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【失敗】スキルなのに、なぜか最善の結果になるんですが?  作者: ソル
第三章  計算外の少女
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第22話 普通の依頼

「だから言ったんだ」


 ギルドを出たあと。


 クロはずっと機嫌が悪かった。


「絶対ろくなことにならねぇ」


「でも、ただの人だったよ?」


「“ただの人”はお前の失敗に興味持たねぇんだよ」


 私は少し考えた。


「たしかに」


「今さら納得するな」


 クロは深いため息をつく。


「とにかく」


 一拍。


「しばらく変な依頼は禁止だ」


「また?」


「まただ」


 私はむっとした。


「でも冒険者っぽいことしたい」


「お前が冒険者っぽいことすると事件になる」


「偏見だ」


「事実だ」


 私は掲示板を見上げる。


 そして、一枚の依頼書を取った。


『畑荒らしの小動物退治』


「これなら?」


 クロが読む。


「……ただの害獣駆除か」


「平和だよ」


「まぁ、これなら」


 クロは少しだけ安心した顔をした。


---


 依頼場所は街の外れだった。


 小さな畑。


 野菜が並んでいる。


「最近、夜になると荒らされるんです」


 農家のおばあさんが困った顔で言った。


「足跡は小さいんですけどねぇ」


「任せてください!」


 私は元気よく答える。


 クロが小声で言う。


「不安しかねぇ」


「ひどい」


 畑の奥には小さな納屋があった。


「夜まで待つ?」


 私は聞く。


「その方が早いだろうな」


 クロは周囲を見回している。


 私は畑の横に座った。


「のどかだねぇ」


「……まぁな」


 風が吹く。


 空も静かだ。


 こういう依頼も悪くない。


 私は少し眠くなってきた。


 その時。


 ガサッ


「!」


 畑の奥で音がした。


「来た!」


 私は立ち上がる。


 クロが耳を立てる。


「右だ!」


 私は勢いよく走った。


「待てー!」


 暗がりから、小さな影が飛び出す。


「あっ」


 思ったより速い。


 私は慌てて方向を変える。


 そして。


 つるっ


「うわっ!?」


 盛大に転んだ。


「リリア!」


 私は坂を転がる。


「きゃあああ!?」


 そのまま納屋へ突っ込んだ。


 ――ドガシャァン!!


 ものすごい音が響く。


 土煙。


 木片。


 クロが顔をしかめる。


「派手にやったな……」


 私はふらふら起き上がった。


「いたた……」


 その時だった。


 ガコン。


「?」


 納屋の床がずれた。


 私は瞬きをする。


「え?」


 床下に、空間がある。


 クロが飛び降りた。


「……なんだこれ」


 私はランタンを向ける。


 そこには。


 大量の袋。


 見たことのない印。


 そして――


「魔力結晶?」


 青白い結晶が並んでいた。


 クロの空気が変わる。


「密輸品か」


「えっ」


 私は目を丸くした。


 その時。


「なっ――!?」


 後ろから声がした。


 振り返る。


 農家のおばあさんだった。


 でも。


 さっきまでの穏やかな顔じゃない。


 明らかに動揺している。


「どうしてそこを……!」


 クロが低く言う。


「なるほどな」


「クロ?」


「害獣退治じゃねぇ」


 一拍。


「口封じ用の依頼だったか」


 私は「え?」となる。


 おばあさんは後ずさった。


「ち、違……」


 その時。


 遠くで笛の音が鳴った。


 複数。


 クロが耳を動かす。


「……ギルドか」


 次の瞬間。


 畑の入り口から冒険者たちが入ってきた。


「動くな!」


「ギルド調査隊だ!」


 おばあさんの顔色が変わる。


 私はきょとんとした。


「え?」


 調査隊の一人が周囲を見る。


 壊れた納屋。


 隠し部屋。


 密輸品。


 そして私。


「……発見したのか?」


「え、まぁ」


 私は苦笑いした。


「転んだら見つかりました」


 沈黙。


 調査隊の人が真顔になる。


「……は?」


 クロは顔を覆った。


「もう驚かねぇぞ……」


 私は首をかしげる。


「なんかまたうまくいったね?」


 クロはゆっくりと私を見る。


 そして小さくつぶやいた。


「お前」


 一拍。


「ほんと何なんだよ……」


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