驚いていた。飛竜だから風属性魔法が使えるだろうとは思ったけど、まさかほとんどの属性魔法を使いこなすなんて――


 ロメオはレーナの傍に言って、声を弾ませる。


「君、凄いね! 魔法が使える竜なんて初めて見た! ボクはロメオ」

「ワタシはレーナ。よろしくね」


 レーナがにっこりと笑うと、ロメオは赤くなって、少し黙る。

 と、少女がロメオの傍にやってきた。


「あらぁ、ロメオはすっかりレーナちゃんが気にいっちゃったみたいね?」

「そ……そんなこと――」

「ふふ、ウチはロメリ。仲良くしてね」

「うん!」


 レーナが嬉しそうに笑う。それはレーナが同年代に気を許した――初めてみる笑顔だった。


「……驚きです、シュート殿。まさか我ら竜が、こんなに魔法が使えるとは――こんなにできるまで教えていただいたこと、レーナを保護してくれたことも含め感謝します。本当にありがとう」


 ディードはそう言うと、頭を下げた。

 シュートは笑顔を見せながら、首を振る。


「いやいや、私は足を悪くして、色々生活上の不便があるんだ。レーナがそれを気づかって、ここに残ってくれると言ったので、助けられてるのは私の方なんだ。――まあ、外で立ち話もなんなので、家においでください」


 そうして僕らは、シュートに導かれて、家に入る。

 と、少女――ロメリが声をあげた。


「ね、ディード! ウチたち、レーナと庭にていい? 魔法のコツ、教わってみたい!」

「ああ。いいよ」


 ディードはそう言うと、微笑してみせた。ロメオとロメリ、レーナはそのまま庭に残り、大人たちは家に入る。


「こんな形で、人間と竜がともに暮らしてるとは……驚きだ」


 ディードが感慨深げにそう口にした。

 と、プリシアが口を開いた。


「わたしに武技を教えてくれたレフィーナも、光竜の竜能が光属性魔法に近い――と言って、わたしに多様な使い方を示唆してくれたんです。けどレーナちゃんは、あんな多属性で使えるなんて……驚きですわ」

「なるほど……それがあんたの、変化にとんだ竜光の使い方の元だったんだね」


 ふとウィリアが、そう言って頷いた。プリシアは笑ってみせる。

 と、ディードは改めて眼鏡をこちらに向けると、口を開いた。


「そもそもだが――どうして光竜姫が、人間とともに修行したり旅をしてるのか……教えてはもらえまいか?」

「判りました」


 それから僕は、これまでの経緯を全て話した。

 長い話になったが、ディードもウィリアもダムゥも真剣に耳を傾けてくれた。


 途中、プリシアがお茶を淹れて持ってきてくれる。

 僕は喉を潤しながらも、これまでの事を説明し終えた。


「……なるほど――その異魔人が――竜と人間との間に諍いを作ろうと画策して、滅竜攻団をつくり、遂に飛竜の里襲撃に至った――という訳か……」

「チッ、じゃあアタシたちはまんまと、そいつらの策に乗るところだったってワケだね?」


 ディードとウィリアが、それぞれに感想を洩らす。

 横で話しを聴いていたライラが、ほぇ~と声を上げた。


「なるほど、クィードたちに今までそんな事があったなんて知らなかったんだぞ」

「言ってなかったっけ?」

「聴いてないんだぞ!」


 ゴメン、ゴメンと僕はライラに謝っておいた。

 ――と、突然、ミシュレイが声をあげる。


「――ごめんなさい!」


 ミシュレイは床に座って、頭を深く下げていた。


「謝って許されることではないの判っていますが――飛竜の里の襲撃にボクも加わっていました。飛竜たちが無残に殺されるのを……見殺しにしたんです」


 飛竜たちの顔色が変わる。僕は慌てて言い添えた。


「けど、ミシュレイはその行為が残虐過ぎて、直接には手を出せなかったんだ。それに――僕たちと一緒に滅竜攻団との戦いに協力してくれてる仲間なんだ。そして彼女自身も……記憶を操作されて加担させられていた被害者でもある。許してほしいとは言えないけど……理解してもらえないだろうか?」


 僕はそう言うと、ミシュレイの隣に座って僕も頭を下げた。


「お願いします」

「……クィード……」


 少し顔をあげたミシュレイが、僕に驚きの声をあげる。


「私からも頼みたい。ミシュレイは私の娘で――私が投獄されてしまったばっかりに、利用されてしまった。その責任は、私にもある」

「お父さん……」


 シュートもソファの上で、深々と頭を下げていた。

 ディードが口を開く。


「ウィリア、レーナを呼んでもらえないだろうか?」

「ああ」


 ウィリアが窓の傍にいき、庭に向かって声をあげる。

 やがてレーナ、それにロメオとロメリも戻ってきた。


 座ったレーナに、ディードは神妙な面持ちで訊ねる。


「レーナ…この人は君の村の襲撃に加わった人だ。それは知ってる?」

「うん、知ってるよ」

「それで……君は、この人を許せるのかい?」


 ディードの言葉に――僕らの眼はレーナに集中した。

 と、レーナはにこやかに笑った。


「うん! だって、ミシュレイは悪い人じゃないよ。一緒にいて判ったし、竜のことだって嫌ってない。――ミシュレイは仲間だよ」


 レーナが晴れやかな笑顔でそう言った。

 ミシュレイは……両手で顔を覆って、涙を隠していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。