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天使な悪魔の絶対運命  作者: みきもり拾二
◆【第四章】天使の卵
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(三)チームワーク:作戦発案

「『おい隊長! どんどん出てくるぞ! どーすんだよ!? ボケっとしねーで指示だせっつーの!』」

「『こちらも、3体同時に対応中です』」


 ヘッドセットの向こうから、二人の慌ただしい声が聞こえてくる。


 どうやら地表に現れるモノを撃退しても、次々に現れるっぽいな……。これはちょっと面倒そうだ。

 矢茨カズマが言うように、本体を探し出して仕留めるのが一番だろう。


「『二人とも「イーマル百貨店」は見えているか?』」

「『はい、もうすぐその建物の前に』」

「『オレも見えてんぜ! それがどうした?』」

「『混沌反応は「イーマル百貨店」付近に広がっている。もしかすると、百貨店内に魔物本体が潜んでいるのかもしれん』」

「『もし仮に魔物本体が百貨店内に潜んでいるとしたら、建物の中はこれよりもっと激しい攻撃が予想されますね』」

「『ひとまず、矢茨と双破の二人はこのまま交戦しつつ、「イーマル百貨店」の正面玄関を目指してくれ。そこで合流して撃退に当たるのが得策だろう』」

「『殲滅しつつ前進ですね、了解です。矢茨は尻尾巻いて逃げた方がいいんじゃないかな?』」

「『ケッ、ざけんな! 根こそぎぶっ飛ばしてやんぜ!!!』」


 合流しろと言われてるんだが大丈夫だろうか……。心配になってくるな。


「『埜之平、日向、現在位置と混沌反応位置のマップデータを転送する。スマホで確認してくれ』」

「え、スマホ? ミストの中は通信ができないんじゃ……?」

「『ああ、日向にはまだ説明してなかったな、すまん。スマホのWiFi回線をヘッドセット回線に設定してくれ。そうすればゼノリス司令車両との連絡が可能になる』」

「ああ、そっか……」


 このヘッドセットには天使の技術が使われている。そのおかげで、今こうしてミストにいても、外部の隊長たちとの通信が可能になっているというわけだ。それをテザリングみたいな感じで利用できるってことらしい。


 ゼノリス第二十六地区専用アプリのマップ機能を立ち上げると、即座に現在地周辺のマップと俺たちの位置情報が映し出された。

 緑色の三角マーカー5つ表示されていて、それがどうやら俺たちゼノリス隊員らしい。そして紫色に広がっているのが混沌反応のようだ。


 ふと気づくと、副会長と臨時代理補佐も一緒に俺のスマホを覗き見ていた。

 思いの外、二人の顔が近くて、妙にドキドキしてしまう……。


「確かにイーマル百貨店から混沌反応が広がってるように見えるわね」

「これはここの地図ですの? とても便利な機能ですの!」


 地図によると、イーマル百貨店は大通りの交差点の角に建っていて、双破と矢茨はそれぞれ、西と南からイーマル百貨店に接近しているようだ。


「この、路地裏側のスペースってなんですかね?」

「イーマル百貨店のオープンカフェね。それからすぐ横に建ってるのは別館よ」


 マップに映しだされているL字型の建物がイーマル百貨店本館で、そのLの内角に建っている建物が別館らしい。オープンカフェはその横に広がっている。

 そして混沌反応は、イーマル百貨店から大通り沿いに広がっており、路地裏側のオープンカフェと別館の方には、ほとんど広がっていないように見えた。


「あ……」


 今、混沌反応が微妙に動いた。オープンカフェ側に少し伸びていた混沌反応が、矢茨の方へと動いたのだ。


 もしかすると矢茨と双破の攻撃に対抗するため、魔物が二人の方に戦力を傾けているのかもしれない。


「隊長、今さっき、微妙に混沌反応が動きましたよね?」

「『ああ、確かに。先程から注視しているが、矢茨と双破の方へジワリと動いているようだ』」

「『ハハッ! オレの攻撃に焦ってやがんだな魔物のヤロー!』」

「『ではこのまま攻撃を続けていれば、僕の方に本体が姿を現すかもしれませんね』」

「『ケッ! 何言ってやがる! 魔物を仕留めるのはこのオレだ!』」


 まーた始まった。

 それはともかく、これなら……。


「隊長、副会長と俺は路地を通ってオープンカフェ側から別館へ踏み込むルートで行こうと思いますがどうでしょう?」

「『理由は?』」

「今のまま魔物が矢茨と双破に気を取られていてくれれば、その間に別館から中に侵入して本体を突く、という手はあると思います」

「ああ、なるほどね。ナットくんナイスじゃない」

「『オレを囮にする気か、ボロ雑巾!』」

「『心外だよ、日向くん』」

「あはっ、カズマが囮なのはいつも通りじゃない」

「『なんだとコト姉!?』」

「『いいだろう。矢茨と双破は引き続き大通り側から圧力をかけろ。埜之平と日向は別館からの侵入を試みてくれ。現在、イーマル百貨店は一般市民の避難誘導中だが、中に巻き込まれた一般市民がいないとも限らない。建物やフロア内の破壊は出来る限り控えるように』」

「了解です、隊長」

「『そちらが到着する前に、僕が本体を引きずり出しておきますよ』」

「『そいつはオレのセリフだぜ!』」


 ひとまず作戦は決まったようだ。となれば、迅速に行動を起こすべきだろう。


「副会長、その銃は俺が持ちますよ」

「ホントに? サンキュー、助かるわ。いつもコレ、邪魔で困ってたのよね〜。カズマはお構いなしでドンドン突っ込んで行っちゃうでしょ〜?」


 副会長は明るく笑いながら、火山岩石化銃(ゼノリスガン)を手渡してくれる。その言葉の端々から、普段の苦労が伺い知れた。


「ん〜〜〜! 両手が塞がってないって開放感あっていいわ〜!」


 とても楽しげで何よりだ。何もサポートできないかと思ったけど、俺と臨時補佐代理が加わっただけでも、副会長にはメリットがありそうだ。


「じゃあナットくん、現在位置情報の確認とかも任せちゃっていい?」

「ええ、オッケーですよ」

「うん、よろしく! 行くわよ、ハノンちゃん!」

「はいですの!」


 そう言うと、副会長は勢い良く駆け出した。俺と臨時補佐代理も副会長の後に従って、白い靄に煙る町並みへと向かった。



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