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天使な悪魔の絶対運命  作者: みきもり拾二
◆【第四章】天使の卵
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(三)チームワーク:臨時補佐代理

「『あ、隊長〜〜! ここです、ここ!』」

「『こちら司令車両だ。埜之平、臨時補佐代理の両名と合流した。現場に急行する』」


 臨時補佐代理って……もしかしてさっき来たばかりの『天使候補生(アンジェレンティス)』のことなのか……?


「『みなさん仕事熱心で感心ですの!』」


 そういう問題じゃないと思うが……。呑気な子だな。


「『信術解! 球体シールド展開!』」


 いきなり、ヘッドセットから双破タケルが精霊魔術を使う声が聞こえてきた。


「『こちら双破です。魔物と遭遇しました。戦闘態勢に入ります!』」

「『おい双破ぁ! ウソぶっこいてんじゃねーぞ! 魔物はオレの目の前だ!』」


 ん? どういうことだ?


「『なぜ僕がそんなウソを? 信術解! 氷の剣山!』」

「『チッ、ウネウネしやがってキメーんだよ! うらあああああ!!!』」


 二人の言葉の後、ヘッドセットから爆発音のような轟音が響いてくる。それだけでも二人の精霊魔術の威力のほどが伺い知れる。


「『こちら双破です。魔物を撃退し終わりました』」

「『ヘヘッ、一丁上がりだぜ! チョロいもんよ!』」


 双方の様子を聴く限りでは、撃退したっぽいけど……。

 魔物が複数いたのか、魔物の操る混沌を相手にしただけなのか……? それとも、別々の方向に駆け出した二人が、案外同じ場所に出たとか?

 現場の状況を見てみないことにはわからない。


 ただはっきりしているのは……ミストが晴れないということだ。


「双破、矢茨、ミストが晴れてないよ。そいつらは魔物の本体じゃないと思う」

「『なんだと、ボロ雑巾! テメー、ボーっとしてやがるくせにエラソーなこと言ってんじゃねえ!』」

「『……ああ、いや。確かに日向くんの言う通りかもしれないね』」

「撃退したヤツは、どんな姿だった?」

「『草と言うべきか、花と言うべきか……黒いバラに口がついたようなヤツだったよ』」

「『えー、何それキモい』」

「『矢茨、双破。今、こちらから現場の混沌反応が確認できるようになったところだが、魔物はまだ生存している。矢茨と双破の現在地も含めて、かなり広範囲で混沌反応が出ているから注意するように』」

「『チッ、マジかよ』」

「『今、片付けたのは、魔物の一部ということですね?』」

「『ああ、おそらくな』」

「『ざけんな! だったら本体を仕留めるまでだ! 本体はどこにいんだよ、隊長!』」

「『わからん。混沌反応の範囲が広すぎる。中央付近が本体なら話は早いんだがな』」


 その時、ヘッドセットの向こうから激しい風切り音が響いてきた。


「『クッソ危ねえ! 下から攻撃してきやがった!』」

「『双破です。こちらも地中より再出現を確認。現在、対応中です』」

「『鬱陶しいぜ! 俺たちゃ雑草刈りに来たんじゃねーっつーの!!』」


 やっぱり終わりじゃ無かったか……。


 矢茨カズマと双破タケルの言葉から察するに、どうやら魔物たちは地中から出てきているようだ。


「『日向、こちら滝宮だ。現場に到着したので、埜之平、臨時補佐代理の両名と合流してくれ』」


 隊長からの通信があって程なく、俺のすぐ横の空間に光球が現れた。双破タケルの、あの精霊魔術とまったく同じ光球だ。


「ふうっ、現場到着っと。あ、やっほ〜、ナットくん」

「ここがミストの中ですのね!」

「モッキュキュ」


 光球の中から、埜之平高校副会長の埜之平コトネと臨時補佐代理のハノン・フラットが姿を現した。臨時補佐代理の肩に乗っている青い小動物の精霊が、もの珍しげに辺りをキョロキョロと見回している。


 副会長は術具の長弓を肩に掛け、ガトリングガンのようなものを携えていた。


「副会長、それは?」

「ああこれ? 『火山岩石化銃(ゼノリスガン)』って言ってね、魔物を火山岩みたいにコッチコチに固めちゃう火炎ビーム銃なの」

「へー」

「あたしたちゼノリスは魔物を撃退するのが任務だけど、ただ倒すだけじゃなくて、『ゼノリス化』して国際魔術評議院(マグマリア)に送るまでが任務なのよ。覚えといてね」


 つまり、魔物を弱らせて捕獲しなきゃダメ、ってことか。それはただ撃退するよりも、ちょっとひと手間だなぁ。


「これ、重いですの〜」


 同じく、火山岩石化銃(ゼノリスガン)を携えている臨時補佐代理が泣き言を言う。


「俺が持とうか?」


 そう言って近寄ろうとすると、臨時代理補佐はなぜか、火山岩石化銃(ゼノリスガン)を俺の方に向けた。


「それ以上、近寄らないでほしいですの」


 眉根をキッと釣り上げ、俺の方を睨みつけている。その細い肩の上で、青い小動物が「キキッ」と鳴き声をあげて飛び跳ねた。


「へ? なんで?」

「あ〜ら、ナットくん。もう喧嘩? 仲良くしなきゃダメよ〜」


 副会長が横でニヤニヤしている。

 ん〜、なんだろう、これ……。俺が『強制監視対象』だからだろうか?


 それとも……。


 不意に、心に重い物がのしかかってくる。


『悪魔抹殺という大事な任務を託され、ここに派遣されました────』


「(……たしか、そんなことを言ってたっけ……まさかこの子は、ユリルの事を知ってるんだろうか……?)」


 俺を睨みつけ、鼻を「ふん」と鳴らす天使候補生(アンジェレンティス)を見つめながら、そんな不安が頭をよぎっていた。


「(とりあえず、向こうから『気安く関わってくるな』と言ってるわけだから、そっとしておこうか。妙な探りを入れられるよりは、すっきりしていいや)」


 俺は肩をすくめると、白い靄に煙る町並みに視線を向けた。




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