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【失敗】スキルなのに、なぜか最善の結果になるんですが?  作者: ソル
第二章  失敗の再現性
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第19話 仕組まれた依頼

タイトル変更のお知らせ

作品内容に合わせて改題しました

中身はこれまで通りです

今後もリリアとクロをよろしくお願いします

 翌日。


 ギルドに入った瞬間。


「今日は帰るか」


 クロが言った。


「なんで!?」


 私は思わず聞き返した。


「嫌な予感がする」


「最近ずっと言ってるよね、それ」


「最近ずっと当たってるからな」


 クロは真顔だった。


 私はむっとする。


「そんなに信用ない?」


「お前の“なんとかなる”が怖ぇんだよ」


 私は掲示板を見る。


 今日も依頼が並んでいる。


「うーん」


 討伐。


 採取。


 運搬。


 その中に、一枚だけ妙に報酬が高い依頼があった。


「あれ?」


 私は紙を見る。


『旧水路調査』


「水路?」


 クロがぴくりと耳を動かした。


「どうしたの?」


「……いや」


 クロは依頼書を読む。


「調査依頼にしては報酬が高ぇな」


「ほんとだ」


 私は首をかしげた。


「なんでだろ」


「知らねぇ」


 クロは少し考え込む。


「でも」


「でも?」


「やめとけ」


「えー」


 私は依頼書を見る。


「でも面白そう」


「その台詞聞き飽きた」


 クロは深くため息をついた。


「絶対なんかある」


「大丈夫だって」


 私はにこっと笑う。


「なんとかなるよ」


 クロは空を見上げた。


「……それが怖ぇんだよ」


---


 旧水路は、街の地下にあった。


 石造りの古い通路。


 空気は少し湿っている。


「暗いね」


「足元気をつけろ」


 クロが言う。


 私はランタンを持って進んだ。


 水の流れる音が響く。


「調査って何するの?」


「異常確認らしいな」


「異常?」


「最近、水路の流れがおかしいらしい」


 私は周囲を見回した。


 特に変な感じはしない。


「普通だね」


「今のところはな」


 クロは周囲を警戒している。


 やっぱり様子がおかしい。


「クロ」


「なんだ」


「最近ずっとピリピリしてる」


「お前のせいだ」


「えー」


 私は少し笑った。


 その時だった。


 ――ガコン


「ん?」


 床が沈んだ。


「……あ」


 クロの目が開く。


「リリア」


「はい?」


「動くな」


「え?」


 一瞬遅かった。


 ゴゴゴゴゴ――!!


 通路の奥から、ものすごい音が響く。


「うわっ!?」


「走れ!」


 クロが叫ぶ。


 次の瞬間。


 大量の水が押し寄せてきた。


「ええええ!?」


 私は慌てて走る。


 水が速い。


「なんでぇ!?」


「罠だ!」


 クロが叫ぶ。


「どう見ても!」


 私は全力で走った。


 でも床が濡れている。


「あっ」


 つるっ


「うわああ!?」


 私は盛大に転んだ。


「リリア!?」


 その勢いで。


 私は壁に激突した。


 ――ドン!!


「いたぁ……」


 壁の石がずれる。


 次の瞬間。


 ゴゴゴ、と音がした。


「……え?」


 通路の横の壁が開く。


 そこへ。


 押し寄せていた大量の水が、一気に流れ込んだ。


 轟音。


 激流。


 そして。


 数秒後。


 水は止まった。


「……」


「……」


 静寂。


 私は床に転がったまま瞬きをした。


「助かった?」


 クロは答えなかった。


 ただ。


 開いた壁の奥を見ている。


「クロ?」


「……隠し排水路」


「え?」


 クロは低くつぶやく。


「本来なら、水圧暴走時の緊急用だ」


「へぇ」


「普通は気づけねぇ」


 私は起き上がった。


「じゃあラッキーだね」


「ラッキーで済ませるな」


 クロの声が低い。


 私は「?」となる。


 クロは周囲を見る。


 そして。


 ゆっくり言った。


「罠」


「うん」


「転倒」


「うん」


「壁に激突」


「痛かった」


「なのに結果は最善」


 私は少し考えた。


「たしかに?」


 クロは黙る。


 その目は鋭かった。


 そして。


 小さくつぶやく。


「……三回目」


 私は首をかしげた。


「なにが?」


 クロは答えない。


 その代わり。


 通路の奥をじっと見ていた。


 暗い水路のさらに先。


 まるで。


 誰かに見られているみたいに。


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